ソニーFEレンズ大三元の一翼を担う大口径望遠ズームがリニューアル。高い描写性能に加え、高速AFと軽量化を追求した「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」の実力を、モータースポーツの現場で検証した。
約4倍速くなったAF性能が軽快なレース撮影を支える
各メーカーに存在する大口径望遠ズーム「70-200mm F2.8」は、スポーツや風景、ポートレートなどで大活躍しているレンズだ。新しい「ソニー FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」は、従来モデルよりAF速度が約4倍速くなったという。今回はそのAF性能を念頭に置きテスト撮影を行なった。
激走するカートを高速AFが確実に追いかける
推定速度 60〜70kmで急加速中のカートを200mmで撮影。確実に止められるように高速シャッターを選択し、絞りはほぼ開放となった。ヘルメット部分をシャープに捉え、高速AF性能を実感。被写界深度は浅く、浮き立つ描写が気持ちいい。
流し撮りの成功率アップが実感できた
手ブレ補正を効かせて流し撮りテストを敢行。約190mmで撮影しているが、動きの激しいモトクロスでも1/40秒で撮影できた。縦方向の手ブレのみ補正され、狙いどおりにヘルメット近辺がシャープに写っている。
逆光時でも安心して使える光学性能
夕暮れのド逆光での撮影であるが、ゴーストもなく、背景のボケも美しい。光の厳しい条件下で、うまくフレーミングするのが難しいほどの急加速中のコーナーの立ち上がりシーンであるが、AFエリア「ワイド」で連写して捉えた
70mmなら40cmまで寄れる!
70mm時の最短撮影距離はなんと40cm。レンズフード装着時の先端部から、拳1個しか入ら ないところまで寄ることができた。写真は止まっているモトクロスバイクのチェーン部分だ。
撮影してみて思ったのは「確かに圧巻のAF性能!」
「約4倍速くなった」というのは、捉えられる被写体の速度が4倍速くなったわけではなく、合焦するまでの時間が1/4に短縮されたという意味だ。もちろん限られた条件での結果であるが、合焦時間の短縮は、速く動く被写体や加減速を繰り返す被写体へのAF追従性能に大きく関わってくる。
今回、ズーミングしながら連写してみて、すぐにその実力を体感することができた。被写体を画面中心部にきちんとフレーミングし続けられれば、かなり近い距離までAF追従連写が可能だ。また、連写せずに引き付けて1コマ目に全集中すれば、さらに至近距離までAFで捉えることができた。確かにこれは圧巻のAF性能である。この高速AFを実現できたのは、XDリニアモーターというハイパワーなモーターを4基搭載してAF駆動しているのが大きな理由らしい。
動体撮影に便利な手ブレ補正モード3を搭載
ファインダーで動体を捉え続けやすいとされる手ブレ補正モード3。ほとんどこの状態でテストしたが、「α7R IV」ではEVFの表示遅れのためか、さほど効果は感じられなかった。
特殊硝材を贅沢に使い、妥協のない画質を追求
従来モデルよりも400g以上の軽量化を果たしながら、収差補正などには妥協なし。ED非球面レンズも採用され、望遠レンズで問題になりやすい色収差や球面収差を抑制している。
AFの心配をせずに撮影できるのがモータースポーツ撮影に心強い
今回撮影したカートやモトクロスは、モータースポーツの中でもAFには厳しい、寄れて速い被写体だ。それでもフォーカスエリアをきちんと被写体に合わせ続け、最新のαシリーズのAF性能を用いれば、AFの心配はほぼ不要となる。モータースポーツ撮影に心強い大口径望遠ズームが登場した。
軽量コンパクトなサイズ感で扱いやすい
従来モデルより約3割軽くなったことに驚愕。小型のミラーレス機とのバランスも良いので、両方の手指にも余裕ができ、ズーム操作などもラクに行なうことができた。
三脚座を外せば手持ち撮影がさらに快適に
脱着可能な三脚座は、グラつくこともなく、高剛性・高精度な作り。外してしまえばさらに軽くなり、開放F2.8の望遠ズームであることを忘れてしまいそうだ。
ソニー FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
発売日 2021年11月26日
参考価格 330,000円 (税込)
マウント ソニーEマウント
レンズ構成 14群17枚
絞り羽根 11枚 (円形絞り)
最短撮影距離 ワイド端 0.4m、テレ端 0.82m
最大撮影倍率 0.3倍
フィルター径 φ77mm
最大径×長さ φ88×200mm
質量 約1045g (三脚座を除く)
※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。