機材レポート

4本の単焦点レンズで組み写真を作ってみた! 色味やトーンが揃ったLUMIX Sレンズ F1.8単焦点シリーズで統一したイメージに仕上がった

LUMIX Sレンズ F1.8単焦点シリーズは、2020年の「LUMIX S 85mm F1.8」を皮切りに、「LUMIX S 50mm F1.8」「LUMIX S 24mm F1.8」「LUMIX S 35mm F1.8」と順次発売され、広角から中望遠までのラインアップが完成しました。シリーズの特徴は、複数の焦点距離を使い分けることを前提として、大きさ、重さ、そして絵作りが統一されていること。写真家のコムロミホさんが4本のレンズを併用しながら、その使い勝手を試しました。

LUMIX S F1.8単焦点シリーズ実写レビュー
LUMIX S F1.8単焦点 ラインアップ

統一された操作感と色再現で被写体の魅力を引き出す

LUMIX Sレンズ F1.8単焦点は、広角から中望遠まで揃ったシリーズです。いずれも軽量・コンパクトでデザインも統一されていて、私が愛用している「LUMIX S5」との相性は抜群。どれも軽いので、カメラと4本のレンズをバッグに入れても負担になりません。

単焦点のメリットは、明るいF値と表現力ですが、固定された焦点距離に応じて、構図を工夫したり動き回ったりと、ズームでは感じられない撮る楽しさも実感できます。そんな単焦点の魅力をお伝えするため、日帰りの旅をしながら4本を使い分け、組み写真を作ってみようと思います。

カラーの組み写真

LUMIX Sレンズ F1.8単焦点シリーズは、カラーの特性、ヌケ感や透明感といった表現の特性が共通しているため、複数のレンズを使い分けた組み写真も作りやすいといえます。ここで使用したフォトスタイルは「L.クラシックネオ」。浅めの色調で青空の透明感を再現しながら、ややレトロな雰囲気も引き出してくれます。このようにレンズの特徴を理解したうえで、天気や時間帯に合わせてカメラの設定を変えてみるのも楽しいものです。

漁港のある海辺

■LUMIX S 24mm F1.8

LUMIX S F1.8単焦点シリーズ実写レビュー
24mmの画角の広さを利用して空を大きく取り、空のヌケ感を表現しました。この作品のように一部だけに青空が見える天気では、日中の空を撮ると白トビしやすいのですが、優れた階調表現により重なり合った雲の質感までうまく再現できていますね。

■LUMIX S 35mm F1.8

LUMIX S F1.8単焦点シリーズ実写レビュー
人物を画面の端に置いても不自然な歪みが生じることはないので、表情の変化を狙うことのみに集中できました。35mmはスナップにもポートレートにも使える便利なレンズですね。

■LUMIX S 50mm F1.8

LUMIX S F1.8単焦点シリーズ実写レビュー
開放F値でも解像感が高く繊細な表現ができるため、カメラとレンズ任せで撮れば、ピントの合った人物が背景から浮かび上がってきます。肌の描写も作り込んだ印象はなく、自然な色に仕上がっています。

■LUMIX S 85mm F1.8

LUMIX S F1.8単焦点シリーズ実写レビュー
F1.8単焦点シリーズの使用感としてぜひ伝えたいのがピント合わせの速さ。行ったり来たりする波にピントを合わせるのは難しいものですが、構図を調整しながら先端部分の泡に合わせるのも容易。歩きながらのポートレートでも威力を発揮してくれました。

モノクロの組み写真

モノクロ写真は複数枚を並べたときにまとまりやすいものですが、トーンがバラバラだと違和感が出てしまいます。ここで使用したフォトスタイルは「L.モノクロームD」。LUMIXにはモノクロのバリエーションが充実していますが、この設定は黒の締まりがあり階調表現を楽しめます。また、注意したいのが人物の肌の描写。そのままではグレーになりやすいので、カラーフィルターを「赤」にすると肌が白く写り、透明感のある仕上がりになります。

城下町を旅する

■LUMIX S 24mm F1.8

LUMIX S F1.8単焦点シリーズ実写レビュー
超広角ながら歪曲収差が少ないので、画面の端に直線や水平線を置いても素直な表現が可能です。人物を入れる場合も大きくデフォルメされることがないので、ポートレート撮影にも積極的に使ってほしいですね。

■LUMIX S 35mm F1.8

LUMIX S F1.8単焦点シリーズ実写レビュー
人物と背景のバランスを見ながら、両方を見せることができるので、組み写真では欠かせない画角です。モノクロではシャープさが際立ち、カラーではスッキリとした透明感のある絵づくりが得意なレンズです。

■LUMIX S 50mm F1.8

LUMIX S F1.8単焦点シリーズ実写レビュー
スナップでは目に入った物をストレートに表現できる画角で、被写体の質感が伝わります。「LUMIX S PRO 50mm F1.4」も使っていますが、このレンズは写りの良さを引き継ぎながらも、軽くて価格が手ごろでバランスがいいですね。

■LUMIX S 85mm F1.8

LUMIX S F1.8単焦点シリーズ実写レビュー
特徴はボケがきれいなこと。ある程度の距離を取ったポートレートでも立体感が際立つ仕上がりになります。また、単焦点の85ミリというと重量級のレンズが多いのですが、このレンズは軽く、軽快なポートレート撮影ができるのがいいです。

4本のレンズで「組み写真」を作っても色味やトーンがキレイに揃う

今回の課題はレンズ4本それぞれの特徴を生かしながら、組み写真のテーマに沿わせていくこと。そこで、どのレンズを使うときも、常に並べたときのイメージを想定しながら撮影するよう心掛けました。また撮影場所を変え、カラーイメージとモノクロイメージで、2つの組み写真を作りました。

まず開放的な海のシーンでは、「LUMIX S5」の仕上がり設定 (フォトスタイル)「L.クラシックネオ」を使っています。透明感のある自然な色味を再現できる設定で、フィルムで撮ったような印象も受けます。レンズの特性と合わせることで、海のヌケ感と肌の透明感を引き出せるようにと考えて選択しました。また、水面の質感、青空と雲のトーンもうまく引き出せたと思います。

一方、ノスタルジックな城下町のシーンでは「L.モノクロームD」を使い、モノクロでディテールや質感を強調し、人物と古い町並みがなじむようにしています。色のないモノクロではトーンの統一感が大切なポイント。レンズを替えても軟調と硬調がバラバラにならないのもメリットといえます。

さらに共通の特徴として、輪郭線が柔らかい丸ボケやピント面からのグラデーションの美しさ、高速なオートフォーカス動作も、このレンズシリーズの大きな魅力といえますね。

「F1.8」の優位性とは? 標準ズームと開放描写比較

標準ズームの「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」との描写を比較しました。焦点距離50mmのとき、標準ズームではF5.3が最小のF値になるため、ボケ量は大きく違います。単焦点ではちょっとうるさい背景がスッキリ整理され、人物が浮き上がりました。

■F5.3 (標準ズーム開放)

LUMIX S F1.8単焦点シリーズ実写レビュー

■F1.8 (単焦点レンズ開放)

LUMIX S F1.8単焦点シリーズ実写レビュー

LUMIX Sレンズ F1.8単焦点シリーズのメリットはこんなにある

  • 軽くて写りに優れた単焦点のラインアップで、フットワークのよい撮影ができる。
  • レンズ間で色味やトーンの出方が統一されており、イメージが合わせやすい。
  • 大きさや操作感が同一で、複数のレンズを使い分けても違和感がない。
  • 高性能な大口径単焦点レンズながら、価格がリーズナブル。
  • フィルター径が統一されているので、PLやNDフィルターの共用が可能。

LUMIX S F1.8単焦点シリーズ実写レビュー

■LUMIX S 24mm F1.8
[レンズ構成] 11群12枚 [最短撮影距離] 0.24m [最大撮影倍率] 0.15倍 [フィルター径] φ67mm [絞り羽根] 9枚 (円形虹彩絞り) [最大径×長さ] φ73.6×約82.0mm [質量] 約310g

■LUMIX S 35mm F1.8
[レンズ構成] 9群11枚 [最短撮影距離] 0.24m [最大撮影倍率] 0.22倍 [フィルター径] φ67mm [絞り羽根] 9枚 (円形虹彩絞り) [最大径×長さ] φ73.6×約82.0mm [質量] 約295g

■LUMIX S 50mm F1.8
[レンズ構成] 8群9枚 [最短撮影距離] 0.45m [最大撮影倍率] 0.14倍 [フィルター径] φ67mm [絞り羽根] 9枚 (円形虹彩絞り) [最大径×長さ] φ73.6×約82.0mm [質量] 約300g

■LUMIX S 85mm F1.8
[レンズ構成] 8群9枚 [最短撮影距離] 0.8m [最大撮影倍率] 0.13倍 [フィルター径] φ67mm [絞り羽根] 9枚 (円形虹彩絞り) [最大径×長さ] φ73.6×約82.0mm [質量] 約355g

→LUMIX Sレンズ F1.8単焦点シリーズの詳しい情報はこちらをチェック!

 

〈協力〉パナソニック株式会社