ニコンから2本の標準ズームレンズが登場した。開放F2.8とは思えないスリムな「NIKKOR Z 28-75mm f/2.8」と、ニコンユーザー待望の新24-120mm F4「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」。今回は「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」実力をチェックした。
- NIKKOR Z 28-75mm f/2.8 実写レビュー
- NIKKOR Z 24-120mm f/4 S 実写レビュー
人気の5倍標準ズームがZマウントで登場「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」
「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」は広角から望遠域までF4通しでカバーする光学5倍の標準ズームだ。しかも、優れた総合性能を持つレンズに与えられる「Sライン」の称号を持つ。Fマウントにも同種のレンズが用意されていたが、2010年発売と設計年次が古く、最新ボディとの組み合わせではやや厳しかったのが正直なところ。
Zマウントの新レンズでは、レンズ内手ブレ補正からカメラ内手ブレ補正に役割が移ったこともあるのか、価格が下がり、さらに身近になった。使い勝手の良さで人気の高いズーム域だけに、ニコンユーザー待望の一本と言っていいだろう。
イルミネーションが手持ちで軽快に撮影できる
クルマに映り込むイルミネーションを狙う。イルミネーションが少しでもぼけるように、ピント位置はテールランプへ。カメラ内手ブレ補正の効きも良く、さほどISO感度を上げずに手持ちで撮影できた。
花にグッと迫りマクロ撮影が楽しめる
最短撮影距離は0.35m。テレ側で最大撮影倍率0.39倍になり、名刺サイズよりも少し寄れるくらいまでの接写が可能だ。先に紹介した「NIKKOR Z 28-75mm f/2.8」はワイド側で最大撮影倍率になるため、絵作りが変わってくる。
モミジの輝きをS-Lineの画質でクリアに捉える
半逆光に輝くモミジにレンズを向けると、最新レンズらしい解像感とコントラストがモニター上でも確認できる。ここではF5.6で撮影しているが、開放からシャープな描写を見せ、オールマイティに使えそうだ。
反射防止コーティングでゴーストやフレアは皆無
首都圏の冬は晴れると想像以上に日差しが強い。本来、太陽を画面内に入れればゴーストやフレアは出て当たり前と思っていたが、このシーンでは皆無。2種類の反射防止コーティングの力か、レベルがまたワンランク上がった印象だ。
ニコンこだわりの24-120mmが小型化で扱いやすくなった
気になる描写は、開放からパキッと気持ちがいい。大げさに思われるかもしれないが、背面モニターで初めて再生したときから好結果の期待が感じられるほど、印象が良かった。いろいろ意地悪なシーンでも試してみたが描写に破綻がない。
また、複数のAFユニットで制御するマルチフォーカス方式のAFは、静かでスピーディーにスパッと止まる。ライバルの多くが24-105mmを投入するなか、ニコンはフィルム時代から24-120mmにこだわり、現在に至るが、サイズを24-105mm同等に抑えるなど、扱いやすさも特筆できる。
先に紹介した「NIKKOR Z 28-75mm f/2.8」に加え、「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」が登場したことで、標準ズームの選択肢がさらに広がった。ニコンユーザーにとっては悩ましいレンズ選びになりそうだ。
特殊硝材を贅沢に使い高画質で逆光にも強い
EDレンズ3枚、ED非球面レンズ1枚、非球面レンズ3枚を含む13 群16枚構成に加え、ナノクリスタルコート&アルネオコートを採用し、フレアやゴーストを抑えたクリアな描写が得られる。
ズーミングによる重心移動が少なく扱いやすい
ワイド側からテレ側へズームすると最大約53mm全長が伸びる。118mmの全長からすれば、かなりの比率になるが、重心移動はさほど感じられず、動きもスムーズだ。ズームロック機構は非採用。
24mm時 |
120mm時 |
L-Fnボタンに機能を割り当て操作性をカスタマイズ
レンズ側面の指掛かりの良い位置にL-Fnボタンやフォーカスモード切り替えスイッチを備える。S-Lineのバッジが光り、製品名や焦点距離表示などが刻印された高級感あふれる仕様だ。
NIKKOR Z 24-120mm f/4 S 主な仕様
発売日 2022年1月28日
希望小売価格 154,000円 (税込)
マウント ニコンZマウント
レンズ構成 13群16枚
最短撮影距離 撮像面から0.35m (ズーム全域)
最大撮影倍率 0.39倍
絞り羽根枚数 9枚 (円形絞り)
フィルター径 φ77mm
最大径×長さ 約φ84×118mm
質量 約630g
※本レポートは『CAPA』2022年2月号掲載の記事を再構成したものです。撮影にはベータ機を使用しています。