機材レポート

広角派必見! 2本の新しいPRO仕様レンズ『オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PRO / M.ZUIKO DIGITAL ED 8ミリF1.8 Fisheye PRO』

オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO & M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
OM-D E-M5 Mark IIボディに装着した、大口径広角ズーム『M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PRO』。と、大口径魚眼レンズの『M.ZUIKO DIGITAL ED 8ミリF1.8 Fisheye PRO』。

 レンズ交換式カメラの魅力は、すなわち”交換レンズの魅力”でもある。だから、どんなに高性能でソソるカメラ(ボディ)が登場しても、使える交換レンズ群がショボいと「このカメラを買うのはイイけど、先々楽しくなるのかね?」と、少々不安になってくる。まあ、どのメーカーの何システムかは言及しないけど、もうちょっと先の展開を考えて欲しいよね、アレ(意味深)。

 さて、オリンパスのマイクロフォーサーズレンズ群に目をやると、これまで弱かったグレードは、プロ仕様の最上位「M.ZUIKO PRO」シリーズ。まあ、このPROシリーズの交換レンズは、約2年前に登場したフラッグシップモデル「OM-D E-M1」と同時期デビューのシリーズだから、そう簡単にはラインナップ充実しないわな。なお、シリーズの1本目は、OM-D E-M1から少しだけ遅れて発売された、大口径標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8 PRO」である。

でもなあ、2本目の大口径望遠ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150ミリF2.8 PRO」が発売されたのが、それから約1年後だもんなあ。ちょっとペース遅すぎませんかね? 超広角域をカバーする広角ズームとか、望遠系の大口径単焦点レンズとか。そういうタイプのPROシリーズレンズ(高い光学性能と同時に、防塵防滴や堅牢性も備えている)を待ってるユーザーは少なくないよ。

…と、常々不満に思っていたら、今年の夏前にようやく登場しましたナ、3本目と4本目の「M.ZUIKO PRO」レンズがっ! それは、大口径広角ズーム『M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PRO』と、さらに大口径な魚眼レンズの『M.ZUIKO DIGITAL ED 8ミリF1.8 Fisheye PRO』である。う〜ん、望遠系の大口径単焦点の代わり(?)に、予想外の魚眼レンズがキタか。それにしても、魚眼レンズの開放F値が「F1.8」って、ちょっと常軌を逸してる(ホメ言葉)。

とにもかくにも、この2本の新しい「M.ZUIKO PRO」レンズの操作性とか描写性能とかに興味ありまくり。そこで、メーカーから借用して実写してみた次第です、はい。

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オリンパス OM-D E-M5 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO
『M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PRO』を装着。

14ミリで撮影
吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」作例

7ミリで撮影
吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」作例
一般的な標準ズームの広角端にあたる「14ミリ」と、このM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PROの広角端「7ミリ」の画角を比べてみた。お〜う、これはもう別次元(?)の描写だナァ。

 これまで、オリンパスのマイクロフォーサーズレンズ群には「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18ミリF4.0-5.6」という、一般グレードの広角ズームがラインナップされていた。コレ、以前ボクも使ったことがあるけど、コンパクトで使いやすいレンズなんだよ。でも、広角端が「18ミリ相当(※)」という値は少し物足りないし、ズームやフォーカスリングのパターン(デザイン)も、現在のカメラボディのテイストとは少し異なる。

※35ミリ判換算の焦点距離。以下、同様。

だけど、今回登場した『M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PRO』なら、広角端は「14ミリ相当」と十分に超ワイドだし、開放F値の明るさも文句ナシ! 高品位な素材感や落ち着いたデザインとかも、上位のOM-Dボディにピッタリ! まあ、フィルター装着不可の巨大な前玉は賛否両論あると思うけど、カバーする超広角域やズーム全域F2.8の開放F値を考えると、けっこうコンパクトにまとまっていると思う。

その「全長105.8mm・重さ534g」という数値は、大口径標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8 PRO」よりも大きくて重い(12-40ミリは、全長84mm・重さ382g)。このレンズをボディに装着した場合、大きめのグリップを備えたOM-D E-M1ボディならしっかりホールドできるだろう。だけど、今回レンズと一緒に借用した「OM-D E-M5 Mark II」ボディだと、ちょっとレンズの重さに振り回される印象を受けた。まあ、さほど深刻な問題じゃないけどね。

吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」作例
◆オリンパス OM-D E-M5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PRO(7ミリで撮影) 絞り優先オート F2.8 1/50秒 −0.3補正 WB:オート ISO800 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」作例
◆オリンパス OM-D E-M5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PRO(7ミリで撮影) 絞り優先オート F11 1/250秒 WB:オート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」作例
◆オリンパス OM-D E-M5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PRO(10ミリで撮影) 絞り優先オート F8 1/60秒 −0.3補正 WB:晴天 ISO250 3456×4608ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」作例
◆オリンパス OM-D E-M5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PRO(12ミリで撮影) 絞り優先オート F2.8 1/25秒 WB:オート ISO800 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」作例
◆オリンパス OM-D E-M5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PRO(14ミリで撮影) 絞り優先オート F2.8 1/200秒 +0.3補正 WB:オート ISO200 3456×4608ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」作例
◆オリンパス OM-D E-M5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PRO(9ミリで撮影) 絞り優先オート F11 1/160秒 −0.3補正 WB:オート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」作例
◆オリンパス OM-D E-M5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PRO(14ミリで撮影) 絞り優先オート F8 1/500秒 +0.3補正 WB:オート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」作例
◆オリンパス OM-D E-M5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PRO(7ミリで撮影) 絞り優先オート F8 1/60秒 WB:オート ISO500 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

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オリンパス OM-D E-M5 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
『M.ZUIKO DIGITAL ED 8ミリF1.8 Fisheye PRO』を装着。

 たしか、以前のレンズロードマップ(M.ZUIKO DIGITAL)には載ってなかった気がするんだよね、魚眼レンズは。ということで、ちょっと意外だった、対角線魚眼レンズ『M.ZUIKO DIGITAL ED 8ミリF1.8 Fisheye PRO』の登場。しかも、最上位グレード「M.ZUIKO PRO」シリーズの製品で。おまけに、開放F値が「F1.8」と抜群に明るい、大口径対角線魚眼レンズですって!? アタマに付く漢字8文字。多過ぎだわ(笑)。

 当然、この『M.ZUIKO DIGITAL ED 8ミリF1.8 Fisheye PRO』は、ほかの「M.ZUIKO PRO」シリーズと同様、防塵・防滴・耐低温の仕様になっているし、外観のデザインや仕上げなども同じテイストである。逆に、ほかと違うのは、瞬時にAFとMFが切り替えられる「マニュアルフォーカスクラッチ機構」を搭載していない点。その点を残念に思う人もいるだろう、けっこう定評がある機構だから。…だけど、ボクは逆に好印象。今回使ったもう1本「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PRO」もそうだけど、あの機構ってレンズ交換の度に勝手に動いちゃうから、知らない間に「あ、MF状態になってるわ」ってコトになるのよね。だから、個人的には非搭載ウェルカム。

実際の使用感や描写は文句ないですわ。厳密な画質チェックをしたワケじゃないけど、ざっと見た感じ、画面周辺部まで安定した描写が得られている。そして、レンズ先端から2.5cmまで寄れる(最短撮影距離は12cm)驚異の近接能力により、マクロレンズとは違う”被写体への肉薄感”が得られる。ガーッと寄ってドワッとF1.8近くまで開けると、ほんっと楽しいヨ!

吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」作例
◆オリンパス OM-D E-M5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 8ミリF1.8 Fisheye PRO 絞り優先オート F11 1/160秒 −0.3補正 WB:オート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」作例
◆オリンパス OM-D E-M5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 8ミリF1.8 Fisheye PRO 絞り優先オート F8 1/200秒 WB:オート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」作例
◆オリンパス OM-D E-M5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 8ミリF1.8 Fisheye PRO 絞り優先オート F8 1/640秒 −1.3補正 WB:オート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」作例
◆オリンパス OM-D E-M5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 8ミリF1.8 Fisheye PRO 絞り優先オート F2 1/250秒 WB:オート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」作例
◆オリンパス OM-D E-M5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 8ミリF1.8 Fisheye PRO 絞り優先オート F8 1/320秒 −1補正 WB:オート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

吉森信哉「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」作例
◆オリンパス OM-D E-M5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 8ミリF1.8 Fisheye PRO 絞り優先オート F8 1/320秒 −0.3補正 WB:オート ISO200 3456×4608ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

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今回の『M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14ミリF2.8 PRO』の登場により、3本の「M.ZUIKO PRO」シリーズレンズ(7-14ミリ、12-40ミリ、40-150ミリ)で、超広角14ミリ相当から望遠300ミリ相当までの画角を”全域F2.8″の明るさでカバーできるようになった。これはカメラシステムとして、かなり魅力的なことだと思う。ちなみに、35ミリ判フルサイズやAPS-Cサイズのカメラで、これに近いレンズシステムを組もうとしたら、と〜んでもない”大きさ・重さ・価格”になるよねぇ。だから、今後は「この3本のM.ZUIKO PROレンズを使いたいからOM-Dを選ぶ!!」、そういう人も増えてくるだろう。

また、突出した明るさと近接能力を持つ『M.ZUIKO DIGITAL ED 8ミリF1.8 Fisheye PRO』の存在も、何気に”OM-Dを選ぶ決め手”になるかもしれない…。

そんな事を感じさせてくれた、2本のプロ仕様広角レンズだった。