35mmカメラの歴史そのものであり、1954年から続くライカMシステム (通称 : M型ライカ) をラインアップするライカ。世界中の写真家から愛用され、数々の名作を生み出してきた。そのためライカといえばモノクロ写真をイメージする人も多いのではないだろうか。その伝統を持ったモノクロ専用機が「ライカM10モノクローム」だ。
高い解像力で臨場感のあるモノクロ写真が撮影できる
M型ライカのモノクロ専用機は、2012年の「ライカMモノクローム」に始まり、2015年の「ライカMモノクローム (Typ246)」、そして2020年の「ライカM10モノクローム」へつながる。
特徴は、通常のデジタルカメラの撮像素子にはあって当たり前のカラーフィルターがないことだ。当然カラー写真は撮れずモノクロのみとなるが、カラーフィルターをなくすことで、驚くほど高い解像力が得られる。
古い木造建築の質感を余すことなく再現
高解像力を持つ「ライカM10モノクローム」と、レンズも高解像力を誇るアポ・ズミクロンを組み合わせると、驚くほど再現力に優れた描写が得られる。古い木造建築の質感がリアルに伝わってくるようで、階調も豊かで申し分ない。
高感度撮影ではフィルムのような粒状感がいい
「ライカM10モノクローム」は4000万画素あるが、さらに画素数が多いのではと思うほど、被写体の質感をリアルに再現し、立体感のある描写となる。また感度も高く、基となる「ライカM10-P」のベース感度はISO100なのに対し、「ライカM10モノクローム」はISO160になる。手ブレ補正機能がないので、速いシャッターが切れるのは嬉しい。
ボディカラーはブラックのみで、「Leica」の赤バッジがなく、ロゴも何も入っていないのもモノクロームシリーズならでは。街中で目立たず、さりげなくスナップが撮れる。M型ライカで本気のモノクロ写真を撮りたい人には、注目の1台といえるだろう。
余力のある解像力を生かし、感度を上げて粒状性を感じさせる
歴代M型モノクロームは、どれも高感度ノイズが粒子のように再現される。ここではISO6400で夜の街をスナップした。ノイズが不自然ではなく、フィルムを思わせる。また超高感度ながらダイナミックレンジが狭くならず、被写体のディテールがつぶれていないのも特筆したい。
ライカでモノクロを撮るならシンプルな外観のコンパクト機にも注目
M型ライカだけでなく、4730万画素のフルサイズセンサーと28mm F1.7レンズを持つコンパクトデジタルカメラ「ライカQ2」にもモノクローム専用機「ライカQ2モノクローム」がある。AF・手ブレ補正を搭載し、非常に扱いやすい。ロゴがないルックスもモノクロームらしい。「ライカでモノクロ」ならば、この機種にも注目だ。