機材レポート

ライカ M11 実写レビュー! M型ライカの伝統を守りつつ中身は劇的に進化

2022年1月21日に発売された「ライカ M11」。伝統的なM型ライカの外観をしっかりと維持しながら、操作性に重点を置いて大幅ブラッシュアップ。レンジファインダーカメラのイメージを覆すほど進化していた。

ライカ M11 実写レビュー
ライカ M11 ブラックペイント

M型ライカの伝統を守りつつ最新のデジタル技術を採用

「ライカ M11」は、伝統的なレンジファインダーカメラの要素と最先端のカメラ技術を融合したカメラ。基本的なデザインは、「ライカ M3」から大きく変わっていない。しかし「ライカ M11」では、独自のトリプルレゾリューションテクノロジーを採用する35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーをはじめ、最新のデジタル機能を随所に取り入れ、ライカMシステム史上もっとも柔軟性に富み、デジタル撮影での新定番となるカメラへと仕上がっている。

総画素数6030万画素のフルサイズ裏面照射型CMOSセンサー搭載

撮像素子は、総画素数6030万画素 (9528×6328画素) の35mm ルサイズ裏面照射型CMOSセンサーを搭載。トリプルレゾリューションテクノロジーを取り入れ、記録画素数を60MP / 36MP / 18MPの3種から選ぶことが可能だ。画像処理エンジンには「LEICA MAESTRO III」(ライカ・マエストロ・スリー) を搭載する。

ライカ M11 実写レビュー
ライカ M11 ズミルックスM f1.4/50mm ASPH. マニュアル 絞りF8 1/250秒 ISO640
ライカ M11 実写レビュー
画面奥の部分拡大。6000万画素の最大解像度で撮影すると、細部のディテールまで克明に描写できる。画面を拡大しても十分解像感のある描写が得られる。

ベース感度はISO64、最高感度はISO50000を実現

ISO感度はISO64〜50000。ベース感度はISO100を切るISO64となっている。「ライカ ノクティルックスM f0.95/50mm ASPH. 」などの大口径レンズでも扱いやすい感度設定が可能だ。

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ライカ M11 ズミルックスM f1.4/50mm ASPH. マニュアル 絞りF5.6 1/200秒 ISO64

記録画素数を切り替えることができるトリプルレゾリューションテクノロジー

記録画素数はメニューで切り替えることができる。メニューの表示も改善されている。

ライカ M11 実写レビュー

見えないところにもこだわったM型ライカらしい正当進化

外観で大きく変わったのは、ベースプレートのない構造を採用したことだろう。バッテリーはレバー操作とワンプッシュで取り外すことができ、メディアスロットは、バッテリーを装着すると隠れるようになっている。

記録メディアはSDメモリーカードを採用し、さらに64GBの内蔵メモリーを搭載する。バッファメモリーは3GBで、RAW (DNG) で15コマ、JPEGで100コマ以上の連続撮影が可能だ。

また、撮像素子の前面には、極薄のガラスを2層に重ねた特殊なUV/IRカットフィルターを配しているなど、見えない部分へのこだわりが、「ライカ M11」の大きな特徴と言えるだろう。

シャッターは、1/4000秒〜60分のメカシャッターに加えて、1/16000〜60秒の電子シャッターを搭載。測光モードは中央重点測光、マルチ測光、スポット測光の3モードを搭載する。背面の液晶モニターは、2.95型のタッチパネル液晶モニターを採用。メニューも一新されて見やすさ、操作性が向上した。

一日中撮影してもバッテリー切れの心配は不要

新たに採用された充電式リチウムイオンポリマーバッテリー (BP-SCL7) は容量1800mAhで、最大で1700枚、距離計を使用した通常撮影時でも約700枚の撮影が可能。さらにUSB Type-Cによる充電/給電が可能なので、バッテリー切れを心配することなく撮影ができる。

ライカ M11 実写レビュー
ライカ M11 ズミルックスM f1.4/50mm ASPH. マニュアル 絞りF2.8 1/200秒 ISO250

ブラックボディはトップカバーにアルミ素材を採用

「ライカ M11」は、シルバーとブラックの2モデルが用意されている。シルバーモデルのトップカバーには素材に真鍮が採用されているが、ブラックモデルのトップカバーはアルミニウムを採用。重量はブラックのほうが約20% (100g) 程度軽くなっている。

ライカ M11 実写レビュー

変わっていないように見えて実は大きく変わった外観

ベースプレートがない構造になっており、バッテリーはUSB充電/給電が可能。外部端子は底部のUSB Type-Cのスロットだけだ。バッテリー室の中にSDメモリーカードスロットが一つ設けられている。

ライカ M11 実写レビュー

 

ブラックモデルのトップカバーと底部には、傷の目立たない特殊な塗装が施されている。

ライカ M11 実写レビュー

 

トップカバーの高さは、M10シリーズのものよりもわずかに狭くなっている。スリムな印象になった。

ライカ M11 実写レビュー
右が「ライカ M11」、左が「ライカ M10-P

アプリ「Leica FOTOS」も進化した

カメラ操作ができるスマホアプリ「Leica FOTOS」もバージョンアップ。2022年後半のファームウェアアップデートにより、画像への位置情報の追加やBluetoothによる画像の転送、そして転送速度の高速化も予定されている。

ライカ M11 実写レビュー
ライカ M11 ズミルックスM f1.4/50mm ASPH. マニュアル 絞りF16 1/125秒 ISO800 Leica FOTOS (ベータ版) 使用
ライカ M11 実写レビュー
「Leica FOTOS」のトップ画面

 

※実写作例はベータ版ファームウェアによる撮影です。画質は最新版と異なります。

ライカ M11 主な仕様

ライカ M11 実写レビュー

発売日 2022年1月21日
価格 1,188,000円 (税込)

カラー ブラックペイント、シルバークローム
マウント ライカMバヨネットマウント
撮像素子 35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサー
総画素数 6030万画素
画像処理エンジン LEICA MAESTRO III
最大記録画素数 DNG 60.3M、JPEG 60.1M
ISO感度  ISO 64〜50000
シャッター速度 メカシャッター 1/4000秒〜60分、電子シャッター 1/16000〜60秒
ファインダー 大型ブライトフレームファインダー (倍率 0.73倍)
画像モニター 2.95型 2,332,800ドット TFTタッチパネル液晶モニター
記録媒体 SD/SDHC/SDXCメモリーカード (UHS-I/II 対応)
幅×高さ×奥行き 約139×80×38.5mm
質量 ブラックペイント 約530、シルバークローム 約640g (バッテリーを含む)