伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2023年4月号 アザーショット【後編】
超望遠レンズは大きく重いので、ほかに携行するレンズはできるだけ減らしたい。でも、広角~標準も一応持って出たい。「シグマ 60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS | Sports」は、多くのフルサイズ用超望遠ズームが150~200mmスタートのなかワイド端が60mmスタートなので、ソニーの新標準ズーム「FE 20-70mm F4 G」とのダブルズーム体制にも最適だ。そんな超望遠ズームの描写力をチェックした。
- ソニー FE 20-70mm F4 G 実写チェック
- シグマ 60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS | Sports 実写チェック
SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS | Sports
[マウント] ソニーEマウント、Lマウント [最大径×長さ] Eマウント φ119.4×281.2mm、Lマウント φ119.4×279.2mm [重さ] Eマウント 2,485g、Lマウント 2,495g [レンズ構成] 19群27枚 [最短撮影距離] 0.45m (ワイド端) 〜2.6m (テレ端) [最大撮影倍率] 0.41倍 (200mm時) [絞り羽根枚数] 9枚 [フィルター径] φ105mm
参考価格 330,000円 (税込)
白いスイセンの花に色浮きやにじみは見られない
軸上色収差が残っていると、こうした白い花の輪郭にパープルフリンジが浮いたり、前後のボケが色付いてしまうが、スイセンの花がちゃんと白く再現されている。柔らかなボケというほどではないが、背景のスイセンの葉が必要以上にうるさくならず、自然にぼけてくれている。
ワイド端が60mmまで引けるのはこのレンズの強み
このカットは128mm域での撮影だが、このレンズは600mmをカバーする超望遠ズームでありながら、60mmの標準域まで引けるのが強み。飛行場なら離着陸する飛行機をアップで撮影できるだけでなく、手前に駐機している機体も狙えるのが特徴だ。フィールドスポーツや航空祭の撮影でぜひ使ってみたいレンズだ。
ピントがしっかり合うと高い解像が得られる
AIプロセッシングユニット搭載で被写体認識性能が向上した「α7R V」。枝被りしていると枝にピントが惑わされるが、障害物がなければ手前の胴体ではなく目にしっかりピントが合う。被写体ブレがなく、ピントさえしっかり合ってくれれば、メジロの目の周りの羽根までクッキリ解像する。
球面収差や色収差がよく抑えられている
被写体の形状で光の反射にレンズ効果が加わる影響もあると思うが、水面や木の枝などの微ボケに二線ボケが出るケースがある。コントラストと解像が高く、収差が少ないレンズにはよくあることだが、このレンズは球面収差や色収差が非常に良く抑えられていると思う。
ハーフマクロに迫る高い近接撮影能力
被写体をもっともアップで撮影できるのは200mm域で、最大撮影倍率は約0.41倍とハーフマクロに迫る近接撮影能力。梅や桜の花もかなりアップで撮影できるが、望遠マクロなだけに被写界深度は浅く、風で花が揺れているとぶらさずにシベにピントを合わせるのも一苦労だ。
※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。