伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2023年9月号 アザーショット【前編】
これまでDX (APS-C) 専用のZレンズは、「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」「NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR」「NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR」の3本だけだった。ここに待望の大口径単焦点「NIKKOR Z DX 24mm f/1.7」と超広角ズーム「NIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VR」が加わり、「Z fc」や「Z 30」の魅力度は大幅にアップした。今回はこのAPS-C専用Zレンズ2本の描写力をレビューする。
伊達淳一カメラマンがさまざまなレンズを使い倒しレビューする『CAPA』の人気連載「レンズパラダイス」。本記事では2023年9月号の「レンズパラダイス」に掲載しきれなかったアザーショットとインプレッションを紹介します。
- NIKKOR Z DX 24mm f/1.7 実写チェック
- NIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VR 実写チェック
NIKKOR Z DX 24mm f/1.7
[マウント] ニコンZマウント [最大径×長さ] 約φ70×40mm [重さ] 約135g [レンズ構成] 8群9枚 [最短撮影距離] 0.18m [最大撮影倍率] 0.19倍 [絞り羽根枚数] 7枚 [フィルター径] φ46mm
参考価格 40,120円 (税込)
画面周辺部まで乱れの少ない開放描写
画質をチェックするため、西新井大師の山門を絞り開放で撮影してみた。レンズ補正の効果もあるが歪曲収差はほとんどなく、山門の屋根と曇り空の境界部分にも色付きはなし。絞り開放ではエッジの鋭さに欠けるものの周辺部まで大きな乱れはなく、アンシャープネスマスク一発で高精細な仕上がりに改善できる。
大きなボケ描写が楽しめ、自然な解像感と立体感が得られる
西新井大師の風鈴祭りにて。換算36mm相当の広角レンズだが、開放F1.7と明るく最短で18cmまで寄れるので、近接撮影時にはフルサイズ並みに大きなボケ描写を楽しめる。解像とコントラストが高すぎないのでボケも柔らかく、それでいてピント面はにじみがなく、自然な解像感と立体感だ。
後ボケは色付きもなく非常に柔らかい
路傍に植えられたランタナを絞り開放で撮影。近接撮影ということもあり、少しフワッとした描写だが、ボケに色付きはなく、後ボケも非常に柔らか。特にハイライトがにじむようで美しい。花やテーブルフォトに最適なレンズだ。
前ボケも不自然さはなく、とてもきれい
豪徳寺のまねきねこ。後ボケがきれいなレンズなので、前ボケはもっとうるさくなるかと思ったが、意外にも前ボケもきれいで、周辺部でボケが不自然に崩れるような描写もない。これだけ軽量コンパクトなお手ごろ価格のレンズで、この柔らかなボケ描写はバーゲンプライスだ。
ボケの縁取りは目立たず、口径食も少なめ
浅草を散策中にノウゼンカズラに覆われた建物を発見。画角が広めで建物全体を撮ると説明的になりすぎてしまうので、思い切って花に近寄って一部を切り取ってみた。背景の光点ボケは少し縁取りがあるが、広角レンズのボケとしてはきれいな部類。口径食も少なめだ。
後編では「NIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VR」の描写力をチェックします。
本記事で紹介していない実写作例と詳しい解説は『CAPA』2023年9月号でご覧ください。
※参考価格は記事公開時点の量販店価格です。