機材レポート

標準レンズでマクロ撮影ができるマウントアダプターを試してみた

異なる規格のレンズマウントを変換し、ミラーレスカメラに装着するマウントアダプター。数多くの製品が各社から発売されているが、マウント変換以外に「AF化」と「マクロレンズ化」の機能を持つ “技あり” のマウントアダプターを2機種をセレクト。実写を通じて、両モデルの魅力に迫ってみたい。

今回は、M42マウントをソニーEマウントに変換し、近接撮影力をアップさせる「SHOTEN M42-SE M」を試してみた。

SHOTEN M42-SE M レビュー

標準レンズがマクロレンズに変身! ヘリコイド付きマウントアダプター「SHOTEN M42-SE M」

SHOTEN M42-SE M レビュー
2023年9月29日発売 参考価格 7,920円 (税込)

M42マウントをソニーEマウントに変換するマウントアダプター。内蔵するヘリコイドでレンズを最大25mm繰り出し、最短撮影距離を大幅に縮めることができる。きょうだいモデルとして、M42マウントを富士フイルムXマウントに変換する「M42-FX M」がある。

レンズを繰り出すことで最短撮影距離をさらに短く

この「SHOTEN M42-SE M」は、ローレット加工が施されたヘリコイドを回転させると、全長が最大約25mm伸びる。この繰り出し機能により、レンズ本体の最短撮影距離を短縮でき、最大撮影倍率を上げることができる。つまり、このアダプターを使えば、通常レンズにクローズアップ機能を加えられるのだ。

装着できるのは、スクリュー方式のM42マウントレンズ。ここでは、人気の高い標準レンズ「ペンタックス SUPER-TAKUMAR 55mm F1.8」を使用する。このレンズの最短撮影距離は45cmだが、ヘリコイドを繰り出すと、約23cm (実測値) まで接近可能。被写体までの距離に応じて、フォーカスリングを最短撮影距離まで回し、さらに寄りたければヘリコイドでピントを合わせる、という流れで撮影する。

このとき、正確なピント合わせのために、カメラの拡大表示 (ピント拡大) 機能を利用したい。ただし、被写体までの距離が近くなると、拡大表示機能でピントを合わせても、無意識な身体の動きでピント位置がずれる場合も多い。そのため、手持ち撮影では、何枚も撮影して、その中からベストショットを選ぶようにしたい。

なお、この製品はM42レンズ用だが、ほかの一眼レフ用マウントに対応したヘリコイド付きマウントアダプターも欲しい。そうすれば、手持ちの一眼レフ用MFレンズをミラーレスカメラに取り付け、通常撮影のほか、クローズアップ撮影を堪能できるようになる。

25mmの繰り出しで近接撮影能力をアップ!

最短撮影距離が45cmの「SUPER-TAKUMAR 55mm F1.8」を「M42-SE M」のヘリコイド機能 (最大25mm) を使うことで、どこまで最短撮影距離が短くなるか検証した。

■繰り出しなし : 最短45cm

SHOTEN M42-SE M レビュー

SHOTEN M42-SE M レビュー
ヘリコイド未使用時はレンズ単体の最短撮影距離45cm。撮影倍率は約0.17倍 (実測値) で、標準単焦点レンズとしては一般的な値。

■繰り出し最大 : 最短23cm

SHOTEN M42-SE M レビュー

SHOTEN M42-SE M レビュー
最短45cmの状態でヘリコイドを最大まで繰り出す。最短距離は約23cmまで縮まり、最大撮影倍率は約0.6倍 (実測値) と大幅アップ!

小さなロウバイの花を最短約23cmで撮影

フォーカスリングは最短、ヘリコイドは最大繰り出しの状態でロウバイの花がハッキリ見える距離まで接近して構図を決定。そして、カメラの拡大表示機能を利用しながら前後に動き、ピントが合った瞬間にシャッターを切った。

SHOTEN M42-SE M レビュー
ソニー α7 III + ペンタックス SUPER-TAKUMAR 55mm F1.8 (絞り優先オート F2.8 1/2000 秒 ISO100 WB : 太陽光)

ほぼマクロレンズ並みの近接撮影能力を発揮

レンズのフォーカスリングは最短撮影距離の45cmで、ヘリコイドの繰り出し量で写す大きさとピント調節を行なう。高倍率の撮影なのでピントはシビア。何枚も撮影して、その中からイメージどおりのカットを選んだ。

SHOTEN M42-SE M レビュー
ソニー α7 III + ペンタックス SUPER-TAKUMAR 55mm F1.8 (絞り優先オート F2.8 1/60秒 +0.3補正 ISO100 WB : 太陽光)

通常のマウントアダプターとしても使える

神社境内の手水舎にて。龍の吐水口と周囲に散りばめられた華やかな花に写欲をそそられる。撮影距離は1mくらい。絞りは開放。拡大表示機能を使用して慎重にピントを合わせた。

SHOTEN M42-SE M レビュー
ソニー α7 III + ペンタックス SUPER-TAKUMAR 55mm F1.8 (絞り優先オート F1.8 1/60秒 −0.3補正 ISO640 WB : 曇天)