機材レポート

【実写レビュー】持ち歩きが超ラク! 小型軽量ミラーレス「OM SYSTEM OM-5 Mark II」をサーキットで使ってみた

2025年7月18日に発売されたばかりの「OM SYSTEM OM-5 Mark II」。マイクロフォーサーズ規格ならではの小型軽量のミラーレスカメラで、さらに防塵・防滴仕様となっておりアウトドアでの撮影に最適です。広い意味で言えば自動車レースが行われるサーキットもアウトドアに違いないということで、実機をお借りして灼熱のサーキットに持ち込みました。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー

 

取材を行ったのは、2025年7月19・20日に富士スピードウェイにて開催された「2025年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第6戦・第7戦」。CAPA「流し撮りGP」の応援ドライバー、佐藤蓮選手 (PONOS NAKAJIMA RACING)、三宅淳詞選手 (ThreeBond Racing) も参戦していますので、彼らの活躍も追いたいと思います。また、「SUPER FORMULA 夏祭り」と題して行われたレース以外の様々なコンテンツも取材しました。「OM-5 Mark II」そのものが写っているカット以外はすべて「OM-5 Mark II」で撮影しています。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー

レンズは、レンズキットに採用されている「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」と、サーキットコース上のマシンを撮影するために望遠ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II」を使用しました。このズームレンズは35mm判換算で200~800mm相当の超望遠撮影が楽しめるので、一般の観戦エリアからでもマシンを思いっきりアップで捉えた迫力のある写真が撮れます。後ほど詳しくレポートします。

 

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー
こちらの写真は、「CAPA CAMERA WEB」でもおなじみのきのちゃんこと後藤佑紀さんに、「フォトサポイベント」におじゃました際に撮影してもらいました。

「OM SYSTEM OM-5 Mark II」は、センサーサイズがフォーサーズ規格ということもあり、横幅が約125.3mm、高さが約85.2mm、奥行が約50.2mmと非常にコンパクトで、バッテリーとメモリーカードを含めても418gととても軽くできています。望遠レンズの「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II」が約1300gで、こちらを装着しても1800gを切るということで、普段5kg以上の機材で撮影していることを考えると体への負担はかなり少ないと感じます。身長164mの小柄な筆者が持つと以下の写真のような感じで、女性にも扱いやすいイメージです。

また、フラッグシップモデル「OM SYSTEM OM-1 Mark II」と同等の防塵・防滴保護等級IP53、−10℃の耐低温という仕様になっているので、天候の変わりやすい山の中のサーキットでの突然の雨などでも安心して使用できるのはポイントが高いです。

まずは各種設定の確認から

今シーズンのスーパーフォーミュラ選手権は、週末2レース制となっていて、土曜日に予選と決勝、日曜日にも予選と決勝があり、マシンを撮影するチャンスがたくさんあります。なので、まずはマシン撮りの撮影設定から。

「OM-5 Mark II」には、「OM-1」「OM-3」に搭載されている被写体検出機能は搭載されていません。でも、121点オールクロス像面位相差AFによる高いAF基本性能と、ボディー内5軸手ぶれ補正機能があれば、十分にモータースポーツ撮影を楽しむことができます。

流し撮りをするのか、止めて撮るのかを選択しやすいように撮影モードは「S(シャッター優先AE)」に設定。AFのモードを「C-AF」に。測距点も選ぶことができるので、「Single」もしくは「Cross」で、ドライバーのヘルメットを捉えたい位置にフォーカスポイントを置きます。ちなみに必要な設定はメニューから行うことができますが、常時使用する設定は、十字ボタンの真ん中の「OK」ボタンを押すことで状態が確認でき、そこから変更できてとても便利です。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー

 

続いて連写設定。今回は主に約10コマ/秒で撮影できる「静音連写」と「プロキャプチャー連写」を使用しました。「OM-5 Mark II」には、さらに高速の約30コマ/秒で連続撮影ができる「静音連写H」「プロキャプチャー連写H」というモードがありますが、これらのモードでは、ピントと露出が1コマ目の値に固定されるので、今回は使用しませんでした。連写設定は、それぞれコマ数を設定することができます。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー

 

そして、手ブレ補正の設定です。筆者は通常の流し撮りでは手ブレ補正機能をOFFにすることが多いのですが、「OM-5 Mark II」には流し撮りに適した設定があります。横にカメラを振ったときに上下の手ブレを補正してくれる「S-IS2」を設定しました。今回は機材も軽いので手持ちで撮影していますので、この補正機能はすごく助かります。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー

さまざまなシチュエーションでマシン撮りに挑戦

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー

まずは一般の観戦エリアからの撮影。スープラコーナーのアウト側の土手の上から狙ってみます。ここは視界も開けていて、流し撮りの際にカメラも振りやすい場所です。少し土手を降りて、後ろで撮っている方の邪魔にならなければ、アイポイントを下げられるので、より迫力のあるマシンが撮れます。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー

コーナーを立ち上がるマシンを狙いました。コーナーをクリアするためにマシンが減速をしているので、比較的撮りやすかったです。ドライバーのヘルメットにピントを合わせて、マシンの挙動に合わせてカメラを振りました。

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OM SYSTEM OM-5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II シャッター優先AE F11 1/80秒 ISO64 WB : オート 523mm (35mm判換算)

縁石に乗り上げながら走行するマシンを横から。かなりスピードが上がってくるので、ファインダーにしっかりとマシンを捉えてカメラを大きく振っていきます。縦方向のブレはカメラ側で補正してくれるので、水平に振ることを意識しています。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー

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OM SYSTEM OM-5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II シャッター優先AE F10 1/80秒 ISO64 WB : オート 339mm (35mm判換算)

 

そして、サーキットでマシン撮りをするみなさんがよく狙う、金網の外からメディアホールを狙うポイント。この撮り方だと金網を抜く必要がないので、低い位置からクリアにマシンを捉えることができます。ただし、枠があるのでかなりアップで捉える必要があり、高速のマシンをテレ端で捉えるのは結構練習が必要です。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー

チャレンジしてみました。少しブレていますが、ドライバーのヘルメット、ステアリングを握るグローブ含め結構迫力あるマシンが撮れたと思います。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー

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OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー
OM SYSTEM OM-5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II シャッター優先AE F13 1/60秒 ISO64 WB : オート 800mm (35mm判換算)

 

続いて、コースサイドから「プロキャプチャー連写」を試してみます。富士スピードウェイの名物でもある約1.5kmの長いホームストレート、マシンの速度も時速300kmを超えます。ストレートを駆け抜けていくマシンを第1コーナー手前のイン側から狙ってみました。ピットレーン側がブラインドとなって、ホームストレートを走行するマシンが見えないので、突然マシンが現れる感覚です。

マシンが見えたところでシャッターを半押しにしてAFを合わせ、シャッターを切っていきますが、ものすごく速いのでシャッターを切るのが遅れがちです。でも「プロキャプチャー連写」に設定しておけば、遡って記録してくれています。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー
OM SYSTEM OM-5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II シャッター優先AE F9 1/160秒 ISO200 WB : オート 437mm (35mm判換算)

 

コカ・コーラ―コーナーの出口も同様です。コーナー出口に向かって登りになっているので、出口側で構えていると、マシンが急に出てきます。こんなシーンでも撮り遅れることなく、しっかり撮ることができます。もちろん個人差はありますが、反射神経が追い付かないようなシーンでは、「プロキャプチャー連写」は有効です。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー
OM SYSTEM OM-5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II シャッター優先AE F11 1/125秒 ISO200 WB : オート 401mm (35mm判換算)

 

ダンロップコーナーへの飛び込み。ブレーキングの摩擦でローターが熱でオレンジになるポイントです。ものすごいスピードでマシンがやってくるので、ビシッと捉えるのはかなり難しくて成功率は低いですが、キマるとうれしいポイントでもあります。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー
OM SYSTEM OM-5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II シャッター優先AE F10 1/250秒 ISO200 WB : オート 200mm (35mm判換算)

応援ドライバーの佐藤選手、三宅選手に「撮ってほしい写真」を聞きました

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー

土曜日に行われた第6戦決勝は、1号車の坪井翔選手 (VANTELIN TEAM TOM’S) が優勝。第5戦に続き連勝となりました。なんと昨シーズンから数えると富士スピードウェイでは4連勝です。そして同日に開催された「KYOJO CUP」のスプリントレースで斎藤愛未選手が優勝し、夫婦で優勝を飾りました。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー
夫婦揃って勝利を収め、メディアから記念撮影を求められる坪井選手と斎藤選手。

 

応援ドライバーの佐藤蓮選手は11位。「これといってハイライトのないレースでした。戦略もレース展開もうまくいかなかった一日でした。予選に関してはもう少しいけるかなというポジティブな印象をもっています」とレースを振り返りました。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー
佐藤選手がドライブする64号車。

 

三宅淳詞選手は21位という結果に。「中盤くらいの速さでロングも走れるようになってきているんですが、一発の速さが出ないところで苦しんでいます。エンジニアと一緒に改善できるポイントを探っているところです」と振り返りました。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー
三宅選手がドライブする12号車。

 

日曜日に行われた第7戦決勝レースは、サーキットのタイム計測装置のトラブルにより、約40分遅れてスタートしました。また、走行中に突然フロントタイヤが外れるマシンが2台もあり、幸い大きなクラッシュにはなりませんでしたが、セーフティーカー (SC) が導入される荒れたレース展開となりました。

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マシンを止めた8号車と外れて転がるタイヤ。撮影ポイントによってはこんなシーンが撮れてしまうことがあります。

 

そんな中、前日のコメントにもあったように、佐藤選手は予選3位で好位置でのスタート。1周目が終わって4位になったものの良いペースで周回を重ねていましたが、SC先導走行中のピットアウト直後に1コーナーでオーバーシュートしてしまい、これがSC中のコースアウトということで5秒ペナルティを受けることになってしまいました。5位でゴールしたのですが、6位という結果でした。

三宅選手はSC中にピットインし、タイヤ交換を済ませてピットアウトをする際、シフトチェンジもできずクラッチも切れない状態になり、33周でレースを終える結果となりました。原因をつきとめ、次に臨むとしています。激しいレースを制したのは、6号車の太田格之進選手 (DOCOMO TEAM DANDELION RACING) でした。

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チームメカニックから熱い祝福を受ける太田選手。

 

レース終了後のミックスゾーンで、佐藤選手と三宅選手に「こんな写真を撮ってほしい」というのを聞いてみました。

佐藤選手は「あまり見ないショットを見てみたいです。こんな構図があるんだ! という気づきが欲しいですね」とのこと。三宅選手は「今年はオーバーテイクしているところを撮ってほしいですね。あまりオーバーテイクしてないから撮るチャンスないかもしれませんが (笑)、限りなく少ないところ撮ってください」と冗談交じりに教えてくれました。

両選手の写真で入賞すると加点もあるので、ぜひ狙って撮って「流し撮りGP」に応募してほしいです。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー
左が佐藤選手、右が三宅選手。

人物撮影からサーキットスナップまで楽しめる

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー
3番グリッドからのスタートでサムズアップで撮影に応えてくれた佐藤選手。
OM SYSTEM OM-5 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO マニュアル F4.5 1/400秒 ISO160 WB : オート 66mm (35mm判換算)

サーキットでは、レース以外にもイベントが盛りだくさん。ピットレーンが解放され、ピット内のマシンを見学したり、ドライバーにサインをもらったり、レース・アンバサダーの写真を撮ったりできるピットウォークや、決勝レーススタート直前には、スターティンググリッドに整列したマシンを間近で見ることができるグリッドウォークもあります。両イベントとも専用のチケットが必要です。

「OM-5 Mark II」には顔・瞳認識AFが搭載されているので、カメラを向ければ即座に認識してAFがピントを合わせてくれます。「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」はすごく小さくて軽く、こういった混雑したシーンでの撮影にも小回りが効くのでピッタリです。筆者も参加して、ドライバーやレース・アンバサダーを撮影してみました。

OM SYSTEM OM-5 Mark II 実写レビュー

また、サーキットではレース用のタイヤや選手のヘルメット、真剣に作業するメカニック、展示車両など、思わず撮ってみたくなる被写体がたくさんあります。そんなときにも、サッと構えて撮れるのも「OM SYSTEM OM-5 Mark II」の楽しいところだと思いました。

サーキットイベントギャラリー

冒頭にも書いたように、今回のレースは「SUPER FORMULA 夏祭り」ということで、日曜日のレース終了後には、ホームストレート上で「アフターレースグリッドパーティ」が開催されました。レッドカーペットが敷かれ、レース後の取材を終えた選手たちが続々と登場。リムジンで登場する選手もいれば、愛車でそのままレッドカーペットに登場する選手もいて、集まったファンは大盛り上がり。選手たちもドリンクを飲んだり談笑したり、楽しんでいる様子でした。

第7戦決勝でトップ3を飾ったドライバーによるトークや、「KYOJO CUP」のドライバートーク、ラリーに参戦する女性ドライバーのトークなどのステージイベントだけでなく、GR YARIS GR4 Rallyのデモランや、FORMULADRIFTマシンのデモラン、大湯都史樹選手 (SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING) によるDJタイムなど、観客をめいっぱい楽しませてくれました。

「アフターレースグリッドパーティ」ギャラリー