機材レポート

7000シリーズの最新モデル『ニコン D7500』実写レポート第1弾

ニコン D7500 18-140 VRレンズキット(撮影:吉森信哉)
今回の撮影では、主に「D7500+AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR」というレンズキットの組み合わせで使用。

< D7500の機能概要&立ち位置 >

 この『ニコン D7500』は、DXフォーマット(APS-Cサイズ)のミドルクラス機 “7000シリーズ” の最新モデル。そう、先週の金曜日(2017年6月9日)に発売されたばかりである。有効2088万画素のニコンDXフォーマットCMOSセンサーを搭載し、画像処理エンジンには「EXPEED 5」を採用。この組み合わせにより「最高8コマ/秒」の高速連続撮影(しかも大量撮影が可能)が可能になり、常用感度の最高値を「ISO 51200」まで高めている。また、動画撮影に関しても「4K UHD(3840×2160/30p対応)」で、より高精細感な映像を撮影することができる。そして、ボディの小型化と軽量化を可能にする「モノコック構造」を採用し、液晶モニターを「タッチパネル採用のチルト式」に変更した事で、これまでの7000シリーズとは一線を画する “高機動力モデル” へと進化している。

 7000シリーズは、2010年10月に発売された「D7000」を皮切りに、D7100(2013年3月発売)、D7200(2015年3月発売)と、型番の数を100単位で増やしながら、画素数アップや機能の進化が図られてきた。この7000シリーズの登場により、それまで “DXフォーマットのフラッグシップモデル” に君臨していた300シリーズ(D300、D300s)は姿を消した。まあ、300シリーズを知る者にとっては、7000シリーズの “高性能モデルの凄み” が感じられない点が少々不満かも。自分もD7000シリーズの前はD300を使っていたから、そんな感じがよくわかる。うーん、D7000シリーズはファインダー接眼部が丸型じゃないしなぁ(笑)。

 だが、昨年4月に上位モデル「D500」が発売されたことで、7000シリーズの立ち位置もより明確になってきた。D500は紛れもなくDXフォーマットのフラッグシップモデル。作りや機能の “凄み” や “圧倒感” はこのモデルに任せればよろしい。7000シリーズは “機能と軽快性のバランス” を求める人に訴求していけば良いだろう。

ニコン D7500 18-140 VRレンズキット(撮影:吉森信哉)
ボディには高剛性炭素繊維複合材料を用いたモノコック構造を採用し、薄型化と深いグリップを実現。そして、重さは前モデルD7200よりも45g軽い約720g(バッテリーとSDメモリーカード含む)である。

ニコン D7500 18-140 VRレンズキット(撮影:吉森信哉)
ミドルクラス機でありながら、良い意味で “エントリー機っぽい軽さ” を感じるD7500ボディ。まあ、キットレンズの「AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR」は、少し大きくて重めだけどね(全長97mm・約490g)。

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< 注目機能・その1 ピクチャーコントロール[オート] >

ニコン D7500 18-140 VRレンズキット(撮影:吉森信哉)

一般的に「仕上がり設定」と呼ばれる、写真の出来を決める機能。ニコンでは「ピクチャーコントロール」と呼ばれる機能がコレに相当する。従来モデルのピクチャーコントロールは、スタンダード、ニュートラル、ビビッド、モノクローム、ポートレート、風景、フラット、の7種類だった(少し古めの機種だとフラットは搭載されていないが)。

 だが、D7500では、新たに「オート」も搭載された。このモードは、カメラが「アドバンストシーン認識システム」で得た高精度な被写体情報をもとにして「スタンダード]をベースにしつつ、色合いや階調をが自動的に微調整するのだ。なお、同様のモードは、キヤノンの仕上がり設定「ピクチャースタイル」に搭載されていたが(新しめのモデルに)、ニコンのカメラには搭載されていなかった。だから、素直にうれしい。

■作例1
ピクチャーコントロール:オート
ニコンD7500作例(撮影:吉森信哉)

ピクチャーコントロール:スタンダード
ニコンD7500作例(撮影:吉森信哉)

共通データ:ニコン D7500 AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR(95mmで撮影) 絞り優先オート F5.3 1/160秒 WB:オート ISO360 5568×3712ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

■作例2
ピクチャーコントロール:オート
ニコンD7500作例(撮影:吉森信哉)

ピクチャーコントロール:スタンダード
ニコンD7500作例(撮影:吉森信哉)

共通データ:ニコン D7500 AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR(23mmで撮影) 絞り優先オート F8 1/40秒 −0.7補正 WB:オート ISO450 5568×3712ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

■作例3
ピクチャーコントロール:オート
ニコンD7500作例(撮影:吉森信哉)

ピクチャーコントロール:スタンダード
ニコンD7500作例(撮影:吉森信哉)

共通データ:ニコン D7500 AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR(26mmで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/25秒 WB:オート ISO800 5568×3712ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

 実際に、いくつかの場面を「オート」と「スタンダード」で撮り比べてみた。…あんまり変わんないね(笑)。色鮮やかな被写体、地味な色の被写体、明暗差の大きい場面。こういった被写体やシチュエーションで、もっと仕上がりに差が出ると思ったんだけど。まあ、このオートは “スタンダードをベースに微調整される” モードだから、そんなに差が出てもマズイんだろうけど…。ちなみに、今回比較した結果だと “スタンダードよりわずかにメリハリがつく場合が多い” という印象を受けた。

 なお、この後に掲載する作例だと、ボケを生かしたアジサイ(ビビッド)と、滝の流れ(風景)以外は、すべて「オート」設定で撮影している。

< 注目機能・その2 タッチパネル採用のチルト式3.2型モニター >

ニコン D7500 18-140 VRレンズキット(撮影:吉森信哉)
ミニ三脚にD7500を据えて、低い位置から並ぶ石像を狙う。ちなみに、ここで使用したレンズは自前の「AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR」。

ニコン D7500 18-140 VRレンズキット(撮影:吉森信哉)
モニター画面を指でタッチして、AFポイントを瞬時に移動させる(タッチAFモードで)。あ〜、ライブビュー撮影時のピント合わせは、やっぱコレだなぁ。

 現在、自分が所有&使用しているニコンFXフォーマット(35mm判フルサイズ)のカメラは、2012年3月に発売された「D800」である。だが、たまに仕事で「D750」を借りて使用することもある。その時に感じるのが「あ〜、やっぱり液晶モニターは可動した方が便利だよなぁ」ということ。草花など背丈の低い被写体はもちろん、当ブログ用のブツ写真などでカメラを低い位置に構える際にも、可動式のモニターが欲しくなる。

 そんな可動式モニターの必要性は、DXフォーマットのD7200を使っていても痛感する。…え? D5500かD5600でも買えって? うーん、5000シリーズはファインダー仕様が低めだし水準器非搭載だしなぁ。…え? だったらD500を買えって? うーん、たしかにそうだけど、予算的にちょっと、ねぇ。うーんうーん(苦悶)。

 ちなみに、モニターの可動方式には、縦位置や自分撮りが可能なバリアングル方式もある(5000シリーズはコレ)。だけど、自分としては、一般的なチルト方式でイイ。いや、チルト方式 “が” イイ。その方式の方が、レンズ光軸とモニターのズレが少なくて、安定して構えられるから。

ニコンD7500作例(撮影:吉森信哉)
ニコン D7500 AF-S DXニッコール16-80mmF2.8-4E ED VR(16mmで撮影) 絞り優先オート F11 1/2秒 −0.3補正 WB:オート ISO100 三脚 5568×3712ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

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ニコンD7500作例(撮影:吉森信哉)
ニコン D7500 AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR(26mmで撮影) 絞り優先オート F11 1/100秒 WB:オート ISO100 5568×3712ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

ニコンD7500作例(撮影:吉森信哉)
ニコン D7500 AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR(26mmで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/40秒 WB:オート ISO125 5568×3712ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

ニコンD7500作例(撮影:吉森信哉)
ニコン D7500 AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR(105mmで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/160秒 −0.3補正 WB:オート ISO140 3712×5568ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

ニコンD7500作例(撮影:吉森信哉)
ニコン D7500 AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR(140mmで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/60秒 WB:オート ISO800 5568×3712ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

ニコンD7500作例(撮影:吉森信哉)
ニコン D7500 AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR(140mmで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/60秒 +0.3補正 WB:オート ISO800 5568×3712ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

ニコンD7500作例(撮影:吉森信哉)
ニコン D7500 AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR(105mmで撮影) シャッター優先オート F5.6 1/1000秒 −0.7補正 WB:オート ISO25600 5568×3712ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

ニコンD7500作例(撮影:吉森信哉)
ニコン D7500 AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR(18mmで撮影) 絞り優先オート F11 1/25秒 −0.3補正 WB:オート ISO800 3712×5568ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

 今回取り上げた機能のほかにも、D7500には注目すべき機能や仕様が数多くある。次回のレポートでは、現在自分が使っているD7200(すでに旧製品扱いだヨ・泣)と比較しながら、いろんなD7500の魅力を探ってみたいね。