機材レポート

伝説のマクロ“タムロン SP90ミリ”はモデルチェンジで何が変わった?

タムロンの「SP90ミリ」といえば、フィルムカメラの時代から“伝説のマクロ”と呼ばれ、優れた描写性能が評価されてきた中望遠マクロレンズである。その高評価は現在のデジタルの時代にも引き継がれていて、ボクもいくつ(何タイプ)かのSP90ミリを使用してきた。最近だと、昨年4月の当ブログ(桜ダブルヘッダー)で、使用中の「タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD」を紹介した。

もちろん、その後もこのSP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USDを愛用してきたが、今夏以降は新型の『タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD』を使用するようになった。…って、製品名同じだわ(笑)。

そう、基本的な製品名は同じなのだが、従来タイプは末尾にモデル名「Model F004」が付き、新型には「Model F017」が付く。

 

20161012_y-koba_capa_01
↑右が新しいSPシリーズのデザインコンセプト(柔らかさを追求したヒューマンタッチ、ユーザーとタムロンとの関係性を象徴するルミナスゴールドのブランドリング、など)が採用されている『タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)』。で、左が従来の「Model F004」。デザインだけでなく、鏡筒素材も違うんだよなぁ

 

特殊硝材LDレンズ1枚とXLDレンズ2枚を使用した11群14枚のレンズ構成や、マクロ域から遠景まで高い光学性能を実現する「フローティングシステム」の採用。さらに、優れた反射防止性能でクリアでヌケの良い描写が得られる「eBANDコーティング」。こういった基本的な光学性能は、従来の「Model F004」と同じである。だが、新型の「Model F017」は、「eBANDコーティング」と「BBARコーディング」を組み合わせることで反射防止性能がさらに向上。レンズ最前面に耐久性に優れる「防汚コーティング」が施され、水滴なゴミの侵入を防ぐ「防塵防滴構造」も新たに採用された。

そして、手ブレ補正機構「VC」も進化した。従来からの角度ブレだけでなく、新たにシフトブレの補正機能も実現。これにより、従来は補正効果が低下するマクロ域でも、しっかり手ブレ補正が効くようになったのだ。この“手ブレ補正機構の進化”こそが、ボクが新型モデルを導入した大きな理由である。

 

20161012_y-koba_capa_02
↑新型モデルの操作スイッチ

 

20161012_y-koba_capa_03
↑従来モデルの操作スイッチ

 

当然、新型モデルを導入したら従来モデルとはサヨナラ…することになるけど(まあ、そうじゃない人もいるけど)、その前に両者を比較してみた。最初の写真のキャプションでも述べたとおり、新型モデルのほうは“新SPシリーズ”のデザインコンセプトが反映されているが、デザインと同時に材質も違う。従来モデルの鏡筒はプラスチック製だったが、新型モデルは金属製なのである。そりゃあ、見た目も手触りも違ってくるわな。

マウント部に近い鏡筒に配置される、各種機能の操作スイッチも違っている。上から、フォーカスリミッター、AF・MFスイッチ、VCスイッチ…という配置は同じ。だが、新型モデルのスイッチはマウント部から少し離れている(前方に位置)。そして、スイッチ&周囲の形状も、丸みを帯びたシンプルなモノに変わっている。まあ、好みもあるだろうが、ボクは新型の方が使いやすいと感じた。特に、従来のフォーカスリミッターは、3つのポジションの間隔がタイトなうえに、距離範囲の表示も少し窮屈で見づらい印象だったからね。

 

20161012_y-koba_capa_04
↑フォーカスリングの表面パターンも含め、新型モデルの方がシンプルでスマートな印象。専用フードもめちゃシンプルで、レンズ本体との“一体感”がある

 

そして現在、新型の『タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)』を使用中。…とか言いながら、実はまだ言うほど使っていない(苦笑)。だけど、これから秋が深まってくると、紅葉も含めて“マクロ向きの被写体”が増えてくる。そこで、じ〜っくりと、この新型マクロレンズを堪能しようと思う。ということで、次回の実写レポートもよろしくっ!

 

20161012_y-koba_capa_05_R
↑夏前に撮影した、季節外れの萩の花。次回は“秋本番”って感じの写真をお見せしたいと思います!!
◆ニコン D800 タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD 絞り優先オート F4 1/100秒 WB:オート ISO250

 

【著者プロフィール】
吉森信哉
撮影テクニック解説、カメラやレンズのインプレなどで活躍中の写真家。とにかくカメラが好きなことにかけては世界一!なレベルだと周囲は認めている(笑)。デジも銀塩も一眼もコンパクトもクラシックも、撮るのも触るのも見るのも夢見るのも買うのも、カメラだったらなんでも大大大好き! タイトルの言葉は広島出身の彼のリアルな心の叫びである。