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【ハスの撮り方】明け方のすがすがしさや透明感を演出する撮影テク

雨の似合うアジサイと並んで、水の似合うハス。6月から7月にかけてハスは大輪の花を咲かせます。ハスは早朝が見頃ですので、今回は、早朝らしい、すがすがしさや透明感の表現方法や、一輪狙いした際のフレーミング方法などをご紹介いたします。

 

午前7時から9時ごろが開花のピーク。早起きをして撮影に出掛けよう

明け方に開き始め、午前7時から9時ごろに開花のピークを迎え、午後には閉じてしまいます。夏も朝のうちは暑くないので、早起きをして撮影しましょう。明け方らしい光を生かして、青みがかった色合いそのままに再現したり、透明感が出るように露出を明るめに調整したりするのもきれいです。ハスは開いて閉じる動きを3~4日繰り返すと、閉じることなく花びらが散っていきます。葉の上や水面に花びらが落ちた姿も狙い目です。

 

基本テクニック

ハス一輪を狙うときは、空間や前ボケを生かしてフレーミングすると作品っぽくなる

ハスは大型の花なので一輪でも存在感がある。むしろ、複数の花を入れようとすると、バランスをとるのが難しい。一輪のハスを画面の中心に収めるのは安定するが、空間が均一になって平凡に感じる。そこで、空間を作る、前ボケを入れるといった工夫をしよう。

 


花を画面の中心に収めた。空間が切り詰められることも広がることもなく単調な印象。図鑑のような写真である。

 

左をカットしたことで左から右への流れが生まれた

ハスは大きな花なので、マクロレンズでなくても部分を切り取ることができる。花の左をカットしてクローズアップした。構図が大胆になり、花の重心が画面の中心からずれて、左から右への流れが生まれた。

 

空間を作るときは花の向くほうをあける

空間が少ないと窮屈に感じるので、あえて上部の空間を多くとって広がりを出した。基本的には花が向いている方向、ここでは上方をあけるのがセオリーだ。シンプルな背景のため、ハスの存在感もある。

 

大胆な前ボケで目を引く作品にする

前ボケを入れると、画面に奥行きと彩りを加えることができる。主役と前ボケは対角に配置してバランスをとった。前ボケのハスの形がこれ以上しっかり出ると、主役を邪魔する存在になるので注意しよう。

 

 

応用テクニック①

早朝に咲くハス、ホワイトバランスの調整で朝の雰囲気を表現する

日の出前の光は青っぽく、それが朝らしさを感じさせる表現になる。青は寒色系の色なので、夏の朝のひんやりとした雰囲気を引き出すこともできる。この自然の色を引き出すには、ホワイトバランスを「太陽光(晴天)」で撮ることが欠かせない。「オート」では自動で色が補正され、青みが弱くなってしまうことがある。

 

夜明け前の雰囲気を出すために「晴天」で撮る

日の出前の空を大きく入れて、空に露出を合わせてハスをシルエットで撮影。ホワイトバランスを「オート」にすると青みが少し補正され、反対に少し赤みが加えられた。ここでは明け方特有の雰囲気を出すために、「晴天」を選んで青みをそのまま再現した。

24ミリ相当 絞り優先オート(F2.8 1/250秒) 0.3補正 ISO200 WB:晴天

 

応用テクニック②

日の出直後は大幅なプラス補正でまぶしさを感じさせる写真に

夏の朝はすがすがしく、日差しがまぶしい。そんなイメージを演出するため、大幅なプラス補正を掛けてみよう。補正量はプラス2~3程度と大幅に行うのがポイントで、ハスが飛ばない程度のハイキー露出にする。背面モニターを見ながら調整を行うと効果的だ。

 

プラス3補正のハイキー描写で朝のまぶしさを表現する

日の出直後のハス畑。明け方の透明感のあるまぶしさをハイキー露出で表現してみた。プラス2補正でも明るいと思えるが、プラス3まで上げると、より爽やかな印象になった。主役が白とびしないぎりぎりの補正を目安にして調整してみよう。

300ミリ相当 絞り優先オート(F2.8 1/400秒) +3補正 ISO200 WB:4000K

 

6月中旬から7月にかけて大輪の花を咲かせるハス。早朝に開花するので、朝らしい光を生かして撮影をしたり、明るめの露出で透明感を演出したりしてみましょう。

 

写真・解説/吉住志穂