外出が億劫になるだけでなく、機材がぬれるので撮影をしない人も多いだろう。しかし、雨の日だからこそ、雨上がりだからこそ撮れる写真がある。ここでは雨天ならではの撮り方を、その道のプロに聞こう。
雨にぬれた草花はしっとりとして、艶やかな美しさが出る。晴天の直射光のような華やかさはないが、落ち着いた雰囲気を生かせるのが魅力だ。水滴や雨紋、霧など、雨の日にしか撮れないモチーフも少なくない。普通の降雨だと写真には写りづらいため、本降りか天気雨による逆光で狙いたい。
背景に霧が出るタイミングで捉えて雨の日らしさを表現する
背景に霧を盛り込むことで、雨の日らしさを引き出せる。雲=霧なので、雨の日はどこかしらで霧が出ているのだが、雲底高度が間近に迫ってきたほうが霧らしく見える。下写真のように霧が少ないと降雨の印象は弱くなってしまうため、背景に濃い霧が迫るタイミングを計ることがポイントである。
36ミリ相当 絞り優先オート(F11 1/200秒) ISO200 WB:晴天
画面全体が霧でかすんでいるときはプラス補正で仕上げる
雨の森は暗い印象だが、背景の空は木々の緑と比較するとかなり明るい。このため露出補正なしでは、明るい空(緑と比較して)の影響を受けて、露出アンダーになってしまう。ここではプラス1補正することで、霧にかすむ爽やかな新緑のイメージを引き出せた。状況によってはプラス2 ~3補正が有効なこともある。
雨の日だからこそ撮れる写真がある。6月のこの時期は、ジメジメした日が続くが、雨は草木を成長させてくれる自然の恵み。霧が出る撮影スポットを探して、みずみずしい草木や、幻想的な風景を撮影してみよう。
写真・解説/深澤 武