外出が億劫になるだけでなく、機材がぬれるので撮影をしない人も多いだろう。しかし、雨の日だからこそ、雨上がりだからこそ撮れる写真がある。ここでは雨天ならではの撮り方を、その道のプロに聞こう。
雨にぬれた草花はしっとりとして、艶やかな美しさが出る。晴天の直射光のような華やかさはないが、落ち着いた雰囲気を生かせるのが魅力だ。水滴や雨紋、霧など、雨の日にしか撮れないモチーフも少なくない。普通の降雨だと写真には写りづらいため、本降りか天気雨による逆光で狙いたい。
ぬれた竹林のつややかさをPLフィルターで引き出す
雨にぬれた草木はテカリが強く、そのままでは浅い色になりがちだ。PLフィルターでテカリを取り除くと、緑の艶やかな色合いを引き出せる。フィルター枠を回転させながらPL 効果を確認し、テカリが最も小さくなる効果最大で使いたい。効果最大でも一部にテカリが残るので、雨の雰囲気が感じられる。
98ミリ相当 絞り優先オート(F11 1/20秒) -0.3補正 ISO400 WB:晴天
雨の森ではぬれた葉を大きく見せて雰囲気を出す
ぬれた葉を大きく写し込むことで、雨の雰囲気が引き出せる。幹をよく見ると雨の筋が認められるが、木々の幹や地面の落ち葉はぬれていても雨らしさは伝わりにくい。風景として捉えると小さな水滴などは目立ちづらいため、雨にぬれているのがはっきりとわかるモチーフを生かすことが重要だ。
18ミリ相当 絞り優先オート(F8 3.6秒) +1補正 ISO100 WB:晴天
雨の日だからこそ撮れる写真がある。6月のこの時期は、ジメジメした日が続くが、雨は、草木を成長させてくれる自然の恵み。雨でぬれているとわかるモチーフを探すことで、みずみずしく、つややかな描写が可能になる。
写真・解説/深澤 武