星空のきれいな景色(星景)を見ると撮影したくなるもの。カメラが好きな人にとって、一度は挑戦してみたい!被写体です。星や月、惑星など撮りたい気持ちはあるのだけれど、「難しい!」「真っ暗!」「星が映らない!」など撮影方法の悩みは尽きません。夜の撮影ということで一見難しく感じますが、星景写真は天体として星を捉えるよりも簡単です。これから流星群や皆既月食、火星の接近など、天体撮影では、イベントも盛りだくさん。カメラを通してきれいに撮る方法やテクニックをご紹介いたしましょう。
星景写真のよくある失敗
肉眼で見ている星空と違う
夜空に無数の星が瞬いていた。しかし、撮影したら星の印象は乏しく、またレンズに結露ができたことによって描写が悪い部分がある。星空の広がりも感じられない。
ここが残念 ×
① 暗すぎてよくわからない → 解決法①
② 結露によって像が不鮮明 → 解決法②
③ 星空の広がりが乏しい → 解決法③
星空を撮影すると、よくあることです。どうすればこの残念ポイントを解消してきれいな星空を撮ることができるでしょうか。解決法をご紹介いたします。
まずは星を点像として写すこと。わかるように地表を捉えることからスタート
星景写真で大切なのは、星が点として写ること、地表が地表としてわかることです。このため広角レンズでの基本露出は、マニュアル露出(Mモード)で「ISO1600、絞りF2.8、シャッター速度10秒」。絶対に守らなくてはならないのはシャッター速度です。10秒より長いシャッター速度になると、星が点ではなくぶれたように写ってしまうので注意しましょう。また、特に湿度がある日は、結露が発生します。レンズに結露がつくと像が不鮮明に写るなど描写が悪くなります。結露対策をして撮影に臨みましょう。
残念ポイント①暗すぎてよくわからない
【解決法①】基本の露出値を基準にしてアンダーになるときはISO感度で調節する
星景を写し止めるには、「ISO1600、絞りF2.8、シャッター速度10秒」が露出の基本になる。これでアンダーになるときはISO感度を上げよう。通常の撮影で暗く写った場合はシャッター速度を長くするが、星景ではシャッター速度を長くすると点像にならない。開放F値がF2.8ではない場合も同様だ。例えば、F4のときはISO感度を3200に設定し、シャッター速度は変えないこと。
ISO800、F1.4で10秒撮影。星をしっかりと写し止める
開放F1.4のレンズなので、感度を低めに設定して撮影。レンズが明るいとファインダーも見やすく、夜の撮影には便利だ。AFは利かないのでMFでピントを合わせる。
24ミリ相当 マニュアル露出(F1.4 10秒) ISO800 WB:オート
残念ポイント②結露によって像が不鮮明
【解決法②】レンズヒーターなどを使って結露を防止する
レンズにできる結露によって描写は悪くなる。結露対策はレンズを温めるしか方法がない。最近はスマホ用のモバイルバッテリーを電源に使用できるレンズヒーターが販売されている。1つ持っていると屋外撮影で重宝する。装着時にピントリングやズームリングが動いてしまう可能性があるので、撮影直前に最終確認をするように。
レンズを一周できる長さがあるものを選ぼう
最近はさまざまなサイズのレンズヒーターが販売されている。このレンズヒーターはベルトが太めだが、細身のタイプもある。大切なのはレンズを一周できる長さがあること。ヒーターのバッテリーが落ちないように、小袋に入れるかテープで固定しよう。
残念ポイント③星空の広がりが乏しい
【解決法③】広角レンズを使って星空を広く捉える
空と大地を一緒に捉えてこそ星景写真だ。そのためには広い画角が必要になる。慣れないうちは単焦点レンズよりも、微妙なフレーミングができるズームレンズが便利である。画角が決まったら、ズームリングをテープで固定すること。闇夜で操作していると、知らないうちに画角がずれてしまうことがあるからだ。
キヤノンEF16~35ミリF2.8L Ⅲ USM
地表は必ず構図に取り入れること
16ミリ相当の画角で撮影。地表の面積は画面の1割程度にして、広い空を演出した。また天の川が写るように、ISO感度を6400まで上げて撮影している。
16ミリ相当 マニュアル露出(F2.8 10秒) ISO6400 WB:太陽光
星景写真では、「星がしっかり点で写ること」、「地表が地表としてわかること」これが重要なポイントとなります。シャッター速度やISO感度の設定を守りながら、撮影してみましょう。
写真・解説/秦 達夫