応用テクニック①
空に対して地上は画面の下1~2割がベター
基本的に星景写真は空がメインの撮影だ。地表は脇役であり、構図を安定化させるための要素である。特に月のない夜に撮影する場合は、地表物は黒い影にしか写らない。その状況で地表物が多く画面に入ると、星空のイメージを希薄なものにしてしまう。空に対して地表物の割合が1~2割程度になるようにフレーミングしよう。
△
○
主題を明確にフレーミングすること
△の写真は、山並みが構図の半分を占めている。この日は月明かりもなく、地表物が黒い帯状に写っているだけでつまらない。こんな状況で構図の半分を地表物で占めると、何が主役かわからなくなってしまう。○の写真は、山並みのラインを画面の下1割に収め、星空を9割入れて空の広さを演出した。
応用テクニック②
地上の被写体を生かして星空を狙う
基本的には星空がメインの星景写真だが、印象的な地表物を生かして狙う方法もある。形のよい木や岩などは、星空を演出するアイテムとして持ってこいだ。ただし、星景のほとんどは開放で撮影して被写界深度が浅くなるため、カメラと地表物が近いと地表物がぼけてしまう。無限遠に近い地表物を対象として選ぶことが重要になる。
△
樹形のよい林があったので撮影。しかし右上に電線が! 暗い中での撮影は、夜空に意外な邪魔者が潜んでいることがある。昼間のロケハンが重要である。
一本桜と星空を絡めて撮影
山梨県で有名な桜のひとつ、鰐塚の桜を黎明の時間帯に撮影。広角域では30mも離れれば無限遠になるため、絞りF2.8でもぼけずに両者をシャープに捉えられた。薄ら明るい時間帯に撮ることでシルエットが強調されている。
16ミリ相当 マニュアル露出(F2.8 10秒) ISO1600 WB:太陽光
星景写真では、「星がしっかり点で写ること」、「地表が地表としてわかること」この2つのポイントを基本として、構図の選択をします。撮影の際、注意するポイントとしては、地表の水平を保つこと、構図内での地表の割合などです。印象的な地表の被写体を見つけて撮影してみましょう。
写真・解説/秦 達夫