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【星と月の撮影の基本③】星や月を撮るのは絶対にマニュアルにしないとダメ?

星空のきれいな景色(星景)を見ると撮影したくなるもの。カメラが好きな人にとって、一度は挑戦してみたい!被写体です。星や月、惑星など撮りたい気持ちはあるのだけれど、「難しい!」「真っ暗!」「星が映らない!」など撮影方法の悩みは尽きません。これから流星群や皆既月食、火星の接近など、天体撮影では、イベントも盛りだくさん。カメラを通してきれいに撮る方法やテクニックをご紹介いたしましょう。

 

絞りに合わせてシャッター速度を自動的に決めてくれる絞り優先オート(A/Avモード)、シャッター速度に合わせて絞りを決めてくれるシャッター速度優先オート(S/Tvモード)は、昼間の風景撮影には便利です。ただし、星のような暗い被写体ではカメラ内の露出計がきちんと作動しないため、オート露出での撮影は難しいでしょう。絞りとシャッター速度を任意に選べる、マニュアル露出(Mモード)での撮影が基本となります。夜空は街明かりの影響を受けて明るさが異なるため、撮影場所によって露出を加減する必要があります。テスト撮影を行って明るさを確かめ、適正露出へと導いてゆく作業が必要です。

このとき、本番撮影では長時間露光する場合でも、テスト撮影の際は超高感度で短時間露光をして適正露出を導き出すのが近道。適正露出を得られたら、実際のISO感度、絞りでの露光時間を計算して本番撮影を行います。

 

【 星空の撮影モード 】マニュアル露出を使う

星空は暗くてカメラの露出計が反応しにくいため、マニュアル露出を使って撮影する。山中や離島など人工光の影響が少ない所では、ISO 6400、F2.8、15秒~30秒で適正露出となる。街明かりや空のかすみによって露光時間は大きく変わるため、テスト撮影を行って露出を決めるのが確実な方法だ。

 

【 月の撮影モード 】月景では絞り優先オートでOK

月は星に比べると圧倒的に明るい。黄昏時や夜明けの時間帯に月景を撮影するなら、絞り優先オートを活用できる。一方、深夜のような薄明かりのない時間帯では、星撮影と同様にマニュアル露出での撮影となる。望遠鏡で月をアップにするときは、スポット測光と露出補正を活用すれば絞り優先オートでも撮影は可能だ。

 

 

赤道儀を使ってマニュアル露出で撮影

絞りF4、400秒(6分40秒 )、 ISO800で赤道儀による自動追尾で撮影。テスト撮影の結果、ISO6400、F2.8、25秒で適正露出だったので、ISO800、 F4に換算して露光時間を割り出し、マニュアル露出で撮影している。

36ミリ相当 マニュアル露出(F4 400秒) ISO800 WB:オート

 

カメラ上級者にとっては、マニュアルモードも苦なく選択することが可能ですが、カメラ初心者にとっては、「マニュアル=難しい!」という気持ちになってしまいます。ですが、そんなカメラ初心者でも、星や月を撮影する時は、マニュアルモードの設定をある程度覚えておいて、あとは、撮影時に試写しながら微調整を行えば、素敵な撮影ができるでしょう。

 

写真・解説/深澤武