応用テクニック①
視覚的に面白い部分を望遠レンズで切り取る
望遠レンズは、画角が狭いという特徴がある。これにより遠くの被写体を引き寄せているように写せるのだ。ただ被写体を大きく写せるというだけでなく、写る範囲が狭いということも頭に入れておこう。そして、この効果を生かしてビルの直線を造形的に切り取ると、視覚的に面白いビル写真になる。
直線のパターンを生かしてデザイン的な作品に仕上げる
どちらも望遠レンズで建物を切り取った(左:428ミリ相当、右:122ミリ相当)。その際、平面的で幾何学を感じさせる部分に注目し。直線のパターンを生かしてデザイン的な作品に仕上げている。さらに左の写真は、黄色系の建物に青空という補色関係で色も意識。右の写真は空をカットして、建物の映り込みを生かしている。
応用テクニック②
魚眼レンズの歪みを利用してインパクトを出す
その名のとおり、魚の目のように非常に広い視野で撮影できるのが魚眼レンズだ。多くは画角が約180度あり、真横や真上、真下まで写る。しかも、直線的なものを画面端に置いて写すと、ぐにゃりと歪むのが特徴だ。なお、魚眼レンズでビルを撮る際は、主役のビルを歪ませるのではなく、周囲を歪ませるほうが効果的だ。
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可動式の背面モニターを見ながら、魚眼レンズを使ってローアングル撮影。遠近の強調効果は出ているものの、魚眼らしさはいまひとつだ。
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画面端に建物を入れて、意図的に歪んだ描写を作る
そこで、周辺のビルを画面に入れてみた。魚眼レンズならではの歪みと遠近の強調効果によって、画面の周辺のビルは大きく弧を描き、都庁舎の建物がビルと花に囲まれた。インパクト大である。
15ミリ相当 マニュアル露出(F16 1/80秒) ISO100 WB:太陽光
広角レンズ、望遠レンズ、魚眼レンズ、表現方法に合わせてレンズを選びます。ビルの高さや広がりを感じさせる広角レンズ。ビルの一部を切り取り豊かなデザイン性を表現する望遠レンズ。魚眼レンズでは、周辺をゆがませ、主役のビルを引き立たせインパクトを出す。それぞれのレンズを使い分けて、高層ビルの撮影をしてみましょう。