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【ビルの撮り方③】単調なビルの撮影は、映り込みを利用するとインスタ映え!?

都市風景として思い描く写真の多くは、ビルが建ち並ぶ光景ではないでしょうか。高層ビルやシンボリックタワー、坂道や路地といった街の情景、みなさんが学校や仕事に通う日常的な街並みも、ふとカメラを通せば、非日常の世界に変わってしまう。そんな都会ならではの被写体の撮影テクニックやコツをご紹介いたします。

 

撮影:川北茂貴

 

映り込みを利用すれば容易に目を引くビル写真が撮れる

街中には被写体を映すものが意外とあります。ビルの窓ガラスはもちろん、道にはカーブミラー、お堀や池の水面、雨上がりにできる水滴や水たまりなどです。街中を散策していると、これらに映り込んだビルを発見する機会もあるでしょう。これまで述べてきたとおり、ビルはそれだけでは単調な被写体なので、少し視点を変えて映り込みを利用するのはとても有効な手段です。映り込みを生かせば、ただビルだけを撮るよりも、そう難しく考えなくても目を引く写真にすることができます。

 

基本テクニック

ガラスに映り込んだ像に注目する

昨今は鏡張りのビルも見かけるようになったが、窓ガラスでも十分に映り込みは狙える。日が暮れるころになると窓ガラスの映り込みが顕著になって撮りやすい。ビルのガラスに映り込みを発見したら、まずは何をいちばんに見せたいかを考えよう。映り込んだ像なのか、ビルと映り込みの全景なのか……、それによっておのずと構図や露出、ピント位置は決まってくる。そうした主題がはっきりしないと、写真も曖昧なものになりやすい。

 

撮影:藤井智弘

被写界深度の深い広角レンズを使う
夕暮れ時、建物のガラスにライトアップされた教会が映り込んだ光景に注目した。ここでは被写界深度の深い広角レンズを使うことで、教会にピントを合わせても、建物がぼけないようにした。また夕暮れの空とライトアップが目立つように、アンダーめの露出にしている。

25ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/20秒) -0.7補正 ISO400 WB:太陽光

 

撮影:河野鉄平

映り込みが生きるようにシンメトリー構図で捉える
晴天下、街中でガラス張りのビルを見上げたら、前のビルが映り込んでいた。そこで実像と虚像を生かして、シンメトリーになるように構図を組んで撮影。アイレベルでは気がつかない視点だ。ビルの密集した街中では、このように見上げた先にも被写体が隠れている。

17ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/1250秒) -0.3補正ISO400 WB:オート

 

 

応用テクニック①

水面の反射を取り入れて光を倍増させる

水面の反射を狙うには断然夜がおすすめだ。暗い水面のキャンパスに、ビルの明かりがきれいに反射する。普通の夜景写真よりも光が倍増し、にぎやかなビルの写真になる。さらに美しい水鏡を狙うなら、波のないお堀や池などで無風状態のときに撮るのもポイントだ。

 

撮影:川北茂貴

水面反射によって“都市風景”感が強まる
下町の向こうに高層マンションが建ち並ぶ現代的な夜景を撮影。停泊中の舟とマンションだけの左写真でも悪くはないが、水面に映ったマンションの虚像を入れることで、より華やかな夜景写真になった。にぎやかな都市風景のイメージがより引き出されている。

 

撮影:川北茂貴

空や暗いだけの水面はなるべくフレームアウト
ビル群と水面反射を広く撮ってしまうと、思いのほか暗いスペースが画面に入ってしまう。暗いだけの空や水面はなるべくカットして、きらびやかな箇所だけで構成すれば、左写真のように見栄えよく仕上がる。ズームレンズを使えば、フレーミングの自由度が上がって便利だ。

16ミリ相当 絞り優先オート (F11 5秒) ISO200 WB:白色蛍光灯

 

応用テクニック②

マクロレンズを使ってしずくに映り込んだビルを狙う

雨が止んだ直後は、ビルの前にある手すりや草木などに付着した水滴の中をのぞいてみよう。逆さになったビルの映り込みを見つけられるかもしれない。発見したら、マクロレンズなどを使って水滴を接写する。その際、ピントは水滴の中のビルに合わせること。カメラ任せにすると、水滴の表面に合いやすいので注意が必要だ。

撮影:永山昌克

リバースアダプターを使って撮影
この写真は、マクロレンズの代わりに、高倍率接写を可能にするリバースアダプターに広角レンズを逆付けして水滴の中を撮ったもの。一風変わったビルの写真が作れた。

17ミリ相当 絞り優先オート(F22 1/40秒) ISO800 WB:オート

 

街中には、ミラー、ガラス、水たまり、池など、映り込むものはいろいろあります。単調で無機質なビルを、そのような映り込みのテクニックを使って撮影すれば、インパクトのある感情の伴う写真が撮れることでしょう。