ここ数年、撮影ツアーができるほど人気の工場写真ですが、その多くは夜に撮られたものです。夜の暗闇に光る明かりや煙突、タンクなど、工場を形成する様々な機械類を、フォトジェニックに撮影するためのテクニックの数々をご紹介いたします。
工場夜景に最適な脇役の動きを生かして取り入れよう
工場夜景には、機械類から吐き出される煙や水蒸気が付きものです。これらを積極的に取り入れることで、静止した世界に動きが生まれ、より独自性を表現できます。煙や水蒸気はシャッター速度の選択でその描写が変わってきますので、自分のイメージに合うようにコントロールしましょう。
また工場は水場に面していることが多いので、光を反射する水面を狙えるほか、道路沿いでは車の光跡を入れて画面のアクセントにするのも効果的。これらは長く流し(ぶらし)て捉えるのがコツです。
基本テクニック
シャッター速度をコントロールして煙や水蒸気の描写を操る
煙は煙突から、水蒸気は冷却塔などの機器類から出ることが多い。これらは工場夜景の脇役として最適なので、積極的に取り入れたい。煙や水蒸気の描写は、長秒露光で流してもいいし、少し感度を上げて1秒以内のシャッター速度でモクモク感を出すのもいい。露光が長くなるほど煙は流れて写るので、流れを予測して構図を作ることも大切だ。
煙を流して描写するには低感度に設定する
ISO400 F11 20秒
目で見ればモクモクと湧き上がる煙や水蒸気は、長秒露光で撮ると白い筋として描写される。動画や肉眼では見ることのできない、写真ならではの表現方法だ。 ISO100~400と低感度に設定して、10秒以上の長秒露光で撮ろう。
煙のモクモク感を狙うにはISO感度を上げる
ISO6400 F5.6 1/3秒
夜景撮影としては速い1秒以内のシャッター速度で煙を捉えれば、肉眼と同様にモクモクとした感じに写る。1秒以内のシャッター速度を得るには、ISO感度を上げる必要があるが、上げすぎには注意しよう。