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【路上の撮り方②】「美しい!心地よい!」と感じる構図パターンを利用しよう

 

応用テクニック①

都市風景は不安定な構図に面白さが生まれる

都市の情景を撮る場合に限らず、水平や垂直のラインというのは構図を決める際に考慮すべき一つの要素だ。しかし、それにとらわれすぎると構図が安定しすぎてしまい、平凡や退屈な写真になってしまうこともある。都市風景は不安定な構図ならではの面白さも重要。あえてバランスを崩したカットも撮影してみよう。

 

撮影:鹿野貴司

 

バラバラに散ったラインに注目して混雑する様子を表現

左の写真は、水平を意識しながらバスターミナルを撮影した。悪くはないが、きれいに決まりすぎていて雑多な街の雰囲気は伝わらない。そこで少しカメラを右に振ると、車両が偶然バラバラの方向を向いていた。広角の遠近感も効いて、複雑に入り組んだラインの面白さが生きる。

21ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/40秒) -0.3補正 ISO100 WB:オート

 

 

応用テクニック②

画面を意図的に傾けて単調さを回避する

これも応用テクニック1と考え方は同じ。安定感がある構図だと単調になりやすいという一面もあるので、カメラ自体を回転させて画面を意図的に傾けることで単調さを回避する。画面を傾けると、動きやリズムを引き出せるというプラスの効果も期待できる。車や鉄道など、動く被写体を捉える際には特に有効だ。

 

安定感のあるシンメトリーを崩してリズムをつける

撮影:永山昌克

 

左の写真は歩道橋上の眺めを、水平を維持しながら撮影。安定感のあるシンメトリー構図だ。右は画面を傾けたことでシンメトリーは崩れたが、道路と屋根が作る放射状の線によって、動きを感じる写真になった。こちらはいわゆる放射線構図である。

 

画面の傾きで路面電車の動感を演出する

撮影:鹿野貴司

 

喫茶店の窓越しに外を走る路面電車を普通に撮影したのが左の写真。どこか間の抜けた印象だ。そこで、路面電車を置く位置をもっと手前にして大きく捉えつつ、カメラを少し傾けた。窓枠に角度がついたことで画面がやや不安定になり、それが動きや臨場感の表現につながっている。

 

美しい!心地よい!と感じる構図パターンを利用した撮影テクニックをご紹介いたしました。道の奥行きを表現するには、こういったパターンを活用してみるのもいいでしょう。また時には、意図的に傾けることでリズムをつけることも可能になりますので、試してみましょう。

 

 

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