路上には街灯や標識、カーブミラー、看板など、さまざまな設置物があふれています。普段は被写体としてあまり絵にならないと感じ、見逃しがちでもある設置物。このような設置物にスポットを当てて、魅力的な写真に仕上げる撮影テクニックをご紹介します。
標識は順光狙いで色調を生かして
街灯は逆光で捉えてシルエット描写にしよう
光と影を活用すると、普段は何げなく見ている道路標識などが引き立ってきます。標識は順光で捉えるとはっきり写り、色調も強調されるのでインパクトのある写真に。また強い光が標識やカーブミラーに反射している光景も、ハイライトがアクセントとなって画面が引き締まります。
街灯を雰囲気重視で撮るなら逆光がおすすめ。シルエットにして、空の階調や光を強調しましょう。また、壁に映る影を狙っても、デザイン性を感じさせる印象深い写真に仕上げることができます。
基本テクニック
太陽の輝きを画面に入れてアクセントにする
カーブミラーや標識、看板などは、太陽の光を反射させると、それがアイキャッチとなってインパクトが出る。画面のアクセントとして、とても効果的である。晴天下でアングルや撮影ポジションを調整しながら、設置物の縁近くで反射させると光条が出てカッコよく決まる。光の反射ではなく、太陽を直接捉えたり、被写体で少し隠したりして取り入れるのもいい。
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カーブミラーに映る空と雲、そして壁の影に引かれて撮影したが、インパクトは弱い。ミラーの影も別の影と重なっていて中途半端な印象だ。
何げない場面も強い光を入れることで印象的になる
画面のアクセントとなるように、太陽をカーブミラーに反射させて撮影。超広角レンズの遠近感を意識し、ダイナミックな印象になるように下からあおる。露出はハイライト側で合わせてAEロックをしており、全体をややアンダーにすることで輝きを強調した。
21ミリ相当 絞り優先オート(F11 1/320秒) ISO100 WB:オート
逆光時はシルエットで見せるのもおすすめ
逆光時は被写体をシルエットにし、フォルムを強調させても楽しい。単調な形の標識やミラーより、絵になる街灯などがおすすめだ。なお、逆光では画面にフレアやゴーストが出やすい。演出として利用するのでなければ、それらが出ない位置を探そう。
おしゃれな街灯はシルエット描写向き
逆光で街灯を狙う。さらに、空と雲の階調も意識する。順光とは異なる、イメージ的な写真に仕上がった。フレアやゴーストが出ないよう、太陽がわずかに雲にかかった瞬間を狙っている。
応用テクニック①
影に注目する、影を生かす
光だけでなく影にも注目してみよう。造形的な影だけを狙ったり、影をアクセントとして設置物と絡めたりするのも効果的だ。影を取り入れるときのポイントは、影が引き立つようにシンプルな壁を選ぶこと。色は白だとベストだ。
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白い壁に赤い標識、斜めの影をアクセントにデザイン的に切り取る
四角い標識と四角いドアなど、水平と垂直で構成した画面。そこに斜めの影が入ることでアクセントになった。また白、赤、青のシンプルな色調もこの写真のポイントだ。同じ3色だが、上の写真は光も影も生かされていない。
58ミリ相当 絞り優先オート (F4 1/500秒) +0.3補正 ISO100 WB:オート
影そのものを撮るときはそのカタチが重要
壁に映った街灯の影。ガラス部分の透明感も表現できた。注意するのはそのカタチ。単なる丸や四角だと、影を見ても何であるかわからない。はっきり街灯だとわかるカタチだと、影だけでも街の雰囲気が伝わる。
応用テクニック②
設置物に当たるスポットライトを生かす
スポットライトのように設置物に光が当たっているシーンでは、露出オーバーにならないようマイナス補正、もしくはハイライトでAEロックして背景を暗く落とすと明暗のメリハリによって設置物が際立つ。また標識を逆光で狙い、フラッシュでスポットライトのように補助光を当てるのも、非現実的な印象になって面白い。
内蔵フラッシュを使って意図的にスポットライトを作り出す
黄色い標識が目に入ったが逆光状態。そのままでは標識は暗く沈んでしまい、反対に明るくすると空がとぶ。そこでカメラの内蔵フラッシュを補助光にした。スポットライトが当たったように標識が浮き立ち、不思議な印象の写真になった。
日陰の暗部をガッツリ落とすのがポイント
黄色い看板に強い西日が当たっていた。ハイライト部でAEロックして、思い切って背景を暗く落とす。看板の黄色が引き立つ写真になった。
21ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/250秒) ISO200 WB:オート
設置物である被写体と太陽とカメラの位置関係で、輝きのある撮影ができたり、逆にシルエット撮影もできたりします。影を造形的に取り入れて撮影する場合は、シンプルな白い壁などで、影や設置物などの被写体にスポットが当たるようにしましょう。