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【路上の撮り方③】静止画の写真なのに、“動き”を表現する方法

都市の情景を撮るうえで、路上には魅力的な被写体であふれています。とはいっても、道の種類はさまざまで撮り方もいろいろ。日々何気なく通り過ぎる路上を、どういう風に切り取り素敵な写真にするか、狙い目の被写体から効果的な撮り方までをご紹介します。

 

撮影:鹿野貴司

 

静止している路上風景の中に“動き”という要素を加えてみよう

見慣れた路上風景をかっこよく写したいと思ったら、動いている被写体を見つけて、それをわざとぶらして捉え、動感を表現してみるといいでしょう。シャッター速度を遅くすることで、静止画である写真でも動きを表現できるのです。このテクニックが生きてくる被写体が路上を走る車や自転車です。いつもの街の写真に車のブレをアクセント的に加えると、人とは違った都市風景を撮れるでしょう。シャッター速度をさらに遅くすると、歩く人をぶらして撮ることもできます。

 

基本テクニック

三脚+長秒露光で車の光跡を捉える

路上には車が走っている。昼間はなかなか絵にするのが難しいが、夜に撮影すると車のライトが光の線となって描写され、インパクトのある写真が撮れる。この光跡は写真ならではの表現で、肉眼では見られず、二度と同じ形状は撮れない。車の光跡を撮るには、三脚を使って長秒露光するのが基本。露光時間が長くなるほど、光の線を長く描写できる。

 

 

 

撮影:藤井智弘

 

車の光跡をメインにして夜の路上を狙う

ビル群の夜景を見上げて撮影していたが、道路際ギリギリで撮影していたため、思いのほか車の光跡がかっこよく写り込んできた。そこで、メインを光跡に切り替えて、夜の都市風景を狙う。画面を横切る光跡が動きとスピード感を与え、さらに輝きと彩りも加わった。

24ミリ相当 絞り優先オート(F10 4秒) -1補正 ISO100 WB:晴天

 

1/4秒

撮影:永山昌克

1秒

撮影:永山昌克

4秒

撮影:永山昌克

 

光跡の量は、露光秒数や往来の数、シャッターを切るタイミングなどによって変わる

車の光跡表現は、車の走行速度やレンズの焦点距離、シャッター速度などの条件によって写りが変化する。上の3枚の写真は、同一シーンをシャッター速度1/4 秒、1秒、4 秒で撮り比べたもの。車のカタチをある程度残したいときは1/4 秒程度、光跡のみを表現したいときは4 秒以上が適している。

 

応用テクニック①

動く人物をぶらして捉えて動感のある都市風景にする

路上で撮影をしていると、通行人や行き交う車、自転車などがカメラ前を横切るだろう。それらをぶらして取り入れると、都市風景に動感を加えられ、目を引く写真になる。ただ昼間は夜と違って明るいため、シャッター速度が遅くなりにくい。絞りを絞り込んで対応しよう。

 

撮影:鹿野貴司

 

絞り込むことでシャッター速度を遅くできる

サイクリングロードで絞りを最小のF22にセット。絞りを絞り込むことでシャッター速度は遅くなり、駆け抜ける自転車の疾走感を表現できた。なお、遅いシャッター速度なのでカメラ自体がぶれないよう、三脚に立てて撮影している。

24ミリ相当 絞り優先オート(F22 1/40秒) ISO100 WB:オート

 

応用テクニック②

NDフィルターを使って歩く人物を消す

都市部などでは通行人が写り込んで、意図した写真が撮れないこともある。そんなときは、少し特殊だが、露光時間を長くして人を消してしまえる。ただし、日中は明るいので長秒露光が得られにくい。 減光効果8~10段分程度のNDフィルターを使うとシャッター速度を遅くできる。

 

シャッター速度を意図的に遅くしたいときに使うのがNDフィルター。減光量別に何種類も用意されている。

 

 

路上風景自体は動かず静止している状態なので、そこに、動きを加えることでインパクトのある動きのある写真が撮れます。シャッター速度を変えて、自分好みの動線を表現してみましょう。