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【海の撮り方②】穏やかで静かな海の写真を撮るテクニック

暑い夏!サマーバケーションで、南国や海を訪れる方もたくさんいるでしょう。青い海はカメラを向けたくなる被写体です。しかしながら海と言っても、静かな海、荒々しい海、太陽ギラギラの海など、その表情はさまざまです。撮りたい海のイメージに合わせた撮影テクニックをご紹介いたします。

 

Q.「静かな海」写真を撮るには?
Answer. 朝夕の時間帯にスローシャッターで撮る

寄せては返す波によって動感が表現しやすい海の写真だが、スローシャッターで波の動きを平均化させて滑らかな海面に仕上げると、静かなイメージを引き出せる。その際、日の出前や日没後のやわらかくて弱い光で撮影するのがポイント。スローシャッターが容易に得られるだけでなく、焼けた雲を生かした赤い色、雲がないときの青い色など、自然の色彩効果も生かせる時間帯なのだ。このとき、画面構成は、空と海をメインにしたシンプルなものがおすすめで、もちろん撮影時に三脚は必須だ。風で揺れることのない、頑丈なタイプが重宝する。

 

ダイナミックな夕日が水平線に沈むと、辺り一帯は穏やかな色彩に包まれる。日没から20 分が経過し、水平線付近に残る淡い色合いを生かしてシ ャッターを切った。2.5秒のスローシャッターにより、波の動きが滑らかに写し出されて、夕暮れどきの静けさを表現することができた。

16ミリ相当 絞り優先オート(F11 2.5秒) ISO200 WB:5000K

 

【! Point】日中だと鮮やかな色彩の海も、日没後に撮ると静かな雰囲気となる

夏の日中は光が強くて華やかだ(上写真)。一方、下写真のように日が暮れて20分も経つと、青を基調とした冷たさや静けさが漂う雰囲気になる。薄暗くてシャッター速度は 5 秒となり、穏やかな波に仕上がった。海と空だけでは単調なので木の枝を手前に入れている。

16ミリ相当 絞り優先オート(F11 5秒) +1補正 ISO100 WB:5000K

 

【! Point】1/250 秒だと波の凹凸が目立つ海も、長秒露光で撮ると穏やかに写る

1/250秒

 

6秒

シャッター速度が速いと波の動きによる迫力が出るが、スローシャッターになると波の動きが平均化されて穏やかな雰囲気に写る。おおよそ1秒くらいが「静」と「動」の分かれ目だ。6 秒で撮影すると岩を洗うような波も滑らかに描写され、夕暮れの優しい色も手伝って静かな海となった。

48ミリ相当 絞り優先オート(F16 6秒) -0.7補正 ISO100 WB:5000K

 

波の動きをカメラの設定で穏やかにする方法、それは、シャッター速度を遅くすることです。長秒露光で撮影すると、穏やかな雰囲気になります。あとは、撮影時間を朝夕の時間帯にして空のグラデーションを背景にすると、幻想的な写真が可能になります。

 

写真・解説/深澤 武