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【花火の撮り方①】日本の夏を彩る花火を色鮮やかに撮影するテクニック

夏の夜を豪華に彩ってくれる花火は、日本の風物詩。きれいな花火を見るだけではなく、「デジタル一眼で撮ってみたい!」と思う被写体の一つです。今回は、花火写真家・金武 武さんに、花火をシャープに写すための撮影テクニックや、必要機材、入門者向けのQ&Aまで、いろいろ教えていただきました。季節限定のこの色鮮やかな絶景花火を、今年はきれいにカメラでとらえましょう!

 

 

カメラ設定のキモはISO感度あとはNDの使いこなしだ

花火には色、明るさ、大きさ、開花時間など、さまざまなタイプがある。例えば、中規模の花火大会でよく上がっている 4 号玉は、上空で開花して消えるまで 3 ~ 4 秒かかる。一般的な花火で大きな尺玉(10 号玉)だと 8 ~ 10 秒程だ。

打ち上げ花火の中でいちばん明るいのは銀冠菊花火だろう。仕掛け花火も入れると、一定の場所から火の粉を出し続けるナイアガラ花火が最も明るい花火といえる。そして、「和火」と呼ばれる江戸時代の暗い花火もいまだ現役である。

肉眼では同じ明るさに見える花火でも、写真に撮ってみると露出アンダー、もしくはオーバーになってしまったりする。なので、花火に合った絞りを選び、シャッターの開け閉めをすることが欠かせない。

拡張機能を使って ISO 感度を低くして露出オーバーを防ぐこともできるが、ダイナミックレンジが狭くなり、色ノリが悪くなったりコントラストが強くなりすぎたりしてしまう。基本感度の中で最も低い感度を使用し、ND フィルターを装着すれば、適正露出で撮れる花火が格段に増える。RAW で撮っていても、露出オーバーになってしまった写真を現像時に再現することは困難である。

 

豪華なスターマインは露出の調整がカギ

今、打ち上げ花火は明るく色鮮やかになり、スターマインなどはより豪華に進化している。明るい花火をカメラ任せのオート機能で撮ると、露出オーバーになったり、タイミングが合わなかったりする。ここではハーフ ND8 を使って花火の露出を抑えて光跡をシャープに描きつつ、屋台と露出を合わせて1 枚に収めた。

ニコンD600 AF-Sニッコール18~35ミリF3.5 – 4.5G ED バルブ  9.4秒 絞りF6.7 ISO100 ハーフND8使用

 

いちばん明るいナイアガラは1~1.5秒が露光の目安

ナイアガラ花火はワイヤーに吊るされた火薬に点火し、60 ~ 90 秒間も輝き続ける。同じ場所から火の粉が出続けるため、露出オーバーになりやすい。露光時間は 1 ~ 1.5 秒を目安に、絞りの調整と ND フィルターの組み合わせで、火の粉の細かい光跡を写す。ND は必需品だ。

ニコンD600 AF-Sニッコール18~35ミリF3.5 -4.5G ED  バルブ  1秒  絞りF13  ISO100  ND4使用

 

露光間ピントずらしは花火撮影の中で最も難しい

花火が開花している間に、手動でピントをずらしたり合わせたりする撮影テクニックが「露光間ピントずらし」だ。最近は、アート花火などと呼ばれている。花火の種類とカメラ、レンズのことを理解していないとうまく撮れない。最も難しい花火の撮影テクニックだろう。

ニコンD600 AF-Sニッコール85ミリF1.8G バルブ 1秒 絞りF4 ISO100

 

夏の花火は、早いところで、7/20日頃から開催されます。時を経て花火も進化し、新しい花火がたくさん発表されています。花火は瞬間的なものなので、カメラ設定や、タイミングを合わせるのが難しいですが、2018年の夏、デジタル一眼カメラを持っていろいろ試してみましょう!

 

写真・解説/金武 武