特集

【タワーの撮り方①】タワーの存在感は絶大だ!この万能な被写体を活かす撮影方法

都市風景において、タワーの存在感は絶大です。それだけを狙っても、風景の一部として広く撮っても絵になります。構図にタワーが入るだけで、アクセントのついた素敵な一枚をとることも可能です。この万能な被写体であるタワーの撮影テクニックやコツをご紹介いたします。

 

撮影:川北茂貴

 

タワー写真のよくある失敗 ×

シャープな印象がないうえタワーだけなので平凡

タワーだけを狙っても絵になるとはいったが、これでは平凡すぎる。タワーの記念写真にすぎない。また、先端がぼけている点も気になるし、背景が真っ暗な空というのも芸がなさすぎる。

 

ここが残念 ×
①タワーのてっぺんがぼけている → 解決法①
②背景が真っ暗でつまらない → 解決法②
③比較対象がないので大きさがわからない → 解決法③

 

タワーをシャープに捉えつつ空や周辺環境にも目を向けよう

タワーを撮るときの基本は、その全体をシャープに捉えること。どこかがぼけてしまうと曖昧な印象になったり、硬質感が損なわれたりと、失敗写真のように見えてしまうことがあります。また写真は、主に被写体と背景で成り立っています。たいていの人は、被写体のことはよりよく見せる工夫をするのですが、背景のことはおろそかになりがち。タワー撮影の場合は空が背景になることがほとんどで、画面に占める割合も多くなるので、きれいな空のときに撮りましょう。

 

残念ポイント①タワーのてっぺんがぼけている
【解決法①】絞りを絞り込んで、パンフォーカスで捉える

フレーミングの寄り引きに限らず、タワーを撮るときは明確な意図がないのであれば、全体をシャープに捉えたい。全体がシャープに決まると、鮮明な描写になって印象がより高まる。下の写真のように奥行きがあるタワーを撮るときは、広角~標準域のレンズを使い、絞りを絞り込んで、パンフォーカス描写を作りだそう。

 

てっぺんまでシャープなほうがカッコイイ

掲載サイズが小さいため、どちらも一見するとシャープに見える。しかし先端部を拡大すると、左の写真はぼけてしまっている。これは、暗いところでの撮影ゆえに絞りを開けたためだ。24ミリ相当、F11 で撮った右の写真は、先端までシャープに決まった。

 

残念ポイント②背景が真っ暗でつまらない
【解決法②】空や雲がきれいなときに狙う

その街のシンボルであるタワーは、どこから見てもその存在を確認できるほど高い。タワーを先端まで写し込むと、ほとんどの場合、背景は空になるため、空がきれいだとそれだけで写真が映えるのだ。すなわち、背景にある空は、タワーを魅力的に見せる舞台なのである。空の色が鮮明であったり、印象的な雲が出ていたりするときは、タワー撮影日和だといえる。

撮影:川北茂貴

ライトアップはトワイライトの時間帯に撮るのがおすすめ

夕空バックにライトアップされた東京スカイツリーを撮影。スカイツリーを真ん中に置いたシンプルな構図だが、トワイライトの空と動きにある雲によって、魅力的な1枚に仕上がった。この時間帯はライトアップされたタワー撮影におすすめだ。

32ミリ相当 絞り優先オート(F11 8秒) -0.7補正 ISO200 WB:太陽光

 

撮影:吉森信哉

雲を生かした構図にする

左の写真は、空は適度な明るさと色ではあるものの、画面左の空の割合が多すぎて単調な印象。少し待つと雲が広がってきた。そこで、画面右側に広く空を取り入れて、空間の広がりを表現した。

 

残念ポイント③比較対象がないので大きさがわからない
【解決法③】周囲の被写体と絡めて撮る

都市風景としてタワーを捉えるなら、街の様子とも絡めて撮りたい。上の夕景写真のように高い場所から狙うのもいいが、地上から撮ることで普段見ている光景となって、より街の様子を伝えることができる。その際は、パンフォーカスが得られる広角レンズを使うのがベター。街もタワーもシャープに写せて効果的だ。

 

撮影:永山昌克

超広角レンズを使って東武特急越しに狙う

15ミリ相当の超広角レンズを使って撮影。超広角域は被写界深度が極めて深く、近景から遠景までの広い範囲にピントが合いやすい。近景の列車と遠景のスカイツリーの両方をくっきり表現できた。

 

撮影:川北茂貴

奥行きを生かして、路地の先に見えるスカイツリーを狙う

22ミリ相当の広角域で、縦位置の上下いっぱいに左右の建物を入れて切り取る。道の向こうに見えるスカイツリーに自然と視線が誘導される構図で、タワーの存在感は申し分ない。

22ミリ相当 絞り優先オート(F11 6秒) -0.7補正 ISO200 WB:白色蛍光灯

 

シンボルタワーは、どこから撮ってもカッコよく撮影ができます。ですが、少し高さのある被写体なので、全体がスッキリシャープに撮影できるよう設定しましょう。また、タワーの大きさ、高さを強調するために、街の風景などを構図に含めれば、より存在感を示すことができるでしょう。