特集

【橋・ジャンクションの撮り方②】Simple is BEST!遠近感や立体感を描写する方法

橋や高速道路などのジャンクションは、人気のある被写体で、夜景での撮影がフォトジェニックで近未来感あふれる作品になります。この入り組んだ立体交差のジャンクションを夜に撮影するテクニックや、ライトアップされた橋の撮り方をご紹介します。

 

撮影:川北茂貴

 

遠近感、立体感、シンプルな画面を意識して脇役まで考えながら構図を作ろう

印象に残るジャンクション夜景に必要な要素は、遠近感、立体感、シンプルな画面、それに脇役です。構図を考える際には、ほかの建物などに邪魔されることなく、奥から手前に伸びる高架道路が何層にも重なる場所を探し、広角域で広く長く切り取りましょう。そして構図の空いた空間に、脇役として光跡や街灯の光芒を入れます。ジャンクションは被写体のそばに近づけますが、安全のため歩道で撮るが原則です。また、道路をまたぐ歩道橋の上もベストポイントなのでおすすめです。

 

基本テクニック

枝分かれしている部分を、遠近感を出して切り取る

ジャンクションは高架道路の合流部分や枝分かれしている箇所であり、その分岐点を構図の奥に配置し、手前側に道路が広がるように撮れば遠近感を強調できる。また立体感を表現するには、ジャンクションの中で高架部分が何層にも重なって入り組んだ部分を狙う。広角レンズ特有の遠近感の強調を利用するのも手だ。

 

×

撮影:川北茂貴

下の〇写真と同じジャンクションを撮影。高架道路の重なりを気にするあまり、左右に横たわる高架が目立って遠近感が乏しい。

 


撮影:川北茂貴

交差&枝分かれによって遠近感と立体感を強調

手前には上下で交差する部分が入り、奥で分岐した高架道路が重なりながらこちらに向かって広がるという遠近感、立体感ともに強調できる構図。さらに光跡&光芒も入れられた。ここから少し移動すると構図のバランスが崩れるので、ここがベストなポイントだ。

21ミリ相当 絞り優先オート(F11 25秒) -0.7補正 ISO200 WB:白色蛍光灯

 

+α 見上げて撮る場合、三脚の仰角が足りなければ、雲台にカメラを前後逆にして取り付ける

真下から狙えるジャンクションは、見上げるとその巨大さに圧倒される。しかし、三脚に乗せたカメラを上に向けても、雲台の上限で真上まで向けられないことが多い。そのようなときは、雲台に乗せるカメラを前後逆に付けてみよう。真上に向けることができる。

撮影:永山昌克

撮影:永山昌克

雲台とカメラの接合を前後逆にするだけで、仰角の限界から解放される。画角が広いレンズとパーン棒が長い雲台の組み合わせでは、棒が写り込まないように注意。

 

応用テクニック①

入り組んだ高架道路の複雑さを強調する

入り組んだ立体交差の高架道路は、立体感を出すために重要な部分。それを強調する際は構図の余分なものは極力排してシンプルにまとめることが大切だ。邪魔なものが入ればジャンクションが隠れるだけでなく、鑑賞者の目線が立体交差に集中しなくなる。

 

撮影:川北茂貴

思い切って地上を入れずにシンプルな構図で切り取る

手前に広がる曲線を大きく、奥で左右に横切る高架道路を小さく入れて構成。シンプルな構図だが、それ以外の余分なものを排して、巨大ジャンクションの広大さを表現した。思い切って地上を入れないのも、構図をシンプルにするには効果的だ。

19ミリ相当 絞り優先オート(F11 25秒) -1.7補正 ISO250 WB:白色蛍光灯

 

×

撮影:川北茂貴

橋脚の足元の大きな倉庫が邪魔で、ジャンクションの広がりが弱い。余計な被写体は極力入れないようにしよう。
 

×

撮影:川北茂貴

こちらは、高架道路よりも橋脚が目立ってしまっている。 よい被写体でも、どこにカメラを向けるかが肝心だ。

 

応用テクニック②

構図のアクセントに自分の影を写し込む

ジャンクション夜景には光跡や光芒が脇役として最適だと説明してきたが、自分の影を入れてみるという手もある。最近の街灯はLEDが多く、従来のものに比べてシャープな影が出るので、構図のアクセントとして影を入れてみるのも面白いだろう。

 

撮影:川北茂貴

撮影:川北茂貴

一風変わったジャンクションの写真になった

足元に自分の影が伸びていたので、セルフポートレートのつもりで入れてみた。影以外は右の写真と同じだが、アクセントが入ることで目を引く。自分と街灯の位置で影の長さも変わるので、撮影場所をいろいろ変えて撮ってみよう。

16ミリ相当 絞り優先オート(F11 15秒) -0.3補正 ISO200 WB:白色蛍光灯

 

ジャンクションの写真を、印象の残る描写にするためには、フレーミングが重要です。奥行きなどの遠近感、線の入り組んだ立体感などを描写できるよう、なるべくその他の邪魔な建物などを省きシンプルな構図取りをします。そうすれば、被写体としてのジャンクションや橋を魅力的に撮影することができるでしょう。