2018年の夏、皆既月食や、火星が接近などの天体のイベントが続いています。星空の撮影のQ&Aに答えていきましょう！基本的に星景写真とはどういうものなのか、星空を背景に風景や都市夜景などを撮るときの疑問や、注意点や、撮影で用いる機能や合成時のテクニックについてもご紹介いたします。
Question.1 星景写真って、そもそもどんな写真？
Answer. 星と地上の風景を１枚に写し込んだ写真です。星と地上、両方を入れた写真は見た目とは異なる写真に仕上げられます
星景写真とは、1枚の写真に星と地上風景の両方を写し込んだ写真。従来、極端に暗い天体と明るい地上の風景を同時に撮影するのは難しかったが、デジタルカメラの高感度性能が上がったことや、写真の合成技術が一般的になったことで、特別な機材や技術が無くても楽しめるようになった。星を線として表現したり、星座の形を写し止めたりといった写真が撮れる。
明るい街でも撮影可能
明るい街中で星の日周運動を表現するのは、従来不可能に近かったが、デジタルでの比較明合成という技術が一般化し、短時間露光を繰り返した写真の合成で長時間露光したかのような写真が作れるようになった。
高感度で星を止める
デジカメの高感度性能が上がり、地上風景も星も止まった状態の写真が撮りやすくなった。たった数十秒の露出でも、目で見た以上に暗い星まで写すことが可能だ。
長時間露光で撮影
美しい風景に星が加わることで、美しい風景がさらに美しく感じられる。地上の風景が十分に暗い場合は、従来どおりの長時間露光が可能。
Question.2 星景写真に向いたカメラってあるの？
Answer. 街明かりを入れる場合などは、カメラ内比較明合成が可能なカメラだと合成の手間がなく星の軌跡が撮影できます
星景都市写真では必ずといっていいくらい必要になる比較明合成だが、手間がかかるためボディ内で合成ができるカメラだと撮影がはかどる。比較明合成する枚数はかなりの数になるので、カメラを選ぶときは、比較明合成の枚数に制限がないカメラを選ぼう。ボディ内で合成を行ったほうが合成された星の線が滑らかになる傾向があるようだが、カメラ内で合成の場合、途中で余計なカットを削除するといったことができないので、撮影場所などを十分吟味して撮ろう。
「比較明合成」対応カメラの例
オリンパス
オリンパスの一眼カメラには、ライブコンポジットと呼ばれる撮影中に比較明合成された画像が見られる機能があり、星の軌跡の長さなどを確認しながら撮影ができる。
キヤノン
PowerShot G1 X Mark Ⅲ、 G3 X、G5 X、G7 X Mark Ⅱ、 G9 X Mark Ⅱなどのコンパクトカメラに星空軌跡というモードがある。この機能により、比較明合成写真が楽しめる。
ソニー
カメラ自体の機能としては合成機能を持たない。 しかし、PlayMemories Camera Appsのアプリ ｢スタートレイル｣を導入すると、カメラ内での比較明合成が可能になる。
リコー（ペンタックス）
K-3やKP などの一眼レフのインターバル合成機能の中に比較明合成モードがある。この機能では、合成された写真のほかに撮影途中の画像を保存することができて便利だ。
Question.3 星景写真に向いた夜景はどんな景色？
Answer. 自然風景のほか、少し離れた位置の街が望める暗い場所は比較的撮影しやすくオススメです
基本的には空が開けていて星が見える場所ならどこでも撮影可能だ。しかし撮影する場所があまり明るいと撮りにくいので、街中なら街灯の少ない公園や広場、ビル群を遠景で臨める港湾地区などが撮影に向く。里山や山の中では街並みを見下ろせる展望の良い場所はもちろん、道路沿いで開けた場所などもオススメ。どちらの場合も長時間カメラを置いておくので、安全を十分に確保し、車や人の通行で揺れない場所を選んでじっくりと撮るのが重要になる。
道路沿いから南天の天の川を撮影
日食の撮影でオーストラリアに行ったときの1枚。道路沿いには翌朝の日食に備えて多くのクルマが待機。山中での撮影は、手前の風景がシルエットだけになりがちだが、クルマから漏れる明かりがいいアクセントになった。
港湾地区から街と星を狙う
都市部の明かりから少し離れた星空が望める港湾地区は、星景都市写真が撮影しやすい場所だ。この日は雲が流れてきたので、予定の半分くらいで撮影を中止したが、都心の明かりに照らされた雲が印象的な写真になった。
星景撮影に向いているカメラや、向いている景色があります。カメラでは、比較明合成が可能なカメラだと、手間なく星の軌跡が撮影できます。景色では、街の明かりが少し離れている方が比較的楽に撮影が可能です。撮影時間も考慮しながら、星景の撮影をしてみましょう。