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メインは水面の映り込み!構図を工夫して印象的な紅葉風景を描く【映り込み撮影術/紅葉編②】

今年も紅葉シーズンが到来した。水辺で撮影するときは水面にも目を向けてみよう。光に照らされた紅葉が映り込み、これまでとは違った紅葉風景を捉えることができる。朝夕の斜光に輝く紅葉が狙い目だ。

映り込み撮影術 紅葉編

  1. 光を読んで水面の色彩を際立たせる
  2. 構図を工夫して印象的な紅葉風景を描く
  3. フィルターで鮮やかに紅葉を描く

 

色鮮やかな水面を広く捉え印象的な紅葉風景を描く

水面の映り込みをメインに新しい紅葉風景を捉える

映り込みを主題にするなら、水面の面積を広く捉えることが欠かせない。映り込みと実像が半々になってしまうと、主題が伝わりづらくなるため、実像は3割未満に留めておくのがセオリーだ。対岸の森を1~2割程度見せて風景としての臨場感を伝えてもよいし、水面だけで画面構成して、映り込みの印象を強く出してもよいだろう。

水面だけだと形がなく、何を撮ったのか伝わりづらいため、朽ち木や岩など何かワンポイントとなるものを見せると効果的だ。このとき映り込みに対して、脇役を良い位置に見せられるよう、ポジションを調整することが欠かせない。あくまでも映り込みが主役なので、脇役は大きさも配置も控えめな見せ方となるように心がけたい。

 

水面の揺らぎが映り込みを印象的に演出する
そよそよと風が渡る湖面に、赤いカエデや黄色い白樺の紅葉が映り込んでいた。画面の7割程度を湖面でフレーミングすることで映り込みの印象を強め、白樺の白いラインと水面の揺らぎが、平面的かつ単調になるのを防いでくれた。

パナソニックLUMIX GH3 G Xバリオ35~100ミリF2.8 POWER O.I.S. 絞り優先AE F8 1/50秒 -0.3補正 ISO200 WB:晴天 三脚使用 長野県松本市乗鞍高原

 

 

光に輝く鮮やかな映り込みを生かす

光の当たった映り込みを生かす

 

日陰の映り込みが多い

 

同じ場面でも紅葉に強い光が当たっていれば鮮やかに映り込み、日が当たっていないと沈んだような色になってしまう。わずかなフレーミングの違いで、印象の異なる写真になる。
 

 

水面の映り込みに紅葉をプラスして華やかに
青空と黄葉が映り込んだ水面を背景にして、カエデの紅葉を切り取った。青い水面に対して、赤や黄色が映える効果を狙った。映り込みだけでなく、実際の紅葉も見せることで、華やかさをアップさせることができる。

ニコンD810 AF-Sニッコール70~200ミリF2.8G ED VR Ⅱ 絞り優先AE F16 1/3秒 -1補正 ISO200 WB:晴天 三脚使用 福島県昭和町矢ノ原湿原

 

 

温もりのある映り込みの色彩に狙いを絞る
夕方の光が紅葉を照らし、温もりのある色合いが水面に浮かび上がった。紅葉の山全体を撮ってしまうと説明的になり、川は陰なので陰影も強く出すぎてしまう。紅葉の映り込みに狙いを絞ることで、光の効果を引き出せた。

ニコンD700 AF-S VRズームニッコールED70~200ミリF2.8G(IF) 絞り優先AE F11 1/10秒 -0.3補正 ISO200 WB:晴天 三脚使用 愛知県豊田市香嵐渓

 

 

写真・解説/深澤武