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イメージした映り込みを再現するには?フィルターで鮮やかに紅葉を描く【映り込み撮影術/紅葉編③】

今年も紅葉シーズンが到来した。水辺で撮影するときは水面にも目を向けてみよう。光に照らされた紅葉が映り込み、これまでとは違った紅葉風景を捉えることができる。朝夕の斜光に輝く紅葉が狙い目だ。

映り込み撮影術 紅葉編

  1. 光を読んで水面の色彩を際立たせる
  2. 構図を工夫して印象的な紅葉風景を描く
  3. フィルターで鮮やかに紅葉を描く

 

映り込みの色彩と水面の反射をPLフィルターでコントロールする

水面のテカリを適度に抑え、イメージした映り込みを再現しよう

映り込みの鮮やかさを出すために、補助的な役割を果たしてくれるのがフィルターだ。鮮やかな映り込みを捉えるうえで最も大切なのは光効果であり、良い光を捉えることを何よりも優先したい。水面に映り込む紅葉にしっかりと光が当たっていることは欠かせない。そのうえで水面のテカリをPLフィルターで除去すると、映り込んだ紅葉の色をより鮮やかに描写できる。また映り込みのじゃまになる、水面に浮かぶ水草や落ち葉のテカリを抑えるのにもPLフィルターは効果的だ。完全にテカリを取るのではなく、わずかに反射を残すと水辺の雰囲気を生かせる。

ハーフNDフィルターは明暗差が大きい場面で有効だ。明暗の分かれる所にフィルターの境界部を正確に合わせて撮影することが重要。合わせたつもりでもずれていることがあるので、不自然なムラがないか再生画像をしっかりと確認しよう。

 

落ち葉のテカリを適度に抑え色彩を強調した
PLフィルターを使わないと、落ち葉のテカリが強く出て、紅葉の映り込みが目立たなくなってしまう。ただ完全にテカリを取ってしまうと湿潤感がなくなってしまうので、適度なテカリが残るようにPL効果を調整した。

ニコンD750 AF-S VRズームニッコール70~300ミリF4.5-5.6G IFED 絞り優先AE F16 1/1.3秒 ISO200 WB:晴天 三脚使用 福井県大野市刈込池

 

映り込んだ紅葉をPL効果で鮮やかに

PLなしだと実際の紅葉の色だけでなく、水面に映り込んだ紅葉も濁ったような薄い色になってしまう。PLフィルターを青空の深みが増すように調整すると、水面の青や映り込んだ紅葉の色に深みが出て鮮やかだ。

 

PLフィルター使用

 

PLフィルターなし

 

 

明暗差が激しい状況はハーフNDで描く

実像と映り込みの風景を同時に捉えると映り込みが少し暗くなるが、ほとんどの場合、明暗差は小さいのでそのまま撮影して問題ない。ただし明暗差が極端に大きくなるときは、ハーフNDフィルターを使って黒つぶれを防ぐことで、実像も映り込みも鮮やかに撮影できる。

ハーフND4フィルター使用

 

ハーフNDフィルターなし

 

 

写真・解説/深澤武