雨の日の水溜まりや海、池、ガラスやクルマなど、街の中は映り込みの宝庫だ。映り込みをスナップに生かすことで、これまでとは一味違う写真が撮影できる。目を凝らして映り込みを探してみよう。
水面のユラユラした表情が映り込みに変化を付ける
地裏の物語を映し出す
石畳の路地が迷路のように広がる東京・神楽坂。小雨が降る夜、小さな水溜まりのわずか1~2センチ上にカメラを構えた。35ミリの単焦点レンズで絞りは開放にセット。遠近感が心地よい一枚に仕上がった。
ソニー α7 III カールツァイス Loxia 35ミリF2 マニュアル露出 絞りF2 1/60秒 ISO1600 WB:オート
自分自身が積極的に動いて緻密に画面を構成しよう
水面への映り込みを生かすうえで、まず重要なのはアングルの高低と、それに伴うカメラの角度だ。同じ場面でも低い位置から水平に構えるのと、高い位置から見下ろすのとでは、映り込みの見え方が変わってくる。
また地面と水面の境界線を画面のどこに置くかによっても印象は変わる。水面の反射を生かすのであれば、やや水面を多めに取り入れるほうが、画面を構成しやすいと思う。
境界線が中央より下にくると、例外もあるが大抵の場合は空が広くなる。画面内に空を広く入れるよりも、空が映り込んだ水面を生かしたほうが印象的な写真に仕上がるのではないだろうか。
構図とタイミングにこだわり逆光の輝きとシルエットで印象的に
水面の反射が狙えるポイントといえば逆光のビーチ。あえて太陽はフレームに入れず、海面や波打ち際を画面の2/3くらいにして構成した。波が引いていくタイミングと、シルエットの人物、映り込みのバランスが重要だ。
ソニー α7 II バリオテッサーT*FE24~70ミリF4 ZA OSS 絞り優先AE F5.6 1/2000秒 ISO100 WB:オート
写真・解説 鹿野 貴司