レンズ交換式カメラでは、センサー面(撮像素子)からピント位置までの距離を「撮影距離」と呼ぶ。ゆえに、レンズ先端からピント位置までの距離は、それよりも短くなる。また、全長の長い望遠系のレンズほど、撮影距離と先端部からの距離の差は大きくなる。
そして、ピントを合わせることのできる最も短い撮影距離のことを「最短撮影距離」と言い、レンズによってその距離は変わる。最短撮影距離が短いほど、被写体に寄って撮影することができる。
一方、「ワーキングディスタンス」はレンズ先端部からピント位置までの距離を指している。ワーキングディスタンスが極端に短いと、昆虫や小動物など動く被写体に警戒されやすい。また、レンズの鏡筒の影が被写体にかぶる危険性も高まってくる。
カメラ内でセンサーがある位置は、ボディ外装に印された「距離基準マーク」で確認することができる。このマークからピント位置までが撮影距離となる。
ワーキングディスタンスとはレンズ先端部からピント位置までの距離のこと。
最短撮影距離よりも近づいてしまうと、合わせたい被写体にピントは合わなくなる。上段の写真は最短撮影距離30cmのレンズを使い、イヌの人形にピントが合う状態にして撮影。下段の写真は、最短撮影距離からカメラを1.5cmほど人形に近づけて撮影した。わずかな差だがイヌの人形にピントは合わず、後ろの人形に合ってしまった。
写真/吉森信哉