特集

【雪景色撮影の超攻略術⑪スノーレジャー編】真っ白なゲレンデで、“いい笑顔”を撮影するコツや注意点

2018年平成最後の冬、風景としての雪、スナップとしての雪、「雪」でも様々な撮影描写ができます。今回は、被写体としての「雪」を撮るテクニックの数々をご紹介いたします。

雪景色撮影は、当たり前ですが画面の中に雪の白が多いということに注意が必要になります。ホワイトバランス、露出、構図、光という項目ごとに、白い被写体を印象深く表現するための基本テクニックはもちろんのこと、寒さ対策、スノーレジャー、寒冷地での撮影機材のトラブル対策など、冬の撮影で必要な知識を盛りだくさんにご紹介していきます。

 

 

スノーレジャーを撮ってみよう

スキーやスノーボードなど、雪景色の中で楽しむレジャーの際にも撮影したい、という人も多いでしょう。今回は、真っ白なゲレンデでの撮影のコツや注意点をご紹介しましょう。

 

Technic 1 コンティニュアスAFと測距点自動選択でスキーヤーを追い掛けよう

スキーやソリ遊びは動く被写体。シャッターボタンを半押ししている間ピントを合わせ続ける「コンティニュアスAF」と連写の組み合わせで撮影するのが得策です。測距点は、画面のどこに被写体が来てもカメラが選んでくれる「自動選択」にするのが最も簡単。一眼レフなら光学ファインダーを使って、被写体を追い掛けて撮りましょう。

 

コンティニュアスAFはメーカーによって名称が異なり、キヤノンなら「AIサーボ」。自動選択でもカバーできる範囲はカメラによって異なり、測距点が多いカメラのほうが撮影しやすい。
 

 

直線的に動くソリは撮影しやすい
最初はソリの撮影で練習をするといい。スキーよりも動きが直線的で撮影しやすいからだ。自動選択でも動く被写体に測距点を合わせ続けるにはそれなりの慣れが必要だ。

80ミリ相当 絞り優先オート(F4 1/250秒) 補正なし ISO250 WB:オート

 

 

上手な人は後ろ向きで滑りながら撮影しよう
生き生きと滑る姿を撮影したいのであれば、自分も一緒に滑るのが一番。スキーの腕に自信があるなら、後ろ向きで滑りながら撮影してみよう。ただし、安全には十分に注意しよう。

120ミリ相当 絞り優先オート(F4.9 1/250秒) 補正なし ISO200 WB:オート

 

 

後ろ向きで滑るときは背後に人がいないことをしっかり確認すること。ストックを使えないので、スキーの技術のない人はやらないように。撮っている最中も、ときどき背後を確認しよう。
 

 

動きを予想しながらピントを合わせよう
スキーヤーのスピードは速いが、動きは予想しやすい。少し練習すればシャッターチャンスをゲットできるはず。ピントを外さないように、測距点のある範囲に被写体を入れることが大切だ。

70ミリ相当 絞り優先オート(F11 1/250秒) +0.3補正 ISO200 WB:太陽光

 

 

Technic 2 ホワイトバランスと仕上がり設定で色みを調整しよう

手袋をしながらの細かいカメラ操作は難しいので、カメラに任せられる所はオートが一番。ただし、ホワイトバランスはオートでいいが、仕上がり設定は鮮やかさ控えめな設定にしておこう。日差しが強い条件下で彩度やコントラストの高い設定では不自然に写ってしまうからだ。

 

オート

ホワイトバランスはオートを基本に
雲が面白かったので、空を大きく入れてスキー場の様子を写してみた。日中のゲレンデはカメラ任せのオートホワイトバランスで十分にきれいに写る。寒そうな感じを出したいときは「太陽光」で青みを出してもいい。

37ミリ相当 絞り優先オート(F7.1 1/1250秒) 補正なし ISO100 WB:オート

 

 

風景

ニュートラル

地味めの設定で撮影したほうがきれいに写る
上は「風景」、下は「ニュートラル」で撮影。スキーウエアは原色のものが多く派手な発色をするモードでは色が浮き上がって不自然な印象になる。普段は地味だと感じるような設定にしたほうが、発色が自然で階調も引き出せる。

35ミリ相当 絞り優先オート(F14 1/400秒) +0.3補正 ISO200 WB:オート

 

 

安全に十分に注意していい笑顔を写そう

スノーレジャーの際は、厚手のグローブをしていて細かい操作が難しいので、できるだけオートで撮るスタイルがいいと思います。僕の場合は、使い慣れた絞り優先オートでシャッター速度に気にしながら絞りを決め、たまに露出補正をするだけ。ホワイトバランスや仕上がり設定などは、リフトに乗る前に決めておきます。レンズ交換もままならないので、高倍率ズームが威力を発揮します。

問題は撮影しないときにカメラをどうやって持っているか。コンパクトデジカメや小さなミラーレスならポケットに入りますが、日差しの強いゲレンデでは背面モニターが見にくいという難点も。やはり光学ファインダーがあって、AFも連写も速い一眼レフでの撮影がおすすめです。私の場合は撮影しないときはカメラを保護材に包み、普通のリュックに収納して背負ったまま滑っています。

何より大切なのはマナーです。当然ですが、ゲレンデの真ん中に止まっての撮影はしないこと。ほかのスキーヤーのコースの邪魔にならない場所を確保して、安全に撮影を楽しみましょう。事故がないように十分に注意して、いい笑顔を写すことが、スノーレジャー撮影の最大の秘訣です。

 

Technic 3 背景が白いので日中シンクロが便利

ゲレンデは一面が白い雪なので、晴れているとレフ板のように光を反射します。そのため、どちらにカメラを向けても逆光状態になり、人物の顔は暗くなりがちです。だからといってプラス補正すると雪が白とびしてしまうので、内蔵フラッシュの日中シンクロで顔に光を当てて撮影しましょう。

 

フラッシュの光で顔に光を補おう
人物のアップはフラッシュを強制発光する日中シンクロがおすすめ。何も考えずに内蔵フラッシュのスイッチをONにするだけで、カメラが露出をコントロールしてくれる。

50ミリ相当 絞り優先オート(F4 1/500秒) 補正なし ISO100 WB:オート

 

 

気を付けよう!

フラッシュの光が反射することがあるのでゴーグルは外そう。まぶしくてゴーグルがないと良い表情が得られないときは、反射のない角度を探すと◎。
 

 

絶好のシャッターチャンス!

転んだ姿も忘れず撮っておこう。転んだ時こそシャッターチャンス。動かない(動けない?)状況なので撮影もしやすく、思い出の1枚になる。ただし、転んだ状況によっては緊急を要することもあるので、状況に合わせて対処しよう。
 

 

写真・解説/秦達夫