ツバキとサザンカは冬に咲く花ですが、ツバキは12月から4月と冬から春にかけて、サザンカは10月から12月の秋から冬にかけてと開花期が異なります。花の散り方や葉の形にも違いがありますが、どちらも同じツバキ科で形も似ていているので、撮り方は同じです。
冬は空が澄んできれいな青空がのぞめるほか、雪が降るので、それらを取り入れながら撮影するのがポイント。
ピントはシベに合わせるのが基本。シベが見えない角度から写すときは手前の花びらに
ツバキやサザンカは、ピントはシベに合わせるのが基本です。ただ花びらが大きいのでシベが見えない角度から写すときは、手前の花びらに合わせましょう。また、冬に咲く花らしさの演出として、晴れているなら澄んだ空気の中を鋭く差し込む光を取り入れるのも◎。また雪の降る中で咲く姿も、冬の花ならではの美しさがあります。この際、冷たさを感じさせるような色合いを選んでみましょう。
基本テクニック
冬の晴れた日の刺すような強い光を生かして撮る
冬は寒いので光が弱いように感じるが、空気が澄んでいるので、晴れた日には鋭い光が差し込む。また太陽の位置が低いため、1日を通して斜光気味になる。斜めから差し込む光は、花を立体的に写し出す。そんな光のメリハリに注目して撮ると、印象的な写真が撮れる。
露出を落としてローキーに仕上げる
竹林に囲まれてひっそりと咲いていたツバキ。右からの鋭いサイド光でコントラストは高くなり、花の正面は日陰になっていた。暗いほうを向いているので露出を落とし、ローキー気味に仕上げた。
60ミリ相当 絞り優先オート(F3.5 1/60秒) -1.3補正 ISO200 WB:4800K
スポット光が生きるように露出を決める
ひと筋の木漏れ日がサザンカの中心部を照らしていた。この光を生かすべく、明部が適正露出となるようにマイナス補正を掛けると、明暗差によって前後は黒く落ちた。そしてシベだけが際立った。
60ミリ相当 絞り優先オート(F2.8 1/3200秒) -1.3補正 ISO200 WB:晴天
応用テクニック
やわらかな雪の日の雰囲気をソフト効果と色みで表現する
雪が降っている間は曇っているので光はやわらかい。また、少し青みがかかる。この青みによって冷たさを表現できるので、WB「太陽光(晴天)」を選んで自然の色彩を引き出す。またソフト効果を加えると、雪をよりふんわりと優しい印象に仕上げられる。
ノーマル画像
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WB「4800K」+ソフト効果
青みで冷たさ、ソフト効果で雪のやわらかさを演出
降雪時、WB「オート」で撮ったら雪は白く写ったが、青い光が補正されてしまった。そこでWB「晴天」よりも青みがかかる4800Kを選んで、少し青みを加える。さらにソフト系のフィルター効果を掛けて、よりコントラストを抑えてやわらかに写した。
120ミリ相当 絞り優先オート(F2.8 1/60秒) +1.3補正 ISO200 WB:4800K
写真・解説/吉住志穂