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【サクラの撮り方④】ドラマチックな“さくら”撮影は、朝夕のトワイライト光を活かそう!

春の花といえば真っ先に思い浮かぶのが「桜」。桜が盛大に咲いている姿を見ると、自然とカメラを向けたくなります。ですが、桜は色が淡く、その繊細な色が出にくいため、桜を美しいまま撮影するのは至難の業です。そこで今回は、桜をきれいに撮るテクニックやコツを紹介しましょう。

 

 

昼間はもちろん、朝夕の光を生かしたサクラ撮影もドラマチックで◎

天気がよければ青空バックはもちろん、朝夕の光を生かした撮影も楽しめます。特に高台の見晴らしのよい場所に咲くサクラなら、ダイナミックなサクラ風景として捉えられるのが魅力です。一日中、撮影を楽しめるでしょう。

朝夕の撮影で注意したいのは輝度差(明暗差)が大きく、目で見たようには写らないことです。夜明け前なら階調補正機能、もしくはハーフNDフィルターを使い、日の出後はより階調補正効果の強いHDR機能を使うと効果的です。この際、朝焼け空や夕焼け色が失われないよう、ハイライト重視で露出決定することを心掛けましょう。

 

 

基本テクニック

PLフィルターを使って青空をより鮮やかに描写して、サクラを引き立たせる

快晴時の青空を背景にしたサクラは華やかだ。特に斜光やサイド光なら、サクラに適度な立体感が出て、澄んだ青空を生かしやすい。この際、青空の深みを増し、サクラ色を鮮やかに見せるのに欠かせないのがPLフィルターだ。通常は効果を最大にして深い色を引き出すのがベターだが、例外的に雪山を背景にしたサクラでは効果を加減する必要がある。

 

PL/あり

 

PL/なし

PL使用で空もサクラも印象的になった
PLフィルターなしでは空の青さが物足りない。PLフィルターを効果最大にして使うと青空の深みが増し、白い雲とのコントラストがよく映えた。ベニシダレのピンク色も一段と濃くなった印象だ。

 

PL効果 50%

 

PL効果 100%

PL効果を半分くらいにしたほうが濁りがない
PL効果最大(100%)にすると、雪山の山肌や青空が濁ったような色になってしまった。 PL効果を半分くらいにすると、山肌や青空の濁りが取れ、澄んだ青色を生かすことができた。雪山を背景にしたサクラを撮る際はPL効果を加減して使いたい。

 

 

応用テクニック①

朝夕の光を生かしてドラマチックに仕上げる

朝日や夕日を生かすと、ダイナミックなサクラ風景に仕上げられる。夜明け前のトワイライトと呼ばれる空のグラデーション、朝焼け空、そして朝の光が輝くときなど、刻々と変化する光や色を捉えたい。これらを生かすのは逆光撮影だが、明暗差が大きいので、階調補正機能やハーフNDフィルターを使って輝度差を補おう。

 

ナノハナやサクラは華やかだが、曇天のため背景の山や海はかすんでいる。風景の雄大さを生かすのは難しい。

 

ハーフNDを使用して空の色を出す
日の出10分前、雲が色づき始め、夜明けの雰囲気が伝わってくる。雲仙岳や諫早湾を背景にスケール感のある風景になった。朝焼け空とサクラやナノハナでは明暗差があるため、ハーフNDフィルターを使用している。

48ミリ相当 絞り優先オート(F11 6秒) +0.7補正 ISO200 WB:5000K ハーフNDフィルター

 

 

明暗差が激しいのでHDRを使う
日の出30分後、朝の強い光を生かすため、HDR機能を使ってハイライトの白とびを抑え、シャドーとなるサクラやナノハナがつぶれないようにした。光が強いとゴーストが出やすいハーフNDフィルターは外している。

29ミリ相当 絞り優先オート(F11 1/250秒)ISO200 WB:5000K HDR機能

 

 

応用テクニック②

LEDライトを使って夜桜をほのかに照らし出す

夜明けの空や星空は長時間露光することで適正露出になるが、光の当たっていないサクラはシルエットになってしまう。夜や夜明けのサクラを捉えるにはLEDライトで補助的に光を当ててやる必要がある。夜明けの空なら数十秒露光、星空だと数十秒~数十分露光となるが、サクラにライトを当てるのは数秒でOKだ。

 

 

 

サクラとナノハナの調和を求めて撮影した
上写真はサクラだけが明るく、ナノハナが暗すぎて非現実的である。うっすらと周囲のナノハナが見え始めるころ、ほのかにLEDライトで照らすと、自然な雰囲気に仕上げられる。照らし方にムラが出ないよう、何度かテストを繰り返して撮影したい。

32ミリ相当 マニュアル露出(F2.8 25秒) ISO800 WB:5000K

 

 

写真・解説/深澤 武