特集

【ポピーの撮り方】1枚の花びらが大きく薄いので、逆光は狙い目!

春は花が咲き乱れる季節。サクラ、ナノハナ、チューリップのほかにも、春を代表する花はたくさんあります。今回は、ポピーの撮影テクニックをご紹介します。ポピーの開花時期は、3月から5月で、開花期が長く、あたたかい地域では1月ごろから楽しむことができます。

オレンジや黄、白の花をつけるアイスランドポピーや、鮮やかな赤色が特徴的なシャーレーポピーなどがあり、広い花畑を埋めるように花が咲き競います。

 

 

1枚の花びらが大きく薄いので、逆光で狙うと、光が透過してとてもきれい

ポピーは春らしく順光の青空を背景に入れるのもいいですが、1枚の花びらが大きく薄いので、逆光で狙うと光が透過してとてもきれいです。また、これを背景ボケや前ボケにするのも効果的。きれいなボケによって、画面全体が華やかに仕上がります。このほか、茎やつぼみには小さなトゲがあり、これらを逆光で狙うと白く輝いて見えます。

茎が細長く花が大きいので、風が吹くと揺れて、花びらの形が崩れてしまいます。風がある場合はやむのを待ってから撮影しましょう。そして、クローズアップでは花心が見えるアングルならピントはシベに合わせ、真横から写して花びらに隠れるときは花びらの先端に合わせるのが基本になります。

 

基本テクニック

ポピー畑から飛び出した一輪(もしくは二輪)を主役に狙う

花畑撮影全般にいえることだが、引いてただその全体を捉えると、画面のポイントがない平坦な写真になってしまう。ポピー畑も例外ではない。広角でも望遠でも、まずは畑から飛び出した主役となる花を見つけよう。その際、ポピーは茎の向きがランダムなので、一~二輪の花を主役にするなら茎の伸びる方向を揃えるとまとまり感が出る。

 


ポピーはひと株にたくさんの花がつくのでボリューム感を出しやすいが、逆にいえばごちゃごちゃしてしまう。何も考えないで撮ると、このように何のポイントもない写真になってしまう。

 

 

同方向に向く二輪を望遠で切り取る
花が密集している場合は、少し背の高い花を選ぶと引き立つ。寄り添っているような白いポピーを主役にしつつ、ポジションを下げて、黄色いボケで包み込んだ。ここでは二輪をひと塊と捉えて、花の向きを見て右下に配置した。

421ミリ相当 絞り優先オート(F4 1/500秒) +2補正 ISO200 WB:晴天 1.4倍テレコンバーター

 

 

太陽に向かって伸びる一輪を広角で狙う
太陽が真上にあるので花を見上げると逆光気味になって花びらが透け、青空を背景に入れることもできる。赤系のシャーレーポピーと青空の色の対比で色のコントラストを引き出すことができた。

24ミリ相当 絞り優先オート(F2.8 1/2000秒) +1補正 ISO200 WB:晴天

 

 

応用テクニック①

夕方の逆光線で撮るのもおすすめ。温かみのある作品に仕上げる

夕暮れの光は、温かみのあるオレンジ色に被写体を染める。ポピーは黄色、オレンジ、赤と暖色系が多いので、花色と光が同系色で相性がいい。また、花びらが薄いので逆光で撮ると透けたり、毛状突起と呼ばれるつぼみや茎を縁取るトゲが輝いて見えたりする点も、ポピーならではの魅力的な姿だ。

 

広角で見上げ、太陽を画面のアクセントに入れる 
広角27ミリ相当でポピーを見上げて、太陽をアクセントに撮影した。夕暮れの空に赤いポピーがなじみ、逆光によって花びらが透けてきれいだ。さらに絞りをF22まで絞り込んで、太陽に光の筋を作ってキラキラ感を演出した。

27ミリ相当 絞り優先オート(F22 1/400秒) +1.3補正 ISO200 WB:日陰

 

 

夕暮れの雰囲気をWB「日陰」で強調した
低い位置から光が差し込む、夕暮れの斜光線。全体にオレンジ色が加わり、日中とは違った温かみのある色合いになった。光は弱いが、逆光では花びらも透けるし、茎のトゲも輝いて見える。そしてホワイトバランス「日陰」を選び、夕暮れの印象を強調している。

400ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/2000秒) +0.3補正 ISO200 WB:日陰

 

 

応用テクニック②

色彩の対比や色の変化に注目してクローズアップする

ポピーは形がすっきりしているため、部分をクローズアップするのも面白いが、その中にもきっちりと主役は作りたい。花心を主役にするのは、ポイントが明確なため難易度は低め。一方、花びらは平坦でポイントになりにくいので難易度が高い。どちらも色彩に注目して作画すると、華やかな写真になる。

 

きれいな色のグラデーションを狙う
シャーレーポピーには、白からピンクへのグラデーションがきれいな花びらがある。色の変化が美しいので、先端部分をマクロレンズでクローズアップ。ピンクだけだと変化がないので、黄色い花心をぼかし、色のアクセントを加えた。

120ミリ相当 絞り優先オート(F3.2 1/100秒) +2補正 ISO200 WB:晴天

 

 

オレンジ色と黄色の2色で画面をまとめる
マクロでシベにだけピントを合わせ、前後の花びらをぼかした。ポピーは花が大きいので、アップで撮ると一輪の花の中で前ボケと後ろボケができる。背景の黄色のポピーによって、オレンジ色と黄色の2色でうまくまとまった。

21ミリ相当 絞り優先オート(F2.8 8秒) ISO250 WB:太陽光

 

 
写真・解説/吉住志穂