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“潤い”を生かす初夏の花撮影テクニック! 霧や朝露が花本来の色合いを引き出す

初夏を彩る野山や公園の花々たち。そのままでも色鮮やかで美しいが、雨露や朝霧などでしっとりと濡れるとより美しく見えてくる。せっかくの梅雨の時期。潤いを生かすことでより美しさが増す花風景を狙ってみよう。

ニコンD700 AF-S VR マイクロニッコール105mmF2.8G ED 絞り優先オート F8 1/30秒 ‒0.7補正 ISO200 WB:晴天 三脚使用

 

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霧や朝露が花本来の美しい色合いを引き出す

雨が降る高原や山では高確率で霧が発生する。山頂に雲がかかっているとき、標高の高い所へ上がり雲の中に入れば霧の世界が広がっている。高原らしい幻想的な花風景を楽しんでみたい。

ただ、時として霧が深いことがあり、全体がもやもやした写真になってしまうので注意が必要だ。離れすぎると花が霞むので、広角レンズで花に近づいて近景をくっきり見せるとよいだろう。近景の花は色鮮やかに見え、遠景が霧で霞んで見えると遠近感も生きて、臨場感のある花風景となる。

このとき広い花風景にメリハリをつける脇役の存在も重要だ。後述の例のようなシラカバなどの格好のいい木立を生かせれば、構図の核となり高原らしい雰囲気を画面の中に盛り込むことができる。

平地でも雨上りの朝などは霧が発生する確率が高くなる。日が高く昇ってくると霧は消えてしまうので早朝の撮影がオススメだ。夜明けらしい青みを帯びた色彩を生かせば、より幻想的にみせられる。植栽されたお花畑は起伏が少なく平面的な所が多いため、晴れたときには色味が強くなりすぎ、曇ったときに撮るとフラットな写真になってしまう。霧が出ることで遠景が霞み、奥行き感や広がりが生かせる。天気が回復して、うっすら朝日が差し込んで水滴が輝けば、ドラマチックなシーンも期待できる。

 

【ポイント1】潤いを生かすことで、適度な色合いと遠近感が引き出せる

霧で潤うことで花本来の美しい色合いに

広々としたお花畑は適度な色合いと遠近感が求められるモチーフだ。晴れているとメリハリが強すぎて花の色合いがきつくなり、曇天だとフラットで単調な印象になる。朝露に濡れたポピーは花色に深みが出て、奥の木々は淡い色となって優しい雰囲気となる。遠近感が生まれ、早朝の青みを帯びた色合いが幻想的な雰囲気を醸し出してくれた。

【晴れ → 色合いがきつくなりすぎる ×】

 

【曇り → フラットで平凡 △】

 

【早朝(朝露) → 適度な色合いと遠近感 ○】

 

【ポイント2】手前に花を配置して奥行き感を出そう

霧で霞むときは前景にクッキリとした花を配置しよう

霧を生かして撮影する場合、遠景に花を配すると霞んで色味が薄れてしまうことがある。できるだけ花に近づいて、手前の花をクッキリと見せることで、霧がかった遠景とのメリハリが出る。雨に濡れた草花の艶やかな色も映えて、いいことづくめだ。

【手前に花を配置 〇】

 

【花が遠すぎて霞む △】

 

【ポイント3】水滴のテカリと草花の色合いの兼ね合いでPLフィルターを適度にコントロール

遠景では適度に効かせ、アップは効かせすぎに注意

遠景の場合、花や葉のテカリを抑え本来の色合いを引き出すようPL フィルターは適度に効かせたいところ。逆に、テカリを取りすぎると潤った感じがなくなってしまうことも。特にアップで撮影する際は、適度にテカリを残してメリハリを出すのが効果的だ。

【遠景の場合――PLあり 〇】

 

【遠景の場合――PLなし ×】

 

【近景の場合――PLなし 〇】

 

【近景の場合――PLあり ×】

 

【ポイント4】暗くならないよう明るめの露出を心がけよう

特に霧が背景のときは見た目以上に暗く写るのでプラスの露出補正は必須

背景の霧が明るいため、補正なしでは露出アンダーになってしまった。+0.7補正すると霧に包まれたツツジが明るく仕上がり、美しく幻想的な雰囲気が引き出せた。森の中は暗くても霧の空は相対的に明るいため、露出アンダーにならないよう気をつけたい。

【+0.7 〇】

 

【補正なし ×】