夏休みになるとよく耳にする「青春18きっぷ」。名称から若者向けかと思いきや、年齢制限はなく、誰でも利用することができる。このきっぷを活用すれば、遠く離れたところでも1日あたりたった2,370円で移動でき、しかも列車なので渋滞知らず。超お得なきっぷの活用法を紹介しよう。
※写真はイメージです
そもそも“青春18きっぷ”とは?
●日本全国のJRの普通列車・快速列車に乗れるフリーきっぷ
●年齢制限はなし
全国のJR路線の普通・快速に1日何度でも乗れる
「青春18きっぷ」はJR(全国の各旅客鉄道会社)が発売するフリーきっぷで、北は宗谷本線の稚内駅から南は指宿枕崎線の西大山駅まで、日本全国のJR 線を走る普通・快速列車(BRT、JR 西日本宮島フェリーを含む)の普通車自由席に1日何度でも乗り降りできる。“青春18”と付くだけに若者向けかと思いきや、子どもからお年寄りまで年齢制限もなく利用可能。旧国鉄時代に発売されたものだが、今なお絶大な人気を誇り、販売されている。
発売期間・利用期間は?
●発売期間:2019年7月1日~8月31日
●利用期間:2019年7月20日~9月10日
●発売価格:11,850円
発売期間・利用期間がある
青春18きっぷは通年で発売されてはおらず、春・夏・冬の休み期間限定のフリーきっぷ。夏期の発売期間は7月1日~8月31日で、5日(回)分が1セットになって、11,850円。利用期間内であれば、1人に限らず何人かで使ってもOK。また、日にちが連続している必要もなく、ばらばらで5日(回)使うこともできる(詳細は左項で)。1日(回)あたりは2,370円となり、片道で141キロ(2,590 円)以上、往復なら71キロ(1,320円)以上で元が取れる。(お得になる主な区間は下図参照)
<参考:ここまで行けばお得!>
※都市部からの主要路線のみ掲載しています
使用上の注意点と豆知識
■0時から24時までが1日(回)・1人分でカウント
1日(回)分の有効期間は、0時~24時までの24時間。0時を過ぎた時点から使え、その日の24時を過ぎて最初に停車する駅までが有効。24時を過ぎた場合、続けて次の日(回)の分を使用するか、日が変わった最初の停車駅からの普通運賃で精算することになる。有人改札口もしくは車内で車掌などに日付を押してもらったら、その日1日が有効となる。
※東京・大阪の電車特定区間内は最終電車まで有効
■オプションや特例で乗車できる列車がある
原則としてJR 線の普通・快速列車に限られるが、北海道新幹線(奥津軽いまべつ~木古内間)と道南いさりび鉄道は、北海道新幹線オプション券(2,300円)で新幹線立席(席が空いている場合に限る)が利用できる。また、青い森鉄道やあいの風とやま鉄道などはJR 線へ通過利用する場合に限り、当該区間の普通・快速列車に乗車可能。このほか、佐世保線(早岐~佐世保間)などでは一部区間で特急自由席の利用ができたり、座席指定のある快速列車や普通車のグリーン車については、当該区間の指定席券もしくはグリーン券を購入すれば乗車が可能。「SL みなかみ」などの一部の観光列車も座席整理券などを購入すれば乗車できる。
■5回に分けても5日連続でもOK。1回分=1人×1日で使える
1回分を1人×1日とするので、5回分を別々の5日に分けて利用もでき、5日連続して使用することも可能。また、2人で2日間(2人×2日=計4回分)出かけ、残り1回を別の日に1人旅するといった使い方もできる。
■東京~小倉間約1,108キロがたった2,370円で移動可能
例えば品川5:10 発の普通列車に乗れば、途中何度か乗り継いで早くて名古屋なら10:58、大阪には13:43、姫路に14:47に到着可能。その後さらに乗り継げば、広島には19:48、小倉には0:05に到着する。
列車の旅と撮影が楽しめるこんなモデルケースはいかが!?
その1. 尾道で町スナップを楽しみ厳島神社の絶景を狙う
尾道水道を行き交う渡船をスナップ
尾道の中心部と対岸の向島の間の海は尾道水道と呼ばれ、幅200~500メートルの間を渡船が結んでいる。写真は向島の造船所から尾道駅前の港へと航行する渡船を狙ったカット。こうした素朴な日常風景が写真によく似合う。
ニコンD810 AF-Sニッコール24-70mm F2.8G ED 絞りF11 1/250秒 ISO200 WB:晴天 C-PLフィルター使用
時間をうまく調整すれば、広島市街の散策も楽しめる
スナップ写真の聖地と世界遺産に登録された宮島の厳島神社を撮り巡る1泊2日のコース。大阪駅から東海道本線、山陽本線の快速・普通列車を乗り継ぎ尾道駅へ。駅近くの尾道水道やネコが暮らす坂道、町を見下ろす展望台などをスナップし、その日は広島まで移動して宿泊。翌日は、広島駅から宮島口駅へ向かい、宮島航路(青春18 きっぷで乗車可)で宮島へ。厳島神社の回廊、海上の大鳥居などの絶景スポットの撮影が存分に楽しめる。時間を調整すれば、広島市内の撮影も可能だ。
<モデルスケジュール(大阪発1泊2日)>
その2. 鉄道ファンあこがれの上越線&磐越西線で鉄道三昧
ソバの花に包まれる山都鉄橋を行く磐越西線
磐越西線の喜多方と山都駅の間にかかる一ノ戸川橋梁(山都鉄橋)は、長さ445メートル、高さ24メートル、トラス橋とガーター橋の2つの構造を有する複合橋だ。周辺に広がるソバ畑に絡め、鉄橋を渡る列車を撮影した。
ニコンD800 AF-Sニッコール70-200mm F2.8G ED VR Ⅱ 絞りF3.2 1/1250秒 ISO200 WB:晴天 三脚・C-PLフィルター使用
指定日に廻れば、2本のSLが狙える
東京を起点に、上越線・磐越西線の列車旅を楽しみ、同路線で運行される2本のSL(SLみなかみ号、SLばんえつ物語号)のほか、普通列車を狙う1泊2日のコース。日によっては、越後川口駅などを通る「越乃Shu*Kura」などの列車を狙うことも可能。山都鉄橋の撮影のあとで、喜多方駅で交換する下りのばんえつ物語号を狙ってみるのも面白い。
※SLみなかみ号は土曜日を中心に運転されるので出発は土曜日に。
<モデルスケジュール(東京発1泊2日)>
その3. あこがれの風景写真の聖地・上高地を目指す
清流と緑が美しい上高地の河童橋
上高地のシンボルとも言える河童橋。梓川にかかる木製の吊り橋は、背景に残雪を抱く穂高連峰を従え、誰もが一度は撮りたくなる絶景を織りなしてくれる。(写真/深澤 武)
パナソニックGH5 LUMIX G X VARIO 12-35mm F2.8 ASPH. / POWER O.I.S. 絞り優先オート F5.6 1/250秒 -0.3補正 ISO200 WB:太陽光 C-PLフィルター使用
風景撮影の聖地へ青春18きっぷで出かけよう
上高地といえば、誰もが一度は行ってみたいと憧れる人気の撮影スポット。梓川を中心に、大正池や明神一之池など、絶好の風景スポットが点在する。こうした風景撮影に出かける際にも青春18きっぷを活用することができる。鉄道に乗ったり長距離を移動するために使うだけにとどまらず、一定距離以上であればお得に移動できる。
<モデルスケジュール>
東京発2泊3日
大阪発2泊3日
※松本、高山から先の移動(電車・路線バス)には、別途料金がかかります。
※片道運賃は、起点と目的地を通しで乗車した場合の片道普通運賃
※モデルスケジュールは2019年6月現在発表の土休日ダイヤを基に作っています