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Before/Afterで丸わかり! 紅葉と滝・渓流の「バランスが気持ちいい」構図

今夏は各地で猛暑の日が続く。そこで心配になるのが、紅葉の色づきだ。もし山の落葉広葉樹が期待していたほど鮮やかでなかったら……目指すは、水辺。冷涼な気温と湿気により、滝や渓流沿いの木々は鮮やかに色づきやすいのだ。流れのラインや水面反射を上手に利用したフレーミングのコツをご紹介しよう。

 

滝や渓流と紅葉のバランスが気持ちのいい構図を生み出す

ご存知のとおり構図には「日の丸構図」「黄金分割構図」「シンメトリー構図」などさまざまなパターンがある。しかしそんな定番構図に当てはめようとして風景を探すのは意外と難しく、また既存の構図だけをなぞってばかりいたのでは撮影という行為自体が面白味のないものになってしまう。撮影中は構図を必要以上に意識せず、自分がその場で見て感じた風景を画面の中で整理しながら、違和感のないスッキリとした写真に仕上げることをまずは心掛けたい。もちろん結果として「○○構図」になっていた、というのは一向に構わない訳で、要はプロセスの問題といえる。

水辺の紅葉もほかの風景撮影と同じく、まず画面内の主役をしっかりと決めることを常に意識しよう。そのうえで副題的な要素となるものをどこまで入れたらいいのか、主役の存在をジャマしていないかといったことに留意しながら作画すると、作者の想いが伝わりやすい写真になる。紅葉の鮮やかな色に引っ張られて〝あれもこれも〞と欲張って入れてしまうと、何を表現したいのかがわかりづらい写真になるので注意が必要だ

また、渓流や滝などの水の流れのラインや、湖や沼の岸辺などは画面内で視線を誘導させる大切な要素にもなる。水辺の撮影ではこのような要素を特に意識しながら見つけ出し、〝隠し味〞のように画面に取り入れると、奥行きや動きが感じられる写真に仕上げることができる。

 

【ポイント1】滝と紅葉の距離感を、自身が動いて調整する

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目立つ滝と紅葉を同じような大きさで捉えているため、どちらが主役なのかがわかりづらい。滝と紅葉の間が開きすぎていて、両者がそれぞれ独立しているように感じられ視線も分散してしまう。


あえて滝から離れて水流の白い面積を増やし、主役が滝であることを明確にする。滝と紅葉の距離を縮めるためにできる限り左側に移動した。滝は近づいて撮影してしまいがちだが、時には離れて見ることも大切だ。

キヤノンEOS 5D MarkⅡ EF24-105mm F4L IS USM 絞り優先AE F13 0.4秒 -1.3補正 ISO100 WB:太陽光 PLフィルター使用

 

【ポイント2】水の存在感を広角レンズとPL効果で演出

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清流の脇で色づく黄葉。早朝の青カブリした色を生かして秋の美しさを表現する。渓流の直線のラインを意識しながら撮影したが、若干おとなしい印象の仕上がりになった。


広角レンズのパースペクティブを利用して印象度の強い画面を作り出す。この場面ではPL フィルターの広角域での偏光ムラを利用して、水面部分は反射を残し黄葉部分は偏光効果が得られるように効かせている。

キヤノンEOS 5Ds R EF24-105mm F4L IS Ⅱ USM 絞り優先AE F13 0.4秒 -0.7補正 ISO200 WB:太陽光 PLフィルター使用

 

▲渓流の曲線のラインを利用して左側から右側へと視線を誘導させる。水面部分をできるだけ大きく入れて水の存在感を高め、画面下の左右の石を入れて画面を引き締めた。

 

【ポイント3】発想を変えて縦位置でフレーミング

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赤や黄色、緑が混在する鮮やかな紅葉の奥に滝が流れていた。横位置でフレーミングすると、赤い紅葉が左右にあるため視線が分散してしまう。手前の常緑樹も画面中央にあって少々目障りだ。


横位置でフレーミングがなかなか決まらないようなときには、キッパリと諦めて縦位置で作画すると意外と好結果が得られることが多い。ここでは画面左上部の滝の脇にある赤い紅葉にも気を配ってフレーミングしている。

キヤノンEOS 5Ds R EF100-400mm F4.5~5.6L IS Ⅱ USM 絞り優先AE F14 1/20秒 -0.3補正 ISO100 WB:太陽光 PLフィルター使用

 

▲縦位置に切り替えて画面を組み立てる。右側の赤い紅葉をメインとして扱い、左側の紅葉は面積を減らして目立たなくした。常緑樹は左側に配し、手前から奥の滝に視線が誘導されるように構図を決めた。

 

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