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展望室から夜景を撮る際の長年の悩みを約2,000円のアイテムが解決――【2019年買ってよかったモノ:写真家・川北茂貴さんの場合】

2019年の振り返り企画…ということで、プロの写真家やカメラライターに「2019年買ってよかったモノ」(※)を一斉調査! なぜ買ったのか、どうして“よかった”のか、ざっくばらんに語ってもらいます。今回は、写真家・川北茂貴さんの2019年ベストヒットアイテムをご紹介!

※2019年の新発売製品に限定していません

 

川北茂貴さんの2019年買ってよかったモノ:大型ラバーフード

▲実戦活動中の本製品を後ろからパチリ。ちょっとわかりづらいが、窓ガラスに完全に密着している。見た目も怪しくないでしょ?

 

高層ビルやタワーの展望室から撮る夜景は夜景写真の王道。空調が効いた室内なので撮影環境も最高なのだが、そのまま撮れば窓ガラスに室内の様子が反射して写ってしまう。これを防ぐには黒い布でカメラを覆うか、市販の穴の開いた黒い丸レフにレンズを通して撮るのが夜景撮影の技法として定番で、私もこれまでずっとそうしてきた。

 

しかし前者は光を遮るには最適な方法だが、見た目が大掛かりなので混んだ展望室では他の来場者に迷惑が掛かり、後者は丸レフと窓ガラスの間が密着しないので、そこから光が漏れてくることが多い。そこでそれらの弱点を補うべく、扱いが簡単で、しかも光の漏れがない商品がないものかと某最大手通販サイトで探していて見つけたのが、今回紹介するアイテムだ。

 

一見するとただの大きなラバーフードだが、柔軟性があるので窓ガラスへの密着度が抜群に高い。これなら窓ガラスとレンズが垂直ではなく多少傾いていても大丈夫。見た目も大げさではないので、おそらく一般客からの目線もそれほど冷たくはない(はずだ。いやそうであってほしい。)。展望室での夜景撮影だけでなく、電車の最前列で撮る運転席や、飛行機の窓側席からの撮影など、ガラス越しの撮影すべてに活用できるので、みなさんもカメラバックに1つ入れておいても良いだろう。収納するときは丸レフのようにねじって小さくはならないが、ゴムなのでそのままグニャっとできる。

 

通販サイト上には同様の商品が多数並んでいたが、今回私が購入した商品は直径が21cmで約2,000円。直径の大小や販売会社で値段の幅も少しあるようだ。これを使って超広角の焦点距離16mmで撮っても十分使えるが、直径はもう少し大きくても良かったかな。内径は6cmなのでレンズの直径に合うようにカッターナイフで切ったが、この作業は大きく切りすぎるとレンズとの接合がガバガバになるので、実物合わせで少しずつ広げた。

 

使い始めて3ヶ月ほどなので耐久性はわからないが、今のところ問題はない。いずれゴムが劣化して柔軟性がなくなる恐れは十分あるけど、買い直しても平気な値段なのが嬉しいね。今までなぜこれがなかったのだろう。費用対効果を考えればすごくお買い得な商品。今後はみなさんも展望室で見かける機会が増えるかな。

<作例>

私の故郷京都の街並みを駅ビルから。ライトアップされた白い京都タワーが白飛びしないよう、夜空との明暗のバランスを考えて、通常のトワイライト夜景の撮影より少し早めのタイミングで撮った。構図下のイルミの色が数秒で変わり、あまり長い露光時間で撮ると色が混じって白色になるので、ISO感度を上げて露光時間を短くした。

キヤノン EOS R EF16-35mm f/4L IS USM 絞り優先AE(F11 4秒) ISO400 WB:太陽光