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フルサイズ機らしからぬ小ささと軽さ。端的に言ってひと目惚れだった――【2019年買ってよかったモノ:カメラライター・北村智史さんの場合】

2019年の振り返り企画…ということで、プロの写真家やカメラライターに「2019年買ってよかったモノ」(※)を一斉調査! なぜ買ったのか、どうして“よかった”のか、ざっくばらんに語ってもらいます。今回は、カメラライター・北村智史さんの2019年ベストヒットアイテムをご紹介!

※2019年の新発売製品に限定していません

 

北村智史さんの2019年買ってよかったモノSIGMA fp

▲この小ささでフルサイズというのが楽しいのだけれど、なにもないデスクの上にぽんと置いただけで様になるデザインの上質さも見どころだと思う。

 

端的に言ってひと目惚れだった。

 

発表されたのを見た瞬間にはもう沼に落ちていた。

 

もっとも、発表会のあと、シグマの公式ウェブサイトがダウンして深夜までつながりにくい状態が続いたのは、あのとき同じように沼に落ちた人が大勢いたからに違いないと思っている。

 

そんなfpのチャームポイントは、やはりフルサイズ機らしからぬ小ささと軽さだ。カメラ本体はバッテリーとSDカードを含めて422gしかなくて、キットレンズの「45mm F2.8 DG DN Contemporary」との組み合わせでも637gですんでしまう。ファインダーレスのミラーレスカメラとはいえ、フルサイズなのにAPS-Cサイズの中級一眼レフのボディより軽いのだ。それだけでもう幸せの予感がする。

 

そしてそれ以上に「ほかのカメラとは違うんだぜ」感がものすごい。幅と高さがほぼ黄金比のアルミ合金製ボディは厚みが35mmほどで、これは高さのほぼ半分という計算されたフォルムをしている。なにかもう、そこにあるだけでかっこうがいい。そういうデザインの中にカメラというモノの本質的な部分だけがぴったりとおさまっている。

 

機能をぎゅうぎゅうに詰め込むことでさまざまな要求に応えようとする現代のカメラにはない無駄のなさ、潔さ。それが気持ちいい。

 

それから、これは個人的な好みの問題でもあるのだけれども、フルサイズの2400万画素機でローパスフィルターレスというのも見どころだと思っている。ファイルサイズがあまり大きくなりすぎない画素数で、なおかつキレのいい描写が楽しめるこの組み合わせというのはあまりない。このスペックがツボにはまる人にとっては、それだけで十分に値打ちがあるのではなかろうか。

▲手持ちだけでなく三脚撮影も少なくないのでクイックシュープレートもつけていたりする。HG-11の曲線を見せるには反対側から撮らないといけないのだが、そうすると控え目なロゴが隠れてしまうのが小さな不満だ。

 

さて、fpを手に入れたいならハンドグリップHG-11(大きめのラージハンドグリップHG-21でも可である)は必須のアイテムと言える。fpは動画撮影用カメラとしてもデザインされていて、リグに組み入れたときの操作性や視認性を確保するためだろう、グリップを備えていない。そのぶん手持ち撮影時にはホールドが頼りないことになるので外付けのグリップが用意されているわけだ。

 

HG-11を着けると端正なfpの風貌にやわらかな曲線が加わって優しい表情になる。握りやすさも格段に上がるが、それ以上に目で楽しめる形にもなってくれるのでおすすめだ。

<SIGMA fpの使用作例>

fpと45mm Contemporaryの組み合わせは、目についたものを小細工なしでそのまま切り取るような撮り方にぴったりだと思う。少しアンダー気味の露出にして色を重めにのせるのが目下のお気に入りだ。

SIGMA fp 45mm F2.8 DG DN Contemporary 絞り優先AE F7.1 1/80秒 マイナス0.7EV補正 ISO100 AWB(色残し)