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厳しいコンデジ市場で生き残ってきた“タフ”なヤツ【2019年買ってよかったモノ:写真家・吉住志穂さんの場合】

2019年の振り返り企画…ということで、プロの写真家やカメラライターに「2019年買ってよかったモノ」(※)を一斉調査! なぜ買ったのか、どうして“よかった”のか、ざっくばらんに語ってもらいます。今回は、写真家・吉住志穂さんの2019年ベストヒットアイテムをご紹介!

※2019年の新発売製品に限定していません

 

吉住志穂さんの2019年買ってよかったモノ:オリンパス「Tough TG-6」

私が2019年に手に入れたのは「オリンパスTough TG-6」。一眼カメラや交換レンズではなく、コンパクトデジタルカメラです。

 

最近ではコンデジの製品がどんどん減って、皆さん自身を含めて、コンデジを使っている人を、あまり見かけないのではないのではないですか? かつて、オリンパスにはエントリーモデルからハイスペックモデル、高倍率ズームを搭載したモデルと豊富なライナップが揃っていましたが、今ではT(Tough)シリーズ1機種のみ。『CAPA』や『デジキャパ!』の誌面で女性向けの薄型でカラバリが豊富なモデルのレビューなどをさせていただいたものですが、それも10年くらい前のおはなし。今や、気楽に撮るならスマホ、しっかり撮るなら一眼と撮影スタイルが二極化した結果だと思います。

 

そんな私も、ふだんの作品撮りは一眼カメラだし、コンデジは使うことはないかなぁと思っておりました。しかし、あえて、このコンデジを手に入れたのは「タフ!」だからです。製品の名称そのままですが。

 

このTough TG-6の良いところはまず、防水性能。15mは潜れるのでシュノーケリングなら余裕。ダイビングで使ったときは一応、専用の防水プロテクターケースに入れて使いました。海や川、プールなど、水遊びに使えるので夏前は品薄になるとか。それと耐荷重が100kg&2.1mの高さから落としても壊れないということで、防水、耐荷重、耐衝撃と3つのタフさが魅力のカメラです。

 

そんなことから、子どもに使わせたいと思ったのもきっかけでした。まぁ、落としてもキズはつくけど壊れないし、汚されたら水で丸洗いできるし、気軽にカメラを使わせてあげられるかなと。スマホで撮らせて、壊されたらとっても困る!! タフゆえに作りが頑丈で、253gとコンデジにしてはちょっと重めですが、小学校2年生の娘がパチパチ撮っております。子どもが撮る場合は、人指し指と親指で上下に挟んでシャッターを切ると、ブレにくくて安定しますよ。

 

そして、コンデジにしては寄れて、ぼかせるのがヨシズミ向き。なんと1cmまで寄れます。通常のモードから顕微鏡モードに切り替える必要がありますが、花に触れちゃうぐらいの距離まで寄れる大迫力。そして、望遠側にズームしても10cmぐらいまで寄れます。ということは? ということは? そう、花の撮影テクニック解説でよく書いていますが、望遠で近づくと背景がボケます!

作例の水滴をご覧ください。水滴をクローズアップすることで存在感を引き出しつつ、望遠端の18mm(35mm判換算で100mm相当)までズームしているので、前後にある水滴がキラキラとぼけています。一眼カメラでマクロレンズをつけたようなボケが得られながら、水滴に花が映り込む姿をくっきりと写せるのです。

 

さまざまなモデルのコンデジがあったなか生き残ってきただけあって、コイツにしかない魅力がいっぱいあるなと感じた2019年でした。