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2020年はタブレット元年になる? iPadで写真を始めるなら今が絶好のチャンス!

PCと切っても切れない関係のデジタル写真の世界。iPadをはじめとしたタブレット端末はPCに置き換わることができるだろうか?2019年11月に公開されたフォトショップのiPad版は、その日も遠くないと感じさせてくれた。iPadで写真を始めるなら、まさに“今”が絶好の機会だ!

 

2020年は、タブレット元年になるか?


PCの小型化も進んでいるが、写真の編集作業は、タブレットで簡単に、直感的にできればそのほうがいいのは当たり前。周辺機器なども少ないからトラブルも少なく、クラウドの環境などもようやく整ってきた。

iPadには、メリットがいっぱい
・ PCに比べてコンパクト
・ PCに比べてリーズナブル
・ タッチ&ペン操作などインターフェースが使いやすい
・ どこでもクリエイティブな作業が可能

 

iPadOSの登場で写真が扱いやすくなった

2019年秋のiPadOSの登場によって、iPadのPC化がより進んだ。それに伴って、写真を扱うiPad用アプリの使い勝手も向上した。まだ現状では、今すぐPCに取って代わるようなものではないが、iPadだからこそのメリットも少なくない。

 

まず、当然だがiPadはモバイル性能に優れているので、作業をする場所にとらわれない。またiPadOSが本体コネクターを利用して外部ストレージを使用することが可能になったことが挙げられる。

 

そして、以前から期待されていたフォトショップiPad版もついにリリースされた。残念ながらフル機能搭載版ではないが、シンプルで非常に使い勝手の良いものとなっている。近年のデスクトップ版フォトショップは高機能化しすぎて、ビギナーにとっては敷居が高かった。一方iPad版は現時点では機能が限定されているため、かえって理解しやすい。手を出しにくかった人にとって、まさに今こそが千載一遇のチャンスだ。

 

アプリがシンプルな今こそ始めるチャンス

デスクトップ版の「Photoshop CC 2020」は非常に多機能だが、ソフトウエアとしては複雑になりすぎてしまった。これは、長年にわたってさまざまなニーズ(3Dや動画などまで!)に応えられるようにしたためだが、今から始めるなら機能がシンプルなiPad版の方が使いやすいだろう。

 

外部ストレージを活用できるようになった

この秋iPad OSの登場により、ライトニングやUSB-Cコネクターを使って、USBメモリやポータブルSSDなどの外部ストレージがiPadで使えるようになった。これで、大量の写真を撮影しても扱えるようになり、iPadを本格的に写真のツールとして使えるようなった。

 

まずは、純正SDカードリーダーがオススメ。もちろんカード内の写真もiPadにインポートできるし、逆にSDカードにさまざまなデータを保存することも可能だ。

Lightning – SDカードカメラリーダー
参考価格/3,080円

 

今後はPCとタブレットのすみ分けが進むはず

まだPC が手放せないのも事実だが、iPadには時代に合った長所が多くある。PCの多くのことがiPadでできてしまう時代は近いだろう。現時点では、両者をうまく使い分けながら、写真ライフを楽しみたい。

iPadでやった方が良いこと
・その場で写真を編集
・ブログや写真をスピーディーに更新
・旅の写真を編集してSNSに投稿

PCでやった方が良いこと
・大量のRAW現像
・複雑で高度な編集
・高品質な写真のプリント

 

ついにフォトショップのiPad版が登場!iPad版はペンを使って直感的に操作したい


アドビ Photoshop iPad版
App Store 価格/月額1,080円(デスクトップ版ユーザーはiPad版も使用可能)

対応OS / iPadOS
対応デバイス/ iPad Pro全モデル、iPad Air2以降、iPad(第5世代以降)、iPad mini 4以降

使用できる機能
・明るさ・コントラスト
・カラーバランス
・色相/彩度
・白黒編集
・露光量
・レベル補正
・レイヤー操作
・コピースタンプ&スポット修復
・テキスト(細かい調整はできない)
・ぼかし など

今後、搭載を期待される機能
・RAW 現像
・トーンカーブ
・ゆがみ
・各種フィルター
・描画モードのオプション(例:50パーセントのグレーで塗りつぶす)
・テキストの細かい調整(文字間調整など)など

 

フォトショップのiPad版が、ついにリリースされた。当初、フル機能のフォトショップがiPadでも使えると言われ期待感が高かったのだが、実際登場したアプリはかなり機能が限定されたものだった。アドビ公式サイトでは今後のアップデートで機能を拡大していくとしているが……。

 

やや残念な部分もあるが、一方で、シンプルで使いやすいアプリにはなっている。デスクトップ版に慣れた人にはかなり割り切りと工夫が必要ではあるが、基本的な編集は問題なくできる。逆に、初めてフォトショップに触れる人にとってはまたとない挑戦の機会だ。限定されているからこそ機能がわかりやすいので、ぜひiPad版からフォトショップを初めてみよう!

 

また、デスクトップ版でまだペン操作をしたことのない人も、iPad版でペン操作をすれば新鮮さを感じられるはずだ。ブラシツールなどはマウスで操作するよりもペンで操作した方が、はるかに操作の正確性やスピードが上がる。クリエイティブな作業は、「手で感じる操作」のほうが良い。同アプリのこれからの発展と進化に期待しよう。

 

ペンで画像を直感的に操作できて便利

フォトショップは元来、ペン操作に適している。デスクトップ版でもペンタブレットを使うことをオススメしたいが、iPad版ならばApple Pencilを購入するだけなので導入しやすい。画像上を直接操作できるから、クリエイティビティも上がる。

 

iPad版でRAWデータは現像できる?

現状、Photoshop iPad版ではRAWデータは扱えない。今後、Lightroom for iPadとの連携を予定しており、連携されば効率よくRAWが使えるようになるだろう。現状でも、Lightroom for iPadで一度現像すれば扱うことができる。

 

レイヤーは本格的な機能を持つ

フォトショップといえば、欠かせないのが「レイヤー」だ。レイヤーマスクや描画モードまで搭載されており、かなり本格的な仕様になっている。また、調整レイヤーを使用して基本的な画像調整ができる。ただし、トーンカーブは未搭載。早期の搭載を期待したい。

 

データの保存はどうする?

AdobeクラウドをはじめDropbox、iCouldなどの各種クラウドサービスやApple純正の「ファイル」アプリを使用すれば、カードリーダー経由でSDメモリーカードなど外部ストレージが使えるようになり利便性が増した。もちろんクラウドにも保存できる。

左から:googleフォトアプリ/OneDriveアプリ/Dropboxアプリ/「ファイル」アプリ

 

画像の保存形式は何が使える?

書き出し機能を使うことにより、レイヤーを残せるPSD形式をはじめ、お馴染みのJPEG、TIFFなど汎用性の高いファイル形式に書き出せる。AirDrop経由でほかのデバイスに直接送信や、SNSに投稿などもできる。

 

キヤノン ユーザー待望のDPP のiPad 版も登場!

キヤノンDPP Express
App Store 価格/無料(フル機能版は月額100円)

対応カメラ/(.CR3 現像対応機種)EOS R、EOS Ra、EOS RP、EOS 90D、EOS 80D、EOS Kiss X10、EOS M6 Mark Ⅱ、EOS Kiss M、EOS M200、PowerShot G5 X Mark Ⅱ、PowerShot G7 X Mark Ⅲ、PowerShot SX70 HS(.CR2 現像対応機種)EOS 5D Mark Ⅳ、EOS 6D Mark Ⅱ、EOS 80D
対応OS / iOS 11.4、12.4、iPadOS 13.1
対応デバイス/ iPad Pro、iPad Air2、iPad Air ( 第3世代)、iPad 第5 世代以降、iPad mini 4、iPad mini ( 第5世代)

使用できる機能
・RAW 現像
・レンズ補正
・トリミングと角度
・ピクチャースタイル
・ホワイトバランス
・明るさとガンマ
・トーン調整
・ディテール
・カラー など

 

キヤノンはRAW現像ソフトDPPの正式なiPad版を登場させた。2018年10月に公開された段階では無料だったが、JPEGと拡張子が「.CR3」のRAWだけしか対応していなかった。しかし、2019年11月のアップデートにより一部の「.CR2」にも対応し、一眼レフ機ではEOS 5DⅣ、6DⅡ、80Dの3機種に対応した(11月末現在)。

 

その一方、フル機能版は月額100円となった。現段階で対応しているカメラは少ないが、対応機種のユーザーには便利なアプリだ。PC版DPPはマウス操作が基本で、いかにも「パソコンのソフト」といった操作感だったが、iPad版はカーブやスライダーを指やペンで操作でき、どこかアナログ感があって、より写真を創っている感じがする。インターフェースもシンプルでわかりやすいから、キヤノンユーザーは試してみる価値はある。

 

純正そのままのピクチャースタイル

キヤノンの純正アプリなだけあり、見慣れたピクチャースタイルが選べる。撮影時同様に、イメージ通りに仕上げられるのが嬉しい。

 

もちろんレンズ補正も可能

デスクトップ版とはいかないまでも、レンズ補正まで調整できる点は良い。カメラメーカー純正アプリという点はやはり安心感がある。

 

iPad で本格的に画像編集したいならコレ! 機能はデスクトップ版のフォトショップに匹敵

Serif Labs Affinity Photo
App Store 価格/ 1,720円(通常価格/ 2,440円)

対応OS / iOS 11以降、iPadOS
対応デバイス/ iPad Pro全モデル、iPad Air2以降、iPad mini 5以降(2017年初旬以降)

 

フォトショップ iPad版では不足なら、こちらを試してみてほしい。デスクトップ版フォトショップに迫るほど本格的で、非常に多機能なアプリだ。Appストアで買い切り型1720円というのもお手ごろ。超多機能ゆえに一見手強そうに見えるが、ブラシ、コピースタンプ、修復ブラシなどをiPadで使用できる。

 

特徴は、アプリ上の「ペルソナ」という画面を使い分けて、①ペイント&レタッチ、②選択範囲の編集、③ゆがみ、④RAW現像、⑤トーンマッピング、⑥書き出しを行うこと。一度使ってみると納得できる。また、アプリ内でのヘルプ機能も充実しているので、とても親切だ(もちろん日本語に対応している)。

 

「ペイント&レタッチ」ペルソナ

メインの画像処理は、ここで行う。レイヤーをはじめ、かなり本格的なことができる。

 

「RAW現像」ペルソナ

レンズプロファイルなどは使えないものの、レンズ補正やRAW現像ができる。もちろん明るさなど基本的な操作も可能。

 

「ゆがみ」ペルソナ

画像にゆがみをかけることができる。網目をペンで操作するから細かいニュアンスもコントロールしやすい。

 

※本記事は2019年12月20日発売の雑誌「CAPA1月号」を元に制作しております。記事内の情報は、雑誌発売当時のものとなります