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ついにCFexpressカードが動き出した! 超高速カードの実力を検証してみた

超高速なCFexpressカードがついにカメラで使用できるようになった。そして超高速、大容量メディアのデータを快適に保存するには、やはり超高速な周辺環境も不可欠だ。

 

対応カメラの拡大が待たれる次世代カード

次世代記録メディアとしてついに登場したCFexpressカードだが、対応カメラ自体がまだ少ないので他人ごとのように思われる方も多いだろう。しかし実際に使ってみると、驚異的な速さで書き込みが終了するさまや専用カードリーダーからのPCへの転送など、次世代の快適さ、高速さを体感できた。

 

先日発表されたキヤノンEOS-1D X Mark IIIなどはCFexpressカードスロットを2基搭載しているし、より高速連写をウリにしたモデルも今後登場するだろう。これから開発されるデジタル一眼は、SDとCFexpressカードのどちらかに2極化していくと思われる。

 

カードリーダーも高速だが、現在のUSB3.1 Gen2規格ではCFexpressカードの読み出し速度1700MB/sをフルには発揮していない。フルスピードを体感できるのはThunderbolt3対応のカードリーダーが登場してからになりそうだが、当分CFexpressカードから目が離せない状態が続きそうだ。

 

スピードはCFの10倍以上

記録メディアの速度 CFカード リード 160MB/s
ライト 150MB/s
XQDカード リード 440MB/s
ライト 400MB/s
CFastカード リード 525MB/s
ライト 450MB/s
CFexpressカード リード 1700MB/s
ライト 1400MB/s

CFアソシエーションから次世代カードとして登場したCFexpressカードは、CFカードから比べると圧倒的な速さを実現。サイズ規格が3つあるが、カメラに使われるのは「タイプB」となる。

 

CFexpress は本当に速かった

LUMIX S1Rを使い、CFexpressカードとUHS-II SDカードでRAW+JPEG画像を高速連写して、カメラ内のバッファメモリー開放から終了までの時間をストップウォッチで計測した。結果、CFexpress512GBの計測結果は16.01秒、UHS-II SD128GBは21.15秒。カメラ自体の限界もあるが、CFexpressのほうが約5秒も速かった。

 

XQDカメラはファームアップで対応機に

2019年11月にLUMIX Sシリーズ、12月にはニコンZシリーズが、最新ファームウェアへのバージョンアップを行うことでCFexpressカードに対応した。

 

<パナソニック LUMIX S シリーズ>

 

<ニコン Z シリーズ>

ニコン Z7 24-70 レンズキット

 

注意!専用カードリーダーが必要

CFexpressカードは形状こそXQDカードと同じだが、残念ながらXQD用のカードリーダーでは認識しないので注意しよう。運用時は専用カードリーダーを一緒に購入することを忘れずに。


サンディスク
エクストリームプロ CFexpress カードリーダー
参考価格/8,580 円

 

CFexpress カードの販売動向


サンディスク
エクストリームプロ CFexpress TypeBカード
リード:1700MB/s ライト:1400MB/s ※
64GB/128GB/256GB/512GB
参考価格(512GB):87,780 円

昨年12月18日よりいち早く販売を開始したCFexpressカード。独自の無期限保証が付帯している点が心強い。

※64GBはリード:1500MB/s ライト:800MB/s 。128GBと256GBはリード:1700MB/s ライト:1200MB/s

ソニー
CFexpress TypeB メモリーカード CEB-Gシリーズ
リード:1700MB/s ライト:1480MB/s
128GB/256GB/512GB
参考価格(512GB):85,850円

2020年1月下旬より発売。SDカード同様にタフ仕様になった。ニコンのZシリーズ対応のアナウンスがなされており、安心して使える。

 


プログレードデジタル
CFexpress TypeB COBALT/GOLDカード
リード:1600MB/s  ライト:1400MB/s ※
120GB(ゴールド)/256GB(ゴールド)/325GB(コバルト)
参考価格(コバルト/325GB):59,999円

旧レキサーチームが起こした会社で、普及タイプのゴールドと高速タイプのコバルトが存在。現在、ゴールドの120GB/256GB、コバルトの325GBがアマゾンで購入できる。

※ゴールドの120GBはリード:1600MB/s、ライト:600MB/s、ゴールドの256GBはリード:1600MB/s、ライト:1000MB/s

 

超高速カードを使うにはより高速なストレージやPCが必要

このように、記録メディアは日々大容量化/高速化に向かっている。そうした大容量データを安全、確実に保存するにはポータブルSSDのような超高速なストレージが必要になる。高速なインターフェースを持ったパソコンも必需品だ。パソコン自体が旧世代ではどんなに周辺機器が高速でもその性能は発揮できない。だがそれは環境が整えば今までと別次元の快適さが待っているということでもあるのだ。

 

バックアップにも超高速なストレージが欲しい!

マウスコンピューター
DAIV-5Nシリーズ
参考価格/ 179,800円~

マウスコンピューターからクリエーター向けに発売されているDAIVシリーズの最新モデル、DAIV-5Nシリーズ。USB3.1 Gen2 TypeC端子を2基搭載、内蔵ストレージにM.2規格SSDを採用、有機液晶モデルもある、高速なノートPCだ。

 


サンディスク
エクストリームプロ ポータブルSSD
2TB 1TB 500GB
参考価格(1TB):29,480円

早くから軽量・コンパクトなポータブルSSDの開発を行ってきたサンディスクの最新SSD。USB3.1 Gen2インターフェースを採用し、最大転送速度は1050MB/s、IP55 等級の防塵防滴仕様で、屋外でも安心。

 

SSDとHDDの速さを比べてみた

(1)大量に記録した撮影データを用意

LUMIX S1RにてRAW+JPEG 画像および4K動画を、CFexpressカードとUHS-II SDカードに同時記録した。撮影データは、計3,012枚の静止画と4K動画をミックス、データサイズは実に73.6GBある。

 

(2)USBでつないでテストを行う

ノートPC、DAIV-5NのUSB3.1 Gen2 TypeC端子に、CFexpressカードリーダーとポータブルSSD、および2.5インチポータブルHDDを接続して、各ストレージへの転送終了時間をストップウオッチで計測した。

結果、CFexpressからポータブルHDDへの転送が約15分なのに対して、CFexpressからポータブルSSDへは約1分50秒。約8倍の時間短縮が可能となる。

 

(3)SSDとHDDのベンチマークを比較

ベンチマークソフトを使用してSSDとHDD自体の性能を比較した。リードもライトもポータブルSSDが圧倒的に速いのがわかる。HDDに比べ約9倍もの高速転送が行われている。

<ポータブルSSD>

 

<ポータブルHDD>

 

解説/森脇章彦