ソニーのミラーレスカメラやコンパクトデジタルカメラ利用者に無償で提供されるアプリケーションソフトウェア「Imaging Edge(イメージングエッジ)」。その機能の1つ「Edit」では、RAWやJPEG、TIFFファイルを取り込んで画像の調整を行うことができる。今回は「シャープネス」について解説する。
※JPEGやTIFFファイルの場合、RAWデータに比べると調整できる項目は限られます
細部の先鋭感を調整する機能
[シャープネス]は、輪郭部分のコントラストを高め、写真をシャープに見せる機能だ。シャープネスを高く設定すると細部までくっきりとした印象になり、低く設定するとソフトな印象になる。操作は通常は[適用量]のスライダーを動かして行うが、より細かく調整したいときは[オーバーシュート]、[アンダーシュート]、[しきい値]を設定するとよい。
使いこなし(1)各スライダーの特徴を知ろう
まずは4つのスライダーの働きを理解しておこう。[適用量]は輪郭を強調する度合いのこと。[オーバーシュート]は輪郭強調の明るい側の調整で、[アンダーシュート]は輪郭強調の暗い側の調整を指す。また[しきい値]は輪郭強調を行う範囲のこと。
<元の写真(±0)>
調整の際は[表示]を[ピクセル等倍]にする
[シャープネス]を操作する際は、まず[表示]メニューから[ピクセル等倍]を選択しよう。縮小された状態では、シャープネスのかかり具合が正確に表示されないからだ。
適用量
低くすると弱くなり、高くするとシャープネスが強くなる。
<適用量 −100>
<適用量 +100>
オーバーシュート/アンダーシュート
[オーバーシュート]を高くすると輪郭強調の白部分が目立ち、[アンダーシュート]を高くすると輪郭強調の黒部分が目立つ。
<オーバーシュート +100>
<アンダーシュート +100>
しきい値
高くするとコントラストが高い部分のみにシャープネスの効果が適用され、低くすると画像全体に効果が適用される。
<しきい値 −100>
<しきい値 +100>
使いこなし(2)人物写真のシャープネスを調整する
人物写真では[シャープネス]の[適用量]を高く設定しすぎると、肌が荒れたように見えてしまうことがある。肌の質感をソフトに仕上げたいときは、[適用量]を控えめにするのがお薦めだ。
<元の写真(±0)>
【改善Point】人物の細部をシャープにしよう
元の写真は、等倍表示で確認すると細部がややぼんやりしている印象だ。そこで[シャープネス]を適用して、細部までくっきりとした写真にしたい。
肌をザラつかせない調整を選びたい
[適用量]を+100に設定すると肌がザラついて見える。そこで[適用量]は0に戻して、代わりに[オーバーシュート]+100に設定。輪郭強調が白っぽい色になり、ザラつきが気にならない。
<適用量 +100>
<適用量:±0、オーバーシュート:+100>
<適用量:±0、アンダーシュート:+100>
使いこなし(3)金属のシャープネスを調整する
金属感や重厚感を際立たせたいときにも[シャープネス]の機能が役立つ。[適用量]の調整だけでもいいが、被写体によっては[オーバーシュート]を高めて輪郭を白っぽくしたり、[アンダーシュート]を高めて輪郭を黒っぽくしたりするのもよい。
<元の写真(±0)>
【改善Point】素材の硬質感を際立たせよう
元の写真は、コインをクローズアップで写したもの。ピントは合っているが、細部の先鋭感が不足気味だ。[シャープネス]を適用して、より硬質な表現にしたい。
コインの素材感を上手く引き出そう
[適用量]を+100に設定すると、コインの硬質な素材感がいっそうリアルに再現された。さらに[オーバーシュート]を上げて輪郭の白を強調したり、[アンダーシュート]を上げて輪郭の黒を強調する方法もある。
<適用量 +100>
<適用量 100、オーバーシュート:+100>
<適用量 100、アンダーシュート:+100>
【参考本紹介】
ソニー イメージングエッジ完全マスター
ソニー純正画像ソフト「Imaging Edge (イメージングエッジ)」のガイドブック。ミラーレスカメラ“α”シリーズをはじめとするデジタルカメラユーザー向けにソニーが無償提供しているイメージングエッジの使いこなし方がわかる。特にRAW現像は、プロの画像調整テクニックを詳しく紹介。カメラとスマートフォンの連携もわかりやすく解説している。
2019年12月24日(火)発売
A4判 オールカラー130ページ
本体 2,500円(税別)
ISBN 978-4-05-611548-2
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