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日本の名城を撮ろう! 押さえておくべきポイント② 天守をカッコよく見せるにはポジションとアングルが決め手

今や空前のお城ブームが到来している。日本には数々の名城があり、最近ではそれを撮ろうと出かける人も多い。とはいえ、ただそのまま撮っただけでは見た目と同じ。お城を格好よく、また美しく見せるにはどのようにすればよいのか? 城郭写真を撮り続けるプロにその技を紹介してもらおう。

 

日本の名城を撮ろう! 城郭を表情豊かに描く撮影術

  1. 霧や光を利用して城郭を立体的に浮かび上がらせよう
  2. 天守をカッコよく見せるにはポジションとアングルが決め手
  3. 堀や石垣にも注目! お城の機能美を表現しよう

 

距離と角度によって天守の表情が変わる

お城を撮影するうえで天守の表情はもっとも大事な要素だ。一つの考え方として、天守を人物モデルに例えるとする。望楼などの天守最上階は顔、階層の櫓部分は胴体、石垣は足。そう考えると、全身の美しさを狙うのに足を構図から切ってしまっては中途半端になる。天守も同じ。まずは足である石垣の裾を切らないように注意したい。むろん例外もあり、石垣が樹木などで隠されている場合などは、不自然にならないフレーミングを心がけたい。人物モデルなら動いてくれるが、お城は動いてはくれないので、積極的に自分自身が動こう。

 

間近から天守を見る

次に、カメラポジションやアングルによって多彩に変わる天守の表情を探ってみよう。天守の正面、サイド、さらに角から、また近づいたり離れたりして天守を見ると、その変化に気付くだろう。両サイドの石垣の裾から最上階を見上げると、もっとも格好よく見える。正面からだと、フォルムが強調されて力強さを表現できる反面、立体感に欠ける。一方で天守の角からは、豊富な表情が楽しめるうえ立体感も付くが、あまり近づきすぎると肝心の顔である望楼が見えなくなるので注意したい。

 

[サイド] 天守がもっとも立体的に格好よく見える

五重の天守正面から、少し右側に位置取った。サイドから仰ぎ見ることにより、天守がより立体的に見えるようになる。天守の撮影で重要なことを付け加えると、石垣が構図から切れないようにしたい。

日本の名城を撮ろう!
キヤノン EOS 5D Mark II TS-E24mm F3.5L 絞りF13 1/40秒 ISO200 WB:太陽光 C-PLフィルター使用

 

[正面] 威風堂々とした姿が美しいが、やや立体感に欠ける

松江城天守の魅力は、戦国期の姿形を当時のまま残しているところ。正面からの堂々たる姿は、攻めかかる敵兵を威圧するに十分だったのだろう。ただし、写真にする場合は奥行きがなくなってしまう点が少し残念。

日本の名城を撮ろう!
キヤノン EOS 5D Mark II TS-E24mm F3.5L 絞りF11 1/50秒 ISO200 WB:太陽光 C-PLフィルター使用

 

[角・真下] 力強さを出せるが望楼が弱くならないよう注意

松江城の案内板に従って登城する場合、最もよく見るアングルであり、よく撮影されるポイントだろう。力強さは感じるものの、付け櫓(入口)が強調されすぎて天守の顔である望楼(最上部)が少し弱くなるので注意したい。

日本の名城を撮ろう!
キヤノン EOS 5D Mark II TS-E24mm F3.5L 絞りF11 1/25秒 ISO200 WB:太陽光 C-PLフィルター使用

<お城DATA>
松江城 (島根県松江市)
山陰地方唯一の現存天守は国宝に指定される。下見板張りの天守からは、戦乱収まらぬ戦国時代末期の荒々しさが漂う。

 

離れた位置から天守を望む

天守の表情が理解できれば、あとは距離を変えてみよう。少しずつ離れた位置から、天守の表情に加え周囲の情景もチェック。力強くまた立体的に見える位置を探ってみたい。数百mも離れれば、400mmクラス以上の望遠レンズを使って大きな太陽や月と一緒に天守を狙うこともできる。

 

[角] シンメトリーな構図を意識すると強靱さが強調できる

北西側の水堀越しに天守を望む。離れた位置の角側からど真ん中に天守を配置することで、堂々たる姿を強調することが可能だ。ここでは近代的なビル群を構図に入れ、聳え立つようなイメージを引き出した。

日本の名城を撮ろう!
キヤノン EOS 5Ds R TS-E24mm F3.5L 絞りF8 1/40秒 ISO100 WB:晴天 三脚・C-PLフィルター使用

 

[正面] 周囲の景色を生かすことで立体的な情景になる

天守と水堀をセットで正面から狙えるスポットの一つ。空のグラデーションや水の動きも取り入れることで、正面からの平坦さをカバーして迫力ある写真にできた。三脚を使って水平も意識したい。

日本の名城を撮ろう!
キヤノンEOS 5Ds R  TS-E24mm F3.5L 絞りF16 1/8秒 ISO100 WB:太陽光 三脚・C-PLフィルター使用

 

[サイド] 朝日に照らし出される天守をややサイドから狙う

早朝、天守の西側から東の空に昇る太陽を取り入れる。堀に奥行きを持たせることで写真全体の立体感を表現した。レンズが太陽を直視する逆光なので、ハレーションに注意しながら位置取りと露出を決定していきたい。

日本の名城を撮ろう!
キヤノン EOS 5Ds R TS-E24mm F3.5L  絞りF16  1/60秒 ISO800 WB:太陽光 三脚・C-PLフィルター使用

<お城DATA>
広島城 (広島市中区)
毛利輝元が本拠として築城した。約400年現存したオリジナルは、米軍の原子力爆弾投下によって消滅してしまい、戦後に復元された。

 

[望遠・正面] 離れた場所から望遠で大きな太陽と絡めて狙う

日没の時間を狙って天守から2Kmほど東に離れた市川河川敷より望遠レンズで撮影。現代の街並みの中でも強い存在感を示す天守を正面から切り取る。太陽を画面に入れる場合は、その位置を予測してのロケハンが大切だ。

日本の名城を撮ろう!
キヤノン EOS 5Ds R EF400mm F5.6L USM + エクステンダー EF1.4× II 絞りF16  1/8 秒 ISO100 WB:太陽光 三脚・C-PLフィルター使用 姫路城

 

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100名城フォトコンテスト
主催 : 株式会社ワン・パブリッシング
後援 : 日本城郭協会

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