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視点が変わると新鮮! 地上からでは見えないアングルの絶景をモノにするためのドローン撮影術

以前は個人レベルで空撮を行なおうとすると風船や凧などを使ったものがほとんどであった。いずれもコントロールが難しくカメラのアングルなども運任せ。それゆえ一般的とは言い難いものであった。コントロールしやすい機体に高性能のデジタルカメラを懸架し、さらに手元の送信機でリアルタイムに画像を確認できるドローンの登場により、これまで実現の難しかった高さからの撮影が手軽に、しかも確実に楽しめるようになったのである。

見慣れた風景も空から眺めると違って見える

私自身もそのようなドローンの魅力に“ハマった”一人。特に出番が多いのはライフワークとしている故郷での撮影のとき。長年見慣れた風景もドローンで空から眺めるとそれまでと違ったものに見え、写したい気分マックスとなるのだ。実際の撮影でもホバリングする位置や高度を積極的に変え、より魅力的なシーンを狙って次々にシャッターを切っていくことが多い。

しっかりとした手順を踏んで楽しいドローン撮影を!

正直に言えば、地方はドローンを飛ばしやすい環境があることも大きい。自治体が管理している場所であれば事前に撮影申請をすれば許可が降りやすく (出ないこともある)、地権者のお許しも得られやすい。森林上空のフライトであれば管轄する森林管理所に入林届を出せばよい。国立公園などドローンを規制する動きもあるが、私の知る限り、現時点ではルールを守り安全が担保できれば基本無問題である。法令を遵守し、安全飛行を行なうことで、そのような環境を大切にしていくこともドローンによるロケ撮影のポイントの一つと言える。

 

関之尾滝 (宮崎県都城市)

日本の滝100選に選ばれている関之尾滝。この滝の特徴として、落下境界線より上流側に甌穴 (おうけつ) 群がある。掲載した作例でもところどころ岩に丸い穴が空いていることがわかるかと思うが、ドローンを使えば滝と同じひとつの画面に写し込むことが容易だ。

関之尾滝 (宮崎県都城市)
DJI Mavic 2 Pro  絞り優先オート F8 1/100秒 ISO100

安全を考えた位置、光線を考えた時間帯で撮影しよう

ドローンは滝の下流の河原より離陸させ、安全のために滝手前にある観光用の吊り橋を越さない位置でホバリング。ドローンの向きや高度、またカメラの上下の向きなど検討したうえでシャッターを切っている。ちなみにこの作例では高度80mほど。また、時間的には滝の部分が日陰となり、流れ落ちる水がより印象的になるよう考慮している。

 

JR西都城駅からバス「霧島神社」行きで約25分「関の尾滝」下車。自動車の場合は都城志布志道路「平塚IC」または「横市IC」から約15分。

 

 

大浦タケシさんがアドバイス! ドローン撮影5ステップスタート

ドローンで空撮を楽しめたら…。そんな望みを抱いていても、まず何から始めたらいいかわからないという人も多いはず。大浦さんに、ドローン入手から実際の撮影までの重要ポイントを解説してもらった。

 

STEP① ドローンを買う

初心者は専門店での購入が安心!
まずはドローンを手に入れよう。メーカーは基本的にはDJI一択となるが、メーカー直販サイト、カメラ量販店、ドローン専門店などで手に入れることが可能である。初心者にオススメはドローン専門店。多くの場合、経験豊富な店員がいるので何かと相談に乗ってくれるはずだ。購入では、本体と送信機のみではなく、予備のバッテリーや同じくプロペラ、プロペラガードなど同梱する「コンボ」を選択するのが賢い方法だ。

ドローン撮影5ステップスタート
人気のドローン「DJI Mavic Air 2
 
ドローン撮影5ステップスタート
DJIのドローンの場合、予備のバッテリーやプロペラガード、専用のバッグなどを同梱する「コンボ」がお買い得。写真は「Mavic Air 2 Fly More コンボ」。
 

STEP② 操作を覚える

送信機やフライトアプリなどの使い方を覚えよう
購入したら送信機とともに、スマートフォンやタブレットにインストールした専用のフライトアプリの扱い方、機能などを覚えよう。特に送信機上部に2つあるコントロールスティックの操作はフライトの要となるので、ドローンフィールド (ドローン専用の練習場) などを借り実際に飛ばしてしっかりマスターしたい。ちなみに、コントロールスティックによる機体の操縦方法 (モード1~3) はモード2が便利。

ドローン撮影5ステップスタート
コントロールスティック
 
ドローン撮影5ステップスタート
操縦方法の決定画面
 
ドローン撮影5ステップスタート
フライトアプリ (DJI GO 4) の画面
 

STEP③ 飛ばす場所を決める、探す

管轄の国交省や自治体に確認すると安心
許可がいらず比較的安心して飛ばせる場所として挙げられるのは、周りに飛行場や工場、民家などなく人気の少ない海岸だ。広い河川敷でも飛行が可能なところもあるが、念のため管轄する国土交通省の窓口に問い合わせを。山などで飛ばす場合は、管轄する森林管理所に入林届を出しておくと後々トラブルにならない。個人の所有する土地であれば、事前に許可をもらおう。練習であれば、ドローンフィールドを借りて飛ばすのも手だ。

ドローン撮影5ステップスタート
フライト可能な場所についてはグレーな部分も多いが、人工集中地区以外で人工物などのない海岸はフライトできると考えてよいだろう。
 
ドローン撮影5ステップスタート
国土地理院のWebサイトより。赤い部分が人口集中地区 (DID) を示す。紫色の部分は飛行場と航空機の進入路でドローンの飛行は禁止、緑色はドローンの飛行高度に対し制限のあるところ。
 

STEP④ 役立ち機材

現場で差がつくアイテムを利用しよう
個人的に強くオススメしたいのが、スマートフォンなど液晶ディスプレイ用のシェード。ドローンは基本屋外で飛ばすため太陽の光などでディスプレイが見づらくなることが多いが、このシェードを使えば劇的に改善される。そのほか風速を計測する風速計も安全飛行のためにはマスト。また、安全にハンドリリース、ハンドキャッチを行なうためにワイヤー入り防刃手袋もあると便利。

ドローン撮影5ステップスタート
シェードを液晶ディスプレイに装着したところ。明るい屋外でのフライトでは、マストと言えるアイテムだ。
 
ドローン撮影5ステップスタート
風速計。機体など条件にもよるが、風速が6~7m/sを超えるようになるとドローンは不安定になり、最悪の場合墜落することも。飛行前に風速を計測し、安全を確認したうえで飛行に入ろう。
 

STEP⑤ 法令厳守と撮影許可

禁止区域に注意し安全なドローン飛行・撮影を
ドローンの飛行には、さまざまなルールがある。特に飛行に際し許可が必要な空域としては、人口集中地区 / イベント会場 / 夜間飛行 / 高度150m以上 / 空港周辺などある。さらに国会議事堂など政府の主要機関などの上空は原則的に飛行が禁じられている。まずは、国土交通省のWEBサイトで法令等しっかり確認するようにしよう。

また、自治体の管理する場所や、個人の所有する土地などの上空を飛行したい場合は事前に連絡し、許可を受けた上で飛行させるようにしたい。何はともあれ法令厳守で安全な飛行を心がけるようにしよう。

ドローン撮影5ステップスタート
無人航空機 (ドローン) の飛行ルールを記した国土交通省のWEBサイト。ドローンを手に入れたら、まずはこのサイトを確認したい。なお、許可申請の手続きなどもこのサイトから入ることができる。