昨年からの新型コロナウイルスの影響もあって、キャンプの人気が急激に上昇している。自然の中に足を踏み入れれば、それこそカメラを向けたくなる被写体が無限に散らばっているハズ。ソーシャルディスタンスを上手にキープして、キャンプ+写真撮影「撮るキャン」を楽しもう!
- 「撮るキャン」密着レポート【前編】
- 「撮るキャン」密着レポート【後編】
キャンプと写真撮影は驚くほど親和性が高い!
「朝靄に包まれた幻想的な世界を撮りたい」「時間を気にせず夕景撮影をしみたい」「満天にきらめく星空の撮 影を思い切り楽しみたい」。そんな撮影を考えているとしたら、それこそ日帰りじゃもったいない! 泊まりがけで行くにしても、ホテルや旅館を予約するんじゃなくて、撮影の前後も自然の中に身を置いてキャンプをしたら、楽しさが2倍にも3倍にもなるハズ。
そこで、時間を気にせずアウトドアで思い切り撮影する「撮るキャン」をご提案。自らもキャンプを楽しんでいるアウトドアライターの渡辺圭史さんが、実際に1泊2日のキャンプに出かけた模様に密着。キャンプ場周辺で出会えそうな被写体の写真は、風景写真家の深澤武さんに解説していただいた。「撮るキャン」とはどんなものなのか、1日の流れをレポートする。
【12:00】チェックイン
目的のキャンプ場に到着したら、まずは受付でチェックイン。ほとんどのキャンプ場ではチェックイン時間が決まっていて、早朝から入れる場所もある。サイト設営、食事準備、シャワー、くつろぎタイムなど、やりたいことから逆算して、余裕のある到着時間を決めるのが鉄則。食事準備は「少し早いかも」と思うぐらいのタイミングがちょうどいい。
テントサイトを決める時は 環境変化を予測しながら
サイト選びは慎重に。地面が平らになっていることが基本。わかりづらい時は実際に寝てみるのもいい。水が流れてこないかなど、いろいろなことを予測することが大切。
テントサイトの準備ができたら近くを散策してポイントチェック
サイト周辺を散策。山に覆われた地域だと、日差しの変化が早く、景色がすぐに一変するので、シャッターチャンスを逃さないように。
広角ズームで雄大な花畑を大きく捉える
シャーレーポピーの花畑が広がる秩父高原牧場。PLフィルターを使って花の鮮やかさをアップし、深みのある青空を捉えた。
さらに寄って花そのものをしっかり写す
秋田駒ヶ岳のトレッキング中にシラネアオイを見つけた。広角レンズで花に近づき、青空を取り入れて広々としたイメージに仕上げた。
キャンプ場での過ごし方はあまり詰め込まないこと
せっかくキャンプに来たからには、大自然を満喫したい。椅子に座ってのんびりしている時、目の前に富士山なんかが見えたら最高だろう。そこで、サイトのレイアウト決めはいつも慎重になってしまう。テントをセットしたら移動が難しいので「一本勝負」だ。
サイトのレイアウトを決めたら、さっそく設営をスタート。テントやタープが完成していなくても、レイアウトに合わせて、クーラーボックスなどを決めた位置近くに置いておくと後が楽。こうすれば、荷物の移動が少なくなるので、準備時間が短くて済む。
キャンプでは、この時間配分が大切。あれもこれもと欲張りになってしまっては、のんびりとキャンプを楽しめなくなる。何事もほどほどがちょうどいいのだ。料理に凝ってしまって夜遅くに食事がスタート、小さい子どもたちは寝てしまっている、なんてことは多い。
さて、サイトの準備が終わったら、ここからがキャンプのお楽しみ時間。自分の好きなことをするだけ。なんといっても、焚き火がおすすめ。炎を見ながら、どうやって燃やしてやろうかと薪を片手に持っていると、時間があっという間に過ぎていってしまう。
チェア選びでカラダとココロの開放感が変わってくる
キャンプ用チェアにはいろいろなサイズや形がある。キャンプサイトでどのように利用するのかによって使い分けると、カラダもココロもリラックスできる。食事をする時、くつろぐ時など、利用シーンに合わせて、自分のべストなチェアを数点持っておくといい。コンパクトに収納できるタイプが多いので、最低2脚は持ち込むことをおすすめする。
座面の高さが低いロースタイルは足を投げ出して、くつろいで座る時にピッタリ。逆に食事には適さないので、高さのあるタイプも準備しておく。
アウトドア用チェアにも肘掛け付きのタイプがある。姿勢が楽になる以外にも、物を掛けておくことができるので、サイトでは便利に使える。
【15:00】コーヒータイム
歩き回ったら、のんびりとコーヒーブレイク。キャンプでは時間を楽しむことが一番の醍醐味といえるだろう。作業に追われていても、あえて休息を挟むことでキャンプの楽しみが倍増する。普段の生活では飲まないようなドリンクに挑戦してみるのもいい。じっくりと手間をかけるほど満足度は向上する。また、リラックス効果も期待できる。
「考えるコト」を放棄してコーヒーでリラックス
お茶の世界でも野点という作法があるように、自然を感じながら飲み物を準備するのは格別だ。コーヒーの淹れ方には、ドリップ、パーコレーター、エスプレッソなど、いろいろな方法があって、自分の好みを探すのも楽しい。人によっては、キャンプサイトで豆を焙 煎するところから始める人もいるくらいだ。一杯のコーヒーから次の撮影アイデアが浮かぶかも!?
今回はオーソドックスなドリップに挑戦。豆を挽き、フィルターを準備して、お湯を注ぐ。野外でドリップすると、ドリッパーの温度が一気に下って味が安定しないので、お湯の追加タイミングが難しい。何度か繰り返して、ちょうどいいタイミングを身につけよう。
みんなが落ち着いたころ、コーヒーを淹れると、最高のおもてなしにもなるだろう。コーヒードリップは、その行為自体を楽しめるのが、最大の魅力ともいえるかもしれない。ゴリゴリと豆を挽く感触、お湯を注いだときのかすかな音、そして、ドリップされたコーヒーの香りが広がり、みんなが最高の笑顔でこっちを眺めてくれるのだ。
時間はたっぷりある! いろいろな被写体に目を向けてみよう
今回はカメラを持って出かけているので、どんなシーンを切り取ろうかとサイトの回りをキョロキョロと見てしまう。テントの中、遠くの山、友人の笑顔、被写体を見つけたら、バチリと一枚。いやいやカメラの設定がイマイチと思ったら、いつも以上に時間をかけてカメラの設定をいじってもいいだろう。なんていったって、今回は自由な時間がたくさんあるキャンプにやってきたのだから。
富士山写真は 「手前に何か」を入れ込もう
富士市には富士山の眺望がよい茶畑が広がっている。4〜5月はお茶の新芽が瑞々しく、残雪をいただいた富士山との調和が美しい。
カメラやスマホの充電以外にも使える! ポータブル電源があると便利
ポータブルバッテリーを用意しておけば心強い。バッテリーにはサイズと出力に違いがあって、容量300Wh程度が持ち運びにもスマホの充電やカメラのバッテリーバックアップにもちょうどいいサイズといえるだろう。
AC100Vが使えるタイプが多いので、朝晩が冷え込むなら、電気毛布を使って快適な寝床を準備しておくこともできるのだ。
ナビゲーター
渡辺圭史 (アウトドアライター・編集者)
小学生の時にキャンプを始め、大学卒業後はアウトドア用品メーカーに就職。その後、出版社勤務を経てキャンピングカー専門誌編集長に。現在はフリーの編集者兼ライターとして活動中。「アウトドア」をキーワードに、より楽しいライフスタイルを求めてゆるりと奮闘中。愛車は車中泊仕様としてDIYでアップデートを重ね続けている軽バン。
後編では、ディナータイムから夜の撮影タイムの過ごし方をレポートします。