特集

【2021ベストバイ】ニコン「Z 5」を自分仕様にカスタマイズ、改造レンズのボケ描写を楽しんだ

2021年は少しずつ良い方へ変化の兆しが見え始めた1年でした。2022年は久しぶりに楽しい写真ライフを過ごせることを願って、プロ写真家やカメラライターに「2021年に買ってよかったモノ」を一斉調査しました。さあ、どんなアイテムが出てくるかお楽しみに!

プロが買って良かったモノ教えます! 2021ベストバイ特集

馬場信幸さんの2021ベストバイ「ニコン Z 5」

【2021ベストバイ】馬場信幸さん
おでこを整形した「Z 5」に「マウントアダプター FTZ」を介して改造「サムヤン 24mm F1.4 ED AS IF UMC」を装着。花形フードはカメラバッグ内でかさばるのでフレアカッターを工作。開放から十分なシャープさに加え、全画面にわたり滲みを伴った味たっぷりのボケ描写は、まさに至高の写り。

「Z 5」で改造「サムヤン 24mm F1.4」のボケ描写を生かしたい

好みのボケ描写への改造がうまくいったニコンFマウントのマニュアルフォーカスレンズ「サムヤン 24mm F1.4 ED AS IF UMC」は、私にとっては格別のレンズ。ただMFなので正確にフォーカシングを行なうにはミラーレスのほうがいい。だがミラーレスのZは、ファインダー前方のおでこがマウントと同心円の円弧でえぐられたデザインが好みではない。とはいうものの、ほかにも使いたいニコンマウントのレンズもあることから、なにげなく「荻窪カメラのさくらや」のサイトを見ていたら、「Z 5」が「マウントアダプター FTZ」付きで手頃な価格で出ている。カメラの内容からすると、これはお買い得。おでこに関してはとりあえず目をつぶることにし、長年使ってきた「D750」を下取りに出して購入。

やはり、おでこの形は受け入れられないので、ここは整形する。粘土を少し盛り、そのカバーをボール紙で作り、黒くツヤ消し塗装。そこにパソコンで作ったBABAシールを貼り、上からクリアのツヤ消し塗装。これで、かなり気分良く「Z 5」に向き合えるようになった。

「サムヤン 24mm F1.4 ED AS IF UMC」はニコンFマウントのみ電子接点があり、「D750」ではExifにF値が記録され、さらにニコンのボディは倍率色収差も修正してくれる。ところが「Z 5」に「FTZ」を介して使っていると、エラー表示がよく現れる。接点を絶縁すればいいが、F値が記録できないのは惜しい。そこで試しに「FTZ」の最小絞りセットのピンを押した状態になるように細工をし、絞りはレンズの絞りリングで設定。ボディの電子ダイヤルで同じF値に設定するとExifも記録され、エラー表示の出る頻度が減った。これがいいかどうかはわからないが……。

自分好みにカスタマイズ

肝心のMFアシストの拡大操作はカスタム設定でAF-ONボタンに設定。ところがフォーカシングが決まりファインダーを元の全視野に戻すには再び拡大ボタンを押さなければいけない。多くのカメラがシャッターボタンの半押しでできるのに。

そんなカメラが今年買っていちばん良かったと言えるのは、カメラ操作のカスタマイズと、ちょっとした細工で格段に使いやすいカメラになったから。Gタイプレンズを使うAFはまったく問題ないのでいいが、MFで使うレンズに対しては、それなりの設定をAモードとMモードに分け、ユーザーポジションの2と3に登録。それがわかりやすく識別できるように、露出モードダイヤルの表示にも細工。

AF撮影のとき、エプロン部横のファンクションボタン1にAFのモードとエリアの切り替えが前後のダイヤルでできるように設定。そしてMFのときはこのボタンがピーキングとその色の設定に使えるようにした。すなわちAFかMFかによって同じボタンがそれぞれいちばん重要な機能の操作に割り振ることができ、この使い勝手がとても良い。

【2021ベストバイ】馬場信幸さん
露出モードダイヤルのユーザーポジションの2と3に、オレンジ色のカラーシートにインスタントレタリングでAとMの文字を転写し、保護のためにクリアのツヤ消しを塗装して接着。MFレンズはこのポジションで撮影する。後ろダイヤルには操作する右手親指への感触が良くなるようにゴム板を接着。

 

また、頻繁に操作する拡大ボタンには、厚さ1mmのゴム板を直径6mmのポンチで切り抜き、エッジを紙ヤスリで落とし、ゴム系接着剤で接着。たったこれだけでこのボタンの操作感が良くなり、MFアシスト後のファインダー全視野への戻しも、少しはしやすくなった。

後ろダイヤルにも1mmのゴム板をサイズに合わせて丸く切り取り、エッジを同様に落として両面テープで接着。これでダイヤルを操作する右手親指の腹への感触が格段に向上。そしてMFアシストや再生画像の拡大倍率を変更する+−ボタンは十字キーの左下という、かなり操作しにくい位置にある。そこでこの二つのボタンをシーソー式に操作できるように塩ビで工作。アップダウン操作がとてもしやすくなった。

【2021ベストバイ】馬場信幸さん
部分拡大で、赤い矢印の上がゴムを貼って操作感を良くしたAF-ONボタン、下がシーソー式にして使いやすくした+−ボタン。

 

これらの細工で「Z 5」は、かなり使いやすいカメラになり、そのうえで、ボディ内手ブレ補正、見やすいEVF、最上に使いやすいピーキング、倍率色収差の修正などにより、改造「サムヤン 24mm F1.4」による撮影が何とも楽しい。加えて、超良心的価格の「NIKKOR Z 40mm f/2」に「ソニー FE 28mm F2」用の0.75倍ワイドコンバージョンレンズを取り付けると、えも言われぬ極上の心地よいソフトフォーカス描写になる。この撮影も、またまた楽しい。

実写作例

パソコンで若干シャープさなどの処理をしているが、24mm F1.4の開放で、全画面にわたってここまで後ボケの柔らかいレンズは世の中にない。構成レンズのうちの後部を若干後方に調整したら、このようなボケ描写にすることができた。

【2021ベストバイ】馬場信幸さん
ニコン Z 5 サムヤン 24mm F1.4 ED AS IF UMC (改造) マウントアダプター FTZ 絞り優先オート F1.4 1/1600秒 +0.3補正 ISO400 WB : オート